第十一話 狂気に満ちた信仰なんて二度とごめんです
「・・・・無理よ。いろんな人に、勝手に崇められるのは、嫌なの」
ベルアの苦しみを、痛みを、私は知ってる。
本を読むだけの私は、体感したこと無いけど、体験なんてしたくないものだった。
「・・・・悪い。これじゃ、あいつらがしてたことに似てるよな」
「・・・・」
そうよ、痛いもの。痛すぎるもの。狂気に満ちた信仰は、二度と・・・・。
「けど、今回のことは、お前の行動から生まれた信頼だ。俺は、お前に、助けろとは、指示してない」
「・・・・私の、行動?」
「そうだ。あいつらがしていた信仰は、ベルアを見ていなかった。ただ、今回のは違う。お前の行動に、感謝してる人間がいるんだ。そう怖がるな」
・・・・確かにそうだ。私は、あいつらが作ったお人形の『月光姫』じゃない。
私は、ベルアに乗り移った、まどか、だ。
ベルアの復讐をすると決めた、ただの原作ファン。
「・・・・ごめんなさい。取り乱した」
「いや、謝るのは俺だ。考えが足りてなかった」
ベルアとしてじゃなくて私は、復讐するときに、さっきの人たちの善意を悪用することが、できるだろうか。
「でも、お前には、聖女になってもらいたい」
「そもそも、だけど、私、聖女になれるの?基本的に、聖女が使う力って、治癒魔法とかじゃない?」
「・・・・聖女の定義は『この国を救う力を持った、異世界からの使者』だ」
「その力が、私に憑いた炎の霊の力ってこと?」
「そうだ。この国には、ガルクフェンスには、火が必要なんだ。さっきの人たちから話は聞いてるなら、知ってると思うが」
「詳しくは聞いてないの。教えてくれる?」
「わかった」
そう言って、ヴェルトはこの国の衝撃的な現状について教えてくれた。




