勇者は何があっても死なない
深い深い地下室。
その奥の奥にある、檻。
俺はそこに閉じ込められている。
不快な湿気が漂い。
体内を蝕む埃が舞う。
強大な化物に敗北してしまった。
負けた俺は、鎖で縛られ、地下牢に閉じ込められた。
隣の檻には、沢山の骸骨が転がっている。
俺も直に─なんて思わねぇ。
俺がこんなところで終わる?
馬鹿が、そんなわけないだろ!
俺は機を見ているんだ。
檻から抜け出す機会を窺ってるんだ。
俺がこんなところで、タダで野垂れ死ぬわけないだろ。
欲しいものを手に入れるまで、ぜってぇに生きてやらぁ。
待ってろよ、化物っ!
しん…とした地下室内。
重い鎖の落ちる音が、響き渡る。
そして。
頑丈な檻の扉を拳で殴ると、扉が物凄い音をたてて転がった。
檻の外。
佇む俺。
ニイッと、俺は不敵に笑った。