第三十話 ヴェルトから許可をもらいました
「なんで皇太子の誘いを断った?」
「私が、頼りたくないと思ったからよ」
「その理由は?お前が聖女としての地位を保ててるのは国王の・・・・」
「ええそうね。でも、国王が助けてくれたから、地位をくれているからといって、私が従わなきゃいけない理由にはならないでしょう?」
「・・・・だが、そうやって恩義を大事にしていくのも、この世の処世術だ」
処世術、ねえ。
「その処世術を身につけた結果が、ベルアの運命でも、そう言うの?」
ベルアは、あんな風にしか生きれなかった。
もっと早く父親に反抗していたら、悪女として処刑されることはなかっただろう。でも反抗した時点で殺される危険性があったこと、育ててあげている恩だなんだと言われていたこと、父親の過去にベルア自身が同情してしまっていたことなどから、しなかっただけのこと。
きっと誰よりも、ベルアは自分の生きる世界を耐えぬく為の処世術を身につけていただろう。
その処世術で生き抜いた結果があの結末だと言うのだから、私が恩や何かに左右されるはずがない。
「・・・・そもそも私は皇太子と付き合う気も結婚する気もないの。私は復讐の為に生き返っているのだから」
「そうだな。俺も、マドカも、目的は一緒。復讐、だもんな」
「だから、それ以外は私が好きなことだけする」
今回のこともそう、別に復讐に繋がるわけじゃない。でも、『罪人・ベルア』の尻拭いをしたい、という気持ちだけでやろうと決めた。それは、ファンである私の気持ちだ。
「わかった。至急、店を作らせる。国王が止めに入る前に完成させるぞ」
ヴェルトの許可も降りたことで、私たちは復讐を一時中断し、女性の働くための環境作りを始めることにしたのだった。




