男爵令息は見た!中庭の席取りは恐い
ぶっちゃけ、キャラの名前は覚えなくてもサクッと読めるかんじです。
マーガレットさんはあれだ、歩く虫寄せ爆弾だ。
色んな所で喧嘩が起きる。
「そこを退いて下さる?」
中庭に響く。あ、金髪ドリルじゃない。めっちゃ普通のボブカットで茶髪の子。
まただよと近くにいた男子生徒がいう。
えーと、あれ。王子の取り巻きの一人………緑髪インテリ眼鏡。
すまん、アホしか覚えてなかった。確か伯爵?だった気がする。
「彼女は本当に問題児だな」
「そう?彼女からは何もしてなかったけど」
「ふん、どうだかな」
なんていうか、もう少し穏やかに出来んのかね?男も女も。
もう構うことないのになー。
「どうしてですか」
「そこは私の席です、だから退いて下さる」
「そうでしたか、知りませんでした、どうぞ」
一人分の席を空ける。ボブさんは顔が真っ赤になっていた。
マーガレットさん、まじで煽りスキル高いな。
「その席を空けて下さらないかしら」
「どうしてですか」
「私の!席です!」
「知りませんでした。あなたはこの席の正式な所有者でしたのですね」
「………はい?」
「おや、貴方は言いました『私の席』と、つまり、何らかの理由でこの貴方専用の席は中庭に存在していると」
「………えーと、そこまでは………」
「いえいえ、大変失礼しました。私に知らないことを教えてくれる方は貴重です。ロイエル殿下にも教えていただけなかったことを知ってるとわ、世間は広いですね」
「………そのすいませんでした」
「いえいえ、滅相もない。大丈夫です、ロイエル殿下はいつか私に教えるつもりだったのでしょう。では失礼します」
うん、マーガレットさんマジで怖いな。
「ふん、あの席があんな小娘の席なわけがないだろう」
「あ、やっぱり?変だと思ったんですよ」
「当たり前だ。強いて言えば学園が保有者だ。それもわからんのか」
あっ、この人もダメだわ。インテリじゃなく駄眼鏡だった。
腹芸もわからんのって貴族として大丈夫なのだろうか。
「そういえば成績の方はどうですか」
「ちっ、忌々しいことにまだ勝てる気がしない」
「あー、流石にこないだの教室の件はびっくりしました」
「まさか、一位を取るためにそこまでしていたとわ」
うん?あれ、そこまで必死じゃなかったよ?
いうなれば、朝起きて夜寝るくらい自然体だったよ?
「人には色々向き不向きがありますからね」
「ぐはっ、言うじゃないか」
あっ、しまった。腹芸苦手そうだったから油断した。
「すいません。マーガレットさんにも何かあるんだと思ってて」
「ふん、君は優しい奴だな。俺にもあいつにも気を使う言葉をかけるとは」
はい、違います。面倒くさいから角が立たないようにしただけです。
しかし、あんたもアホと同じくらいチョロいな。
大丈夫か?この国?
「すまない、君の名前は聞いてなかったな」
「………ドラセナ・B・ラインシア。三男です」
「ドラセナ、良い名だ。知ってると思うが私はトライア・E・リーサル。トライアでいい。これからもよろしく」
「よろしく、トライア」
言えねぇー、知らなかったとか駄眼鏡呼びしてたとか。
絶対言えねー。
うん。しかし、まぁあれだなー。
俺は思ったことは飲みこみ駄眼鏡と別れる。
少し、マーガレットさんを観察しよう。
そう決めたのだった。
今日の意訳
「どうしてですか」(何言ってんの)
「そうでしたか、知りませんでした、どうぞ」
「どうしてですか」(頭大丈夫?)
「知りませんでした。あなたはこの席の正式な所有者でしたのですね」(権力乙)
「おや、貴方は言いました『私の席』と、―」(言ったことは責任とれよ)
「いえいえ、大変失礼しました。―」(殿下しってるのかな?)
「いえいえ、滅相もない。―」(黙って帰ってあげる)
駄眼鏡の心境
「人には色々向き不向きがありますからね」(無駄な努力乙)