表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第5話

『おい、小僧』


「……」


『聞いてるのか、小僧』


少年に問うたが、返事はない。


「………」


『気絶したか』


どうやら恐怖が限界に達したらしく、目を開いたまま気絶していた。子供にしてはここまでよく逃げてこれたものだ。


『全く、《《いつの時代》》でも勇者というのはクソしか居ない。それに、また村を壊滅させたのか』


やれやれ、とため息をつく。どうしてこうも勇者というのはクソしかいないのだろう。

そしてただただ私欲を満たすために凶行に走る勇者を崇拝する人間共も、頭がおかしいのではないのか。


『どうして学ばないのだ』


本当に、《《昔から》》全く変わらないものだ。


「………?」


気配探知に何か引っかかった。この感じ、王国軍か。それも30人ほどに包囲されている。

気配は消しているはずだが、なぜバレたのだろう。いくら魔法の勇者とはいえ、魔王の1人である私の気配を察知するのは不可能だ。


『まぁ、いい。雑魚が群がっても雑魚には変わらん』


気絶した小僧を自身の影の中に一時的に避難させる。


その直後、全方向から魔法攻撃。


『随分と舐められたものだ。黒箱(ブラック・キューブ)。』


攻撃が全て出現した立方体の闇に飲まれていく。


黒狼こくろう闇大蛇やみおろち。忌々しい光を喰らい尽くせ』


自身の影から闇で構築された狼と大蛇を大量に放つとあっという間に全ての王国兵が倒れていく。


が。


『………?』


おかしい。確かに殺したはずだが、生きている。正確には、生き返った。

新たな魔法……?いや、違う。これは。


『はっ……!面白い』


我が同胞の挑戦状か。良いだろう、本気で受けてやる。


『魔王唯一の全属性の使い手を、舐めるなよ。天災紅蓮煉獄ヘルディレッド・ヴォルケイノ


巨大な恒星を上空に創り出す。

そして、その恒星から上級階梯魔術以上の威力を持つ焔の雨を集中的に降らせる。


『生き返るなら、死ぬまで灰にしてくれる』


--------------------


「ゆ、勇者様。取り逃した子供は、どこにも見当たりません。森へ出向いた隊の連絡も途絶えました」


「逃げきられたのか?」


「は、はい……」


レオノスはギリギリと歯ぎしりする。そして、報告に来た兵を突き飛ばし声を荒らげた。


「小僧1匹なんで殺せない!!ふざけんのも大概にしろよ、ああ!?」


「も、申し訳ありません」


「それに、()()()の力を分けて頂いているのに、連絡が途絶えるわけないだろうっ!?あの力があればもはや()()()()()()んだぞ!?」


「す、すぐに別部隊を……」


「もういい、俺が行く!」


「で、ですが」


「勇者が出るのに文句あんのか!?」


レオノスは兵を睨みつけると、数十人の兵を連れ、森の中へ入っていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ