今度は彼女の番………だったんだが?
そして次の日、
「あら、どうしましょう」
俺は声の方へと目をやる。そこには、破られた教科書をもつマーガレットさんがいた。
周りは笑っている。デイジーに目をやる。顔がぷるぷる震えて口を押えていた。
あと、王子は寝ていた。おい、勉強しに来てんだろ!バカか!
「ごきげんよう、マーガレットさん」
出た。金髪ドリル、あいつも懲りないなー。
「ええ、ごきげんよう」
―ん?なんか変だな―このやり取りに違和感を感じていた。
「何かお困りのようですね」
「えぇ、そうですね。まさかこのようなことが学園で起きると思ってなかったので」
「まぁ、大変!教科書がボロボロではなくて」
周りはくすくす笑う。うん、こいつらもドリルも性格悪いな。
「えぇ、本当に。でも、きっと何かの手違いでしょう」
「まぁ、なんと健気な」
「ええ、こんなことをするのが学友にいるとは少しつらいです」
「………ええ、そうね」
うっわードリルの顔がやばいなー。苦虫を嚙み潰したような顔してる。
「きっと、余程の余裕がある方なのでしょう」
「想像がつかないですね」
「でも、心配していただかなくて結構ですよ」
「あら、それは本当なのですか」
「えぇ、だって、私、教科書使ってないので」
笑い声がやんだ。場が一気に氷ついたのが分かる。
ダメを押しにもう一言出てきていた。
「えぇ、入学前から準備してきたので」
「………さすが、公爵令嬢ね」
「元、ですね。今は平民。恩情で通わせて戴いてる身です」
「あら、授業がはじまるわ。ごきげんよう」
「えぇ、ごきげんよう」
ドリルはどすどすと自分の席へと戻っていく。
いつの間にかアホは起きていた。
本日の意訳
ド「たすけてやろう」
マ「そう」
ド「無様ね」
マ「馬鹿なことする人がいるね」
ド「(腹立つな)」
マ「自信無いの、もろばれ」
ド「調子乗るな」
マ「無駄でした、もう勉強終わってるで」
ド「マジで腹立つなおまえ」