第十五話 なぜか王室の舞踏会に招待されました
「急だが、明後日、また王室へ出向く」
「え、嫌です」
あんな格の高いところ、行きたくない。緊張するし、なにより怖い。
聖女と呼ばれるたび、胸が苦しくなる。
『月光姫』と呼ばれていた頃を、体が覚えているかのように。
「お前に舞踏会の招待状が来た。欠席するわけにはいかないだろ」
「どうして私が?もっと有名な貴族が呼ばれるはずでしょう?」
「・・・・お前、ルース家を侮辱してるのか?」
「そういうつもりはないけど。私みたいなよそ者、来ていいのか、ってことよ」
「・・・・国王陛下が呼んでるんだからいいんだよ」
「国王陛下!?またそんな面倒な・・・・」
「ここではいいが、王室でそんな無礼なこと言うんじゃないぞ」
流石に、黒髪だし、悪役ぽくても、王族に殺されるのはごめんだもの、言わないよ。
リオ様に復讐したいからこそ、ね。
でも正直、面倒なのは変わらない。
国王陛下に目をつけられて、何もなくハッピーエンドになった物語なんて、見たこと無い。
そうじゃなくても、正直、多くの人に私の顔がバレるのはできるだけ避けたいって思うのに。
最後までいたら、いろんな人に声をかけられるだろうし、もし、私がベルアに、月光姫に似ているなんて気づく人がいたらどうしよう。
「・・・・何があっても、途中で帰っちゃだめですか?」
「もちろんだ。舞踏会が終わって、この前と同じように俺と合流し二人で国王陛下に挨拶をしたら、帰っていい」
それ、舞踏会最後までいろってことだよね。
「・・・・はい」
「では、明後日だからな。今日、この後から、侍女たちからドレスのことを聞かれると思うが、お前の好きに決めたらいい。わからないことは侍女に聞けばなんとかなるからな」
「え、あ、はい」
正直乗り気はしなかったが、ワクワクした様子で待機する侍女を見ると、適当にこなすことなどできないのだった。




