第四話 復讐を誓うと強力な炎の霊に憑かれました
「復讐、したくないのか?」
「・・・・・無意味よ、そんなことしたって」
だって、ここは物語の、エピローグのその先。
本当なら、復讐なんていらない。自業自得って、ベルアが捉えたのなら、それでいい。
私は、本物のベルアじゃないから。
「・・・・・なら、なんでそんな、悔しそうな顔してんだよ」
そりゃあ、悔しいよ。
なんで、なんで彼女は、こんな悲しい結末を迎えなきゃいけないんだろう?
私が憧れたベルアを、返せっ・・・・・!
ボワッ
「・・・・・お前に憑いたのは、強力な炎の霊、だな」
「ね、ねえ、助けて、燃えるっ!」
いつの間にか、私の全身が、黒い炎に包まれ、燃えていた。
熱・・・・・くない。
「大丈夫だ。この炎は、霊がお前と完全に契約をした証。炎が消えるまで、少しそのままにしとけ」
「・・・・わかった」
黒い炎は、どんどん濃くなって、私は周りが見えなくなった。
ベルア自身は、彼女の魂は、取り返せなくていい。
殺された人間は戻って来ない。それがこの世の、私が生きていた世界のルールだから。
でも、だからこそ。もう彼女はいないからこそ。
私の憧れたベルアを殺した罪は、私が償わせる。
身勝手でも、私の自己満でも、なんでもいい。
なんでもいいから、私に力を貸して・・・・・!
「おお、なんか、悪役らしくなったな」
男が、炎から出てきた私に、鏡のようなものを渡してきた。
・・・・黒髪だった。
「私、さっきまできれいなブロンズカラーだったわよね?」
「契約すると、髪色変わるんだな。雰囲気違うぞ?」
いや、私からしたら、黒髪なんて見慣れすぎて、世界を間違えそう。
「とにかく、お前は今日からルース家で過ごしながら、俺と一緒に行動する。いいな?」
「ええ」
「ベルア、って呼んだら駄目だよな。お前の悪名は、今や世界中に広がっている」
「なら、私のことは、まどかって呼んで」
「ま・ど・か?聞き馴染みのない音だが?」
「異国の言葉よ。変?」
「いや、いい。それくらいじゃないと、面倒だ」
そんなことをブツブツいいながら、ヴェルトは歩きだしたので、私も彼について行くことにした。