第十八話 小説に描かれていない裏設定が明らかになりました
「さあ、ここに座りたまえ」
パーティ?が終わってから何故か私とヴェルトは国王陛下に呼ばれ、客間に通されていた。
「この間もお話したのに、またお呼びしてすまないね」
「国王陛下、お話とは何でしょう?」
「いや、今日は息子をマドカさんに紹介したくてねぇ」
「しょ、紹介、ですか?」
なんで?やっぱり私が今日呼ばれたことには、聖女の公表以外にも意味があったの?
「アバルト、入ってきなさい」
「はい、お父様」
「・・・・」
部屋に入ってきたのは、すごく美形の男の人だった。正直リオ様より顔面偏差値が倍くらい高く、かっこいい。
「皇太子のアバルトです、初めまして、聖女様」
「は、初めましてアバルト皇太子陛下。マドカ・ルースと申します」
「マドカさん。我が息子の婚約者になってはくれないだろうか」
「・・・・え?」
いやいや、ちょっと待って。
誰が誰の婚約者って?
私が、皇太子陛下の?
「国王陛下、お待ちください」
私がフリーズしていた時、ヴェルトが国王陛下にそう言ったので、私は現実に戻ってきた。
「マドカはまだこの世界に慣れていません。そんな状態でこの国の婚約者など、荷が重すぎると思いませんか?」
「・・・・それはそうであろうな」
「ではなぜ、今そのようなお話を?」
「もう、私は間違いたくないのだ」
・・・・間違いたくない。
それは私も思っていたことだった。
もしかしたら、国王陛下も悔いていることがあるのかもしれないと、私はその時思ったのだった。
「陛下は過ちなど犯しておりません。悔いていることがあるのなら、それをこれからの政治に活かしていけばよろしいではないですか」
ヴェルトには私のような気持ちは伝わらなかったようで、ズレたことを話していた。
「・・・・政治なら、どれだけ良かっただろうね」
「・・・・」
陛下の思っていることは、きっと、陛下としてではなく、自分自身のことなのだろう。
後悔はきっと、心に重くのしかかる。痛いほど、燃えていく。
「・・・・コーネリア、なの?」
急に部屋に現れた綺麗なドレス姿の女の人が、私を見てそう言った。
こ、コーネリア?そんな名前聞いたことがない。誰のこと?
「コーネリア!」
その女の人は私の方へ駆け寄って、私のことを抱きしめ、泣き始めてしまった。
「コーネリア、コーネリアぁぁぁぁ」
私のことをコーネリアと呼びながら。
「お母様、泣き止んだのでしたら聖女様からお離れ下さい。聖女様がお困りです」
それからしばらくして、女の人は泣き止んだ。そして、その会話から女の人がアバルト様のお母様、つまり王妃陛下であることを知ったのだ。
「ご、ごめんなさいね。親友に、そっくりだったから」
親友に似ていたって理由であれほど泣いてしまうってことは、きっとその親友さんはもう、亡くなっているのだろう。
「その親友とは、私の叔母、コーネリア・ルースですか」
え・・・・?ヴェルトの叔母ってことは、ベルアのお母さん?
「ええ。国王も王妃も、コーネリア、あなたの叔母様の幼馴染でしたの」
それは、原作小説にも載っていなかった、衝撃的な話だった。




