神威庵の一日・赤の節
『志郎×みたけ』編です。
マチルダとの一件から次の平日、俺は起床して朝食に行く前に伝言板に向かった。
伝言板には次のように書かれていた。
『志郎へ、朝食の後片付けが終わったら神威庵に来ること。みたけより』
伝言板を見た後、俺は朝食並びにその後片付けを済ませ、神威庵に向かった。
神威庵の中も神威荘同様、いかにも日本の雰囲気がひしひしと伝わる雰囲気だ。
こんな場所で客は食事を摂るんだなと思うと俺はワクワクしてきた。
しかし、どこからともなくみたけさんの声がした。
「志郎、こっちだよ!」
声がしたのは厨房からだった。
「はい、みたけさん。」
俺はすぐさま厨房に行った。
「今日はこの神威庵であたしの手伝いをして貰うよ。」
みたけさんは俺に今日は神威庵で手伝うよう伝えた。
「はい。」
「では、まずこれらを着な。」
みたけさんは三角巾とエプロンを俺に渡した。
これらを着てみると何となくワクワクしてきた。
久しぶりに学校の制服を着たような気分だった。
「じゃあ、まずは店内の掃除をして貰うよ。」
俺はみたけに促されて店内の掃除をする事にした。
志郎がモップで床の埃をかき集めている中、
「待ちな志郎!掃除は必ず窓を開けてからだ!親や先生に教えて貰わんかったのか!?」
みたけは窓を開けずにいきなり掃除する志郎に言い放った。
「は……、はいっ!今すぐ窓を開けます!」
志郎は慌てて店内の窓を一つだけ開けたが、
「誰が『一つだけ開けろ』と言った!店中の窓を開けられるだけ全部開けるんだよ!」
「はっ、はいっ!」
志郎はまたみたけに叱責され、慌てて店中の窓を開けて回った。
そして再びモップがけをするも、移動の度に埃が飛び……
「志郎!モップを雑に扱うんじゃないよ!見てみな!埃があちこちに飛び散ってるじゃないか!」
今度はモップの扱いでみたけに叱責された。
「……雑に扱うなって……、じゃあ、みたけさんはどう扱えって言うんですか?」
俺はみたけさんにモップの扱い方について聞いてみた。
「しょうがないねえ……、貸しな!」
みたけは志郎から奪うようにモップを手に取った。
「モップはむやみに持ち上げないんだよ!やむを得ず持ち上げる場合は、静かに持ち上げる。そうすりゃ埃が飛ぶのも最小限に抑えられるよ。」
みたけは志郎にモップの扱い方を教えた。
「はい。」
「あたしが今言ったようにやってみな!」
みたけは志郎にモップを返し、志郎はモップで店内の床を掃いた。
「さあさあ、開店までもう時間がないよ!」
みたけは志郎に時間を意識して掃除するよう指示した。
「掃き終えたかい。なら、外で埃を落としな。」
みたけは志郎に外でモップの埃を落とすよう指示した。
志郎は外で埃を落とすために店のすぐ外に出て埃を落としたが……
「志郎!店の入り口で落とす奴があるか!」
今度は埃を落とす場所の件でみたけに叱責された。
「えっ……!?『外で埃を落とせ』って言ったから俺……。」
「外でも埃を落としていい場所とそうでない場所があるんだよ!店の中に埃が飛んじゃ困るんだよ!うちは食べ物扱ってるから尚更だ!あんた、埃だらけの店に寄りたいのかい!?」
みたけは志郎に激昂した。
「……いえ……。」
志郎はいいえと答えた。
「じゃあ、埃を落とすのに適した場所に案内するよ。」
みたけは志郎をモップの埃を落としても良い場所に案内した。
みたけが案内した場所は風向きが神威庵や神威荘に向かない裏山だった。
「風向きが人のいる方に向いてないここならいくら埃を落としても大丈夫だよ。」
みたけはモップの埃を落として良いと志郎に伝えた。
志郎は指示通りモップで埃を落とすも……
「待った!雑にやったら飛び散るじゃないか!」
志郎が雑にモップの埃を落とそうとした為、埃が飛び散っており、見かねたみたけは志郎を制止した。
「えっ……、『ここならいくら埃を落としてもいい』って……。」
「いくらここで埃を落としていいと言っても、なるべく飛び散らないように静かに落とすもんなんだよ!」
みたけは埃の落とし方についても志郎に教えた。
「はい。」
志郎がゆっくりとモップを静かに上下すると埃の飛び方が小さく良い感じになった。
「モップの埃を落とし終えたね。じゃあ、店に戻ってモップ直したら入口に暖簾かけるよ。」
「はい。」
みたけと志郎は神威庵に戻った。
もうじき開店にて果たして志郎はきちんと働けるのか?