表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/44

幕間:“知る”ということ

10/12

 何かを“知る”ということは、同時に“死ぬ”ことでもある。


 その“知る”何かは何だっていい。


 魔法という超常現象があること。

 全ての住民が不死の世界が存在すること。

 友人の知らない一面。


 “知る”というのは不可逆な変化を生み出す行為だ。どのような些細な情報であろうと、知った後は“知る”前には戻れない。


 例えるなら、君が何かの作品のファンだとしよう。ある日君は、その作品の作者が重大な罪を犯していると知った。すると、作品に触れるたび作者の犯罪が頭によぎり、素直な気持ちで楽しめなくなるーーー

 そんな経験、1度はあるだろう?


 “知る”瞬間というのは、無知だった自分自身が“死ぬ”瞬間でもある、ということだ。


 さて、余談はこの辺りにして、本編に戻ろう。


 我らが主人公、浅野ひかるは無知であった浅野ひかるを殺した。

 ペインに殺されたと言っても良い。

 彼は思い出してしまった。再び“知って”しまった。彼が如何なる人生を送ってきたのか、その走馬灯を。

 彼の前をよぎった走馬灯は以下の通り。

 鬱屈した生活。抗えない無力。蝕む絶望。

 そして、ビルの屋上、フェンスの外にいる自分。

 鮮やかな、決して夢などではない、自由落下の瞬間。


 それらを組み合わせれば、何が起こったのかは自ずと明快に導かれる。

 即ち、浅野ひかるという少年は、落下死した死者であると。


 “転生者”というのだから、死んでいるのは当たり前だ、と第三者は思うだろう。しかし、『自分が死んだこと』の記憶に制限をかけられていた当人には鮮烈な衝撃だった。

 加えて、浅野ひかるは(さと)い少年だった。

 記憶が制限されていた事実から、自身を保護してくれていると思っていた“学園”は、実は自身を騙し支配しようとする存在であることを“知った”のだ。


 いやはや、残酷なものだ。

 “知る”ことさえなければ、彼は純粋な気持ちで学園生活を謳歌できたろうにーーーいや、聡い彼のことだ。そのうち“学園”の欺瞞に気付くのも不思議ではなかったろうが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ