第二十四話 女性の職場探しを引き受けてしまいました
「まあ、聖女様。おいでくださりありがとうございます」
「こちらこそ、お招きありがとうございます」
玄関で出迎えてくれたミルくんのお母さんは、あの頃より随分と体調が良さそうに見えた。
「実は私、今お仕事を探しているところでして」
ミルくんのお母さんの手作り料理を食べていた時、そうお母さんが話し出した。
「まあ、そうなの?働かれても大丈夫なのですか?体調とか・・・・」
「大丈夫とは言い切れませんが、ミルのためにも働かないわけにはいきません」
そう言われた時、私は自分の認識の甘さに気がついた。
前世でも少なくなかった母子家庭。私の周りにはいなかったから気が付かなかったけど、お母さんたちは子供のために精一杯働いていたんだ。
「でも、この国では女性が働けるところは少なくて、仕事探しに困っているのです」
・・・・そうよね。ここは前世ではないから、女性が働くなんてことは滅多にないだろうし、あったとしてもそれは奴隷か、もしくはそれなりの理由がある人。夫の姿が見当たらない彼女ですら働けないというのなら、この世界のほとんどの女性は働けていないと考える方がいいわね。
「私の方でも女性の活躍の場は増やした方がいいと思っておりましたの。ですから、そのお仕事探し、手伝わせて頂けませんか?もちろん、必ずとはお約束出来ません」
「・・・・ありがとうございます!この村では元から働きたいのに働けない女性も多くいるんです。何卒よろしくお願いいたします!」
引き受けたはいいけれど、どこが女性を雇ってくれるかしら?雇って貰えないとなると、人手が不足してるところじゃないと・・・・でも人手不足ってことはそれだけの待遇の悪さなどの要因があるのよね。
うーん・・・・。
「そろそろ行こう。長居するのも、お互いにとって良くないだろ?」
考え込んでいることを感じたのか、ヴェールがそう声をかけてきた。
確かにそうだ。ここで考えていても始まらないし、引き受けたのだからこれ以上はミルやミルのお母さんには関係の無い話だった。
お礼を言って、家の外へ出て、ヴェールと一緒に道を歩く。無言だった為、さっきの依頼を受けたことを怒っているのかと思ったが、怒っている様子もなかったので、なんにも話さないことにした。
「ごきげんよう、マドカ」
私は後ろから声をかけられた。どこかで聞いたことのある声に、私は嫌な予感がした。
振り返った先に立っていたのは、一国の王子であるアバルト様だった。




