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第三十一話 理由もわからないのに謝ることに違和感を感じました

あれから数日後、私のものに皇太子が現れた。

「すまなかった!」

「それは何に対しての謝罪ですか?」

「マドカを傷つけたことに対する謝罪だ」

「それなら必要ありません、どうぞお引取りを」

わけも分からず、謝りに来るのはどうかと思う。

普通の人でもあまりいい気がしない物を、なぜ皇太子にされなければならないのか。できる限り、私は皇太子に近づきたくないのだが。

「・・・・何がダメだった?どんな言葉が傷つけてしまった?」

「自分で考えてください」

「分からないんだよ!僕はマドカの願いを叶えるために提案しただけなんだ」

「だとしたら、その自覚のなさですかね」

「自覚・・・・?」

「一国の皇太子が、たかだか一人の女性の為に提案?そんなことが許される立場だとでも?」

私はただの令嬢。聖女という肩書きはあろうとも、他に何かがある訳では無い。

・・・・でも、本気で皇太子を狙う他の令嬢が、この皇太子の話を聞いたらどう思うだろうか?私は嫉妬されるのだろうか?

お願いだから私は関わりたくない。

「・・・・立場を弁えて提案したら良かったのか?」

「まずは、ですね。立場も弁えず、事業を進めるだけ進めさせて、責任もとる気がないなんて無責任ですからね」

「・・・・すまない」

「分かったなら今日はお帰りください。私は忙しいので」

「花屋のことは進んで・・・・」

「ええ。ヴェルトが動いてくれてますから」

「そうか。それなら、安心だな」

皇太子は悲しそうな表情で私を見てから、部屋を出て行った。


・・・・理由も分からないのに、謝るのは違う。

この言葉を言う度に、考える度に、胸に棘が刺されたように痛むのは、ベルアの身体だからだろうか。

過去にずっと、母親に、父親に、父親が殺してきた人たちに、謝ってきたからだろうか。

何故か最近、身体の調子が悪くて、常に自分の身体に苦しんでいたベルアの事を考える日が増えていたのだった。


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