表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学で戦う異世界理系JKと、壊れかけの守護者 ~めんどり頼んだら水素爆発しました  作者: 武者小路団丸
第2章 絆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/76

28話 風を視る者、風に抗う者

 今日は朝から天気が悪い。昨日、煉から聞いた風の魔法使いの話が頭から離れない。

 窓際にいて外の様子を伺う俺はレックス。煉の怪我はたいしたことなかったが……。

 いつも皆が見える位置に座る、この椅子が俺の定位置だ。だが今日は、なぜだか嫌な気分だ。

 皮膚がチリチリとする。鼻先に鉄の匂いが引っかかる。


 明里はヤカンを見ながら首をかしげる。

 「今日は、なんだか沸騰するのが早いのよね」


 ポルックスは額を押さえ、少し青ざめた顔で座り込んだ。

 「……頭が重い……」


 嫌な予感が確信に変わる。これは天気のせいじゃない。空気が……おかしい。


窓の外に目を凝らす。人影らしきものが動く。

「なにか来るぞ。」振り向いた。


明里、煉、ポルックスが倒れてる。ポルックスは鼻血を出している。これは、高山病の症状に似ている。


 雨がポロポロ降ってきた少し肌寒く感じてきた。冷気が足の方から伝わる。風の魔法使いがこの冷気を操ってるなら俺の活動時間は短い。短期決戦で行くしかないか。


 明里たちを一瞥してドアから勢いよく出て行った。


一歩、家から出た瞬間、視界が白くかすんだ。

 霧だ――いつも深い緑に囲まれた道も、今は白一色に塗りつぶされている。


 レックスは低く息を吐き、全身の筋肉に力を込める。

 (考えてる暇はない、早く見つける)


 家から下る道を一気に駆け降りる。

 ぬかるんだ地面が跳ね返す泥水も気にせず、四つ足の獣のように走る。


 霧の奥から、低くうねる音が響いた。

 ――次の瞬間。


 ドゴォォォンッ!!


 足元の地面が弾け飛び、岩が四方八方に砕け散った。

 レックスは咄嗟に腕で顔をかばい、岩片が頬を掠めた感触を覚える。


 舞い上がった岩塵の向こう、ゆらりと人影が浮かび上がる。


 霧を切り裂いて現れたのは、長いマントを翻す女――シルフィアだった。

 彼女は不敵な笑みを浮かべ、指先をゆらりと動かす。

 霧が渦を巻き、さらに濃くなる。



シルフィアは楽しそうに笑い、レックスに問いかけた。

「あら、逃げないの? いい子ね。でも、さっきの男の子みたいに、楽しく遊んでくれないと困るわ」

レックスは答えず、じっと彼女を見据える。その鋭い視線に、シルフィアは少しだけ眉をひそめた。


「ふうん……。つまらない子ね。でも、いいわ。さっきの男の子の続きを見せてあげる」


シルフィアが指を鳴らすと、霧の中に無数の風の刃が生まれた。カチャカチャと金属のような音を立てて、レックスに向かって一斉に飛来する。


レックスは一瞬、地面を蹴って横に跳ぶ。風の刃は彼のいた場所を通過し、背後の木々を切り裂いた。

「(風の刃……! 見えない武器か)」


レックスは再び走り出した。今度は彼女の周りを大きく旋回し、背後を取ろうと試みる。


しかし、シルフィアはまるで彼の動きを読んでいたかのように、嘲笑を浮かべたまま指先を動かす。レックスが走るコースの前に、再び風の刃が形成され、進路を塞ぐ。


「無駄よ。私の視界は、風が教えてくれる。この霧も、私の目なのよ」

霧がさらに濃くなり、レックスは呼吸が苦しくなってくる。高山病の症状が、少しずつ彼の体を蝕み始めていた。


「(くそっ……!)」


このままでは埒が明かない。レックスはポケットから何かを取り出し、握りしめた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ