第三話 私の好きな小説世界のエピローグの先、最悪の未来にいるらしいです
「い、今、なんて・・・・・」
「お前は、殺されたんだよ」
「殺されたって、誰に・・・・」
「リオセスリ・テスロに」
「なんでっ!」
どうして?
リオ様は、ベルアが好きで、だから、助けて、結婚したはずでしょう?
あんなに幸せそうだったのに、どうして?
「大量殺人罪、奴隷禁止法違反、国家反逆罪、の罪で、斬首刑に処されたんだよ、お前は」
大量殺人罪は、確か、結婚する前に償ったはず。ベルア自身、何もしていなかったこと、周囲に助けを求められる状況ではなかったことなどを踏まえて、一年の禁固刑で済んでいたはず。
奴隷?国家反逆?
「なに、それ・・・・。私、そんなこと、知らないわよ!」
「告発したのは、お前の父親と夫だ。そして今日、斬首刑で、お前は死んだんだ」
あのクソキャラは、わからないことはない。ベルアをずっと、愛する妻を殺したからと、憎んでいたから。
でも、どうしても信じられないのが、リオ様だ。どうして、リオ様までベルアを裏切ったの?
それに、さっき、ベルアは死んだって・・・・・。
「ベルアは死んだんでしょう?だから私はベルアじゃないわ」
「俺は闇魔術師だ。魔術を使って、お前を蘇生した」
「・・・・・そんなの、しなくて良かったのに」
なんでかよくわからないけど、私は私が大好きだった小説の世界に来てしまった。
けどそこは私の知ってる小説の世界じゃなくて、愛する人に裏切られ、殺された後の世界だった。
そんな世界で、ベルアじゃない私が、どうやって生きるっていうの・・・・?
「大犯罪者が、蘇生されたところで、嬉しくなんて無い。生きることすら、地獄じゃない!」
「・・・・復讐、ですよ」
「何言ってるの?私はさっき殺されたんでしょう?そんな人物が復讐?」
「そうだ。俺は、俺達は、今までお前を救えなかった。だから、これからの、蘇ってからの人生では、頼ってほしいんだよ」
「そんなことなら、勝手にしてよ!あなた達の後悔で、自己満で、私を巻き込まないで!」
私の憧れたベルアは、どう思ったんだろう。
愛する人に裏切られて、無実の罪を着せられて、ギロチンにかけられる、その時に。
・・・・罰があたったと、思ったんじゃないかな。
幸せになりすぎた、とか、夢を見すぎた、とか、思ったんじゃないかな。
ベルアは、はじめ、自分の幸せなんて考えたこと無い、操り人形みたいな令嬢で。
それを変えたのが、リオ様だったはずなのに。