第十話 術の使いすぎで倒れてしまいました
「お、起きたか?」
目が覚めると、そこにはヴェルトがいた。
「ね、ねえ。今日行った街の人、どうにか助けてあげることはできないの?」
「助ける?」
「そ、そう。あんなところにいたら、みんな死んじゃうわ!さっきは助けられたけど、毎日行くわけにもいかないから・・・・」
「・・・・はあ。ちゃんと助けの手は伸ばしてきた」
「ど、どんな?」
「形を保ててる家二棟に、さっきお前が使ってたものを移動した。お前の術は解けかけてたから、俺がすこし、加工したがな」
「そ、そうだ、私・・・・っ!なんで寝てるの?ここはどこ?」
初めて気がついた。私は、横になっていた。隣にはヴェルトがいるけど、他の人はいない。
寒くもないし、ヴェルトも厚着をしていないところからして、ここはさっきのところではないと思うけど・・・・。
「お前は、術を使いすぎて倒れたんだよ」
「術の、使いすぎ?」
「そうだ。どれだけ霊と完全な契約をしたといっても、急に使いすぎなんだよ」
「でも、みんなを助けたかったの!私にできることは、一刻も早く火を灯すこと。その火で、多くの人を助けること。それしか、私には考えられなかったから」
「・・・・加減ぐらい、しろよな。お前にできること、自分で見つけられたのは、偉いが」
「加減なんて、わからない・・・・」
「まあ、今回は俺も無理させたからな。これからは気をつけろ。お前が蘇った人間だと、気が付かれないようにな」
「・・・・わかってる。でも、今日だけでも、目立っちゃった。私は、あの時助けることに必死で、考えてなかったけど、みんなに、命の恩人、とか、言われてしまって」
「・・・・そうだな。作戦成功だ」
「ヴェルト、それ、どういうこと?」
「お前は、今日の人たちの証言をもって、『聖女』になる可能性を高めたってことだよ」
私が、恩人と言われることを、目的に、あの人達を私が助けたって、こと・・・・?
「そんなこと、聞いてない。私は、そんなことのために、助けたわけじゃない」
私は、みんなを助けたかった。それだけ。私にできることを、ただ、しただけ。
そこに、私のエゴは、願いは、ない。
「・・・・確かに、お前はそんなつもりないだろうな。けど、今回のことを、お前は上手く使え」
「私の、善意を、あなたの勝手に決めた目的のために、使え、って言うの?」
「そうだ。これが、お前がこの世界で、あいつらに復讐するための武器となる」
・・・・なにそれ。復讐するための武器?
他人の力を、信頼を、願いを、私に、武器にしろって?
そんなの、私には無理。あいつらと、同じやり方は、もう、嫌。




