神威荘の住人達
俺は『神威志郎』、十八歳の男。
この物語の主人公だ。
大学受験に失敗した俺は祖母が寮母として経営する『虹南』海岸沿いの女子寮『神威荘』で働きながら浪人生活を送る事となった。
神威荘は結構凄いんだぜ。
何が凄いのかって?
『生き女神』と揶揄される程の美女が九人も生活してるんだ。
それじゃ、一人ずつ紹介していくぜ。
起床した俺は身支度を済ませ、自室から出た。
「志郎さん、おはようございます。」
銀色の長い髪に波ダッシュの形をした紫紺の髪留め並びにアホ毛一本生やし、紫紺の瞳の垂れ目にて白い服を来た女性が俺に挨拶をした。
「『マチルダ』、おはよう。」
彼女はこの物語のメインヒロインのマチルダなんだけど、留学生じゃないんだ。本名は『町村ちるだ』。ニ十歳にて私立大学『虹南女子大学』芸術学部美術科三回生のとっても穏やかで奥ゆかしくて等身大のヒロインを絵に描いたような人物なんだ。
何故俺が彼女を「マチルダ」と呼ぶのか……、それは次の話にとっておこう。
俺が一階の食堂に入ると、
「おはよう、志郎!早速だけどみんなの分の配膳頼むよ!」
厨房から臙脂色の短髪を三角巾で覆った褐色肌にて吊り目で赤いエプロンをした女性が俺に挨拶をするついでに配膳を頼んだ。
「『みたけ』さん、おはようございます。これから配膳にかかります。」
厨房にいる彼女は『木曾みたけ』。虹南女子大学家政学部食育科を卒業したばかりの二十二歳。調理師の免許持ちで、この神威荘の食事の担当だ。併設の飲食店『神威庵』も経営している為、俺や他の女達以上に忙しい日々を送っている。
俺がみんなの食事の配膳をしようとした矢先に、
「志郎、今日は燃えるゴミの日だろ。私も手伝うからさっさと行くぞ!」
栗色の髪の長身にて吊り目の女性が俺に声をかけた。
「はい、『椎磨』さん。」
彼女の名は『椎磨よろい』。二十一歳にて虹南女子大学体育学部スポーツ科学科四回生で、女性ながら屈強な肉体の持ち主である事が男の俺でもわかる程だ。
「『くれあ』さん、俺は椎磨さんとゴミ出しに行くから、配膳をお願いします。」
俺は配膳について近くにいる褐色肌の金髪長髪にて左右に縦巻ロールで縁なし眼鏡の吊り目の女性『くれあ』に引継ぎを頼んだ。
「わかりましたわ、志郎。」
彼女の名は『金乃くれあ』。二十二歳にて虹南女子大学社会学部経済科を卒業したばかりで、神威荘の経理を担当してるんだ。また、日本人と外国人のハーフで、良家育ちのためか言葉遣いが上品なのが素人の俺でもわかる程だ。
椎磨さんとゴミ出しから戻った後、俺と椎磨さんは手洗いを済ませて食卓に向かえば既に配膳も終わり、残りの人達もみんな席に着いていた。
さて、残りの人達を紹介するよ。金髪ポニーテールの垂れ目で緑色のストールの女性はマチルダとは違って正真正銘の留学生『ティナ=ディーヴァ』。十九歳で虹南女子大学芸術学部音楽科二回生なんだ。
次は青髪長髪の吊り目で青いストールの女性は『冷水れいあ』。二十歳にて虹南女子大学家家政学部衛生保健科三回生だ。彼女は衛生保健科だけあって衛生への徹底ぶりが凄いんだ。
そして隣に座っている同じ青髪だが短髪で首に氷の結晶をあしらったチョーカーを巻き、白い服を着たれいあそっくりの顔立ちの女性はれいあさんの妹、『冷水ううあ』。十九歳にて虹南女子大学体育学部アスリート科二回生だ。推薦入学で入ったと言うから羨ましさを感じるな。
次に藤色の長髪垂れ目で左目が髪で隠れたミステリアスな女性は『鑑ゆら』。二十一歳にて虹南女子大学社会学部歴史科の四回生だ。
最後に銀髪赤目にて吊り目の黒装束の影のある雰囲気の女性がマチルダの双子の妹、『町村みかど』。ニ十歳にて虹南女子大学社会学部法学科三回生だ。
以上で九人の紹介は終わりだが、まだまだあった。
皆が食事をしている中、隅っこでキャットフードを頬張っており、氷の結晶をあしらった首輪をした雄の白猫が『コンル』。ペットとしてこの神威荘で飼ってるんだ。
これで登場人物の紹介は終わりだよ。