表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも通りが異常な件  作者: 遊佐環ライン
3/5

飛ばされる先

暗い・・・。

ここは何処。

ある者が腕を伸ばす。

だが、触れるものは何一つない。

視界も真っ暗。

ただ一つ分かることは、ここが未知の場所ではなく何らかの場所であること。

「・・・・・・、」

口を動かそうとするけれど声は出ない。

むしろ、口が動いているのかも定かでは無い。

「誰だ・・・・・・?」

どこからか声が聞こえる。

いや、聞こえた気がした。

「・・・・・・・・・」

だけどこちらからは声は出せない。

「そっか、・・・・・・と言うのか、よろしくな!」

誰かの声がその者に言うが誰が誰なのかわからない。

声の口調からして、歓迎されているようであった。

誰かわからないが知らない人の感じがしなかった。

「そういえば、ここまで何できたの?」

先程から聞こえてくる声と違って、女性のような声がした気がした。

「まあ、焦ることはないよ・・・ゆっくりとしていったらいいわ」

「・・・・・・」

誰かわからないはずなのにどこか暖かい声であるのは知っている気がした。

だけど、何も出来ない。

その者は目を閉じるかのような感覚で研ぎ澄ます。

だが、意識は朦朧としていた。

「大丈・・・、・・・そのうち、思い・・・・・・・・・」

声も途切れ途切れになる。

そして、少しも経たずして意識が途切れた。



暗い、というか薄暗い場所に今度は立っていた。

「今度は一体、なんだってんだよ・・・」

華鈴はそう呟きながら周りを見渡しながら歩く。

だが、見えるものはなく今度は暗闇の世界だった。

そんなこんなで、時間をかけながら歩き続け華鈴は何かの気配を感じたのか立ち止まる。

「誰や・・・」

華鈴はつぶやくと目を細める。

何かが見える訳では無い。

だが、見えないわけでもない。

「誰か居るんか?」

華鈴は少し大きい声で聞いた。

誰も居ないので華鈴の声だけが響く。

「って、誰もいる訳がないか・・・見えないし」

華鈴は肩を落としながら息を一つ吐く。

「お待ちしておりました」

華鈴は再び歩き始めようとした瞬間声らしき声が聞こえる。

華鈴は警戒心を鳴らしながら周囲を見渡す。

華鈴には目の前の景色は真っ暗な景色だったはずが突如人が現れたのだ。

「アンタは誰や」

華鈴は警戒しながら聞いた。

「わたくしは知性を司る者。そして、もう一人の貴女です」

華鈴は自分を名乗る誰かを見つめる。

容姿は華鈴と同じ様に容姿端麗であった。

違いは髪の色と長さである。

華鈴の髪は長く膝裏位まであるがもう一人のの華鈴は肩位までしかなかった。

そして色も赤と比べて銀髪と輝いていた。

「巫山戯るんやないで、うちが2人も居てたまるか!」

華鈴はそういうともう一人の自分に近づく。

「仮にもう一人のうちやとして証拠はあるんか!?」

そして掴みかかるように言う。

「それでは、証明致しましょう・・・」

もう一人の華鈴はそういうと華鈴の肩を出来ながら顔を近付け額をくっつける。

華鈴は何かをされると思ったのか目を閉じる。

そして彼女達の額を合わせた状態でもう一人の華鈴が口を動かす。

だが何を言っているのは華鈴に理解するどころか聞こえることもなかった。

そして、異変を感じたのはすぐであった。

「アンタ一体何を」

「貴女の記憶を流させて頂きました。」

もう一人の華鈴はそういうと華鈴は距離をとる。

今の華鈴には幼い頃から今までの記憶が思い返されていた。

「いいだろう。アンタがもう一人のうちだということは認めよう」

頭を抑えながら言うともう一人の華鈴を見つめた。

「それで、ここどこや」

「ここは召喚の為の場所。所謂、異世界への玄関口と言いましょうか・・・簡単にいわば回廊です」

「それでなんの為にうちはここに居るんや?」

「スキルや能力の確認の為です。それが済めばあちら側・・・いえ、喚ばれたもうひとつの世界への転移を開始します」

もう一人の華鈴は淡々と質問に答える。

「向こう側に必要なものってなんや」

「今はスキルなどの確認を行っていただきます」

もう一人の華鈴は笑顔で答えた。

「分かった、どうしたらええの?」

華鈴はそう言うともう一人の華鈴を見つめる。

「こちらに手を#翳__かざ__#してください」

もう一人の華鈴は掌を出して言う。

「翳すって言ってもどこに?」

「わたくしの掌に翳して頂ければ大丈夫です」

「分かった」

「これでええんやね?」

「はい、それでは確認・継承・獲得を行います」

華鈴は手を出された掌に翳すともう一人の華鈴は機械質な口調になり答える。

それよりも、確認とは聞いていたが余分な物が二つほど増えていた。

「あぁ、始めてくれ」

そして華鈴も男口調で答える。

「それでは、始めます」

もう一人の華鈴はそう言うと目を閉じる。


「告ーー。

これより、能力の確認、継承、獲得を行います。

カリン・タチバナの能力は以下の通りです。


異世界人

職業・・・召喚者

ユニークスキル・・・敗走不敗の魂

エクストラスキル・・・魔王の加護、祖龍の加護、覇王の加護、転写眼、模倣眼、千里眼

スキル・・・魔法反射

呪術反射

召喚の儀式(全)

召喚の儀式(龍)

変質者


以上です。

これより、能力の継承、統合を行います。


召喚者により、召喚の儀式(全)+(龍)を統合します。

『ドラグナー』へと職業がクラスアップしました。

続きまして、魔王の加護と覇王の加護を統合します。

『邪神の魂』へと統合しました。

付随して、『邪神の加護』を獲得しました。

引き続き、転写眼と模倣眼を統合します。

『複写眼』と『反射眼』へと統合しました。

最後に魔法反射と呪術反射を統合します。

『妖魔術反射』へと統合しました

付随して『魔法・妖術・呪術無効』を獲得しました。

以上です。

結果下記の能力になりました。


異世界人

職業・・・召喚者ドラグナー

ユニークスキル・・・邪神の魂、敗走不敗の魂、邪神の加護

エクストラスキル・・・祖龍の加護、複写眼、反射眼、千里眼

妖魔術反射

スキル・・・魔法・妖術・呪術無効

変質者


以上です」


「これで終わりです」

「あのさ、聞きたいことが山ほどあるんやけど・・・」

華鈴は眉をピクピクと動かしながら何かを耐えていた。

「なんでしょうか?」

もう一人の華鈴は笑顔で訊いた。

「職業が勝手に決まってるのは、なんでや?」

「転生者や召喚者の場合、色々と職業があるのですがその者に一番適しているものを自動で割り振りされます」

「それじゃあ、邪神の魂と加護ってのは?」

「個人専用のスキルに関しましてはこちらでお答えすることは出来ません。ですが、何らかの理由で付与あるいは統合して追加されたものになります」

もう一人の華鈴はそう言うと華鈴は難しい顔をしながら右手で頭を掻く。

「難しいことはよくわからんがアンタでもわからないことはあるって事は分かった」

そう言うとひとつ思ったことがあったのかスキル項目のひとつを指さした。

「それはそうと、エクストラスキルの祖龍の加護って何や」

「簡単に説明しますとそれは、祖龍・・・いわゆる、始祖の龍であるバハムートのお護りです」

本当に簡潔な説明であった。

「それって、バハムートに認められてるってことでええんか?会ってもおらんのに」

「その解釈で間違いありません。ですが、使役するとなると話は変わってきます」

「ってなると、召喚は出来ひん訳か」

「出来ない訳ではありません」

「なんかややこしい話やな・・・もういいや、難しい話は終わり。考えたことが、あるんやけど・・・」

華鈴はそういうともう一人の華鈴に近づいた。

「もう一人の自分と言われてもしっくり来ないから名前を与える。そうだなー・・・、うちの未来も知っていそうやから立花 #未来__みく__#はどうや?」

華鈴はもう一人の自分に立花 未来と名付けると未来は嬉しそうな顔をする。

「ありがとうございます。それでは、今後は未来として名に恥じないように努めます」

そして、右手を胸に当て深々とお辞儀をした。

「そう言うんはなしや」

華鈴は照れ臭そうに言うと満更でもない表情をした。

「それじゃあ、未来・・・ありがとうな」

「いいえ、華鈴様の為であればわたくし未来・・・これ以上ない働きをして見せます」

未来はお辞儀をした状態でそう答えた。

「うちのことを様付けするんもなしや・・・そういう柄でもないし」

「かしこまりました。華鈴・・・それでは、今後の流れを簡単に説明を致します」

未来はお辞儀を辞めると姿勢を正す。

「よろしく」

華鈴は未来の言葉に頷く。

「このあと、目の前の通路をまっすぐ行かれますと明るい場所に着きます。そこに着きましたら自動的に転移を開始しますので心の準備をお願いします。転移場所はフリーデン国のある部屋です、誰が呼び出したのかはわかりません。ですがすぐ近くにいらっしゃると思います」

「分かったけど通路って?」

華鈴は尤もなことを聞いた。

それは、今居るここは光があり、小部屋みたいな空間だがその先と思われる部分は真っ暗となっているのだ。

「今は見えませんが一歩でも踏みいれば、自ずと道が出来ます」

「そっか・・・」

華鈴は頷くと、真っ暗な場所・・・未知の領域に手を翳す。

すると暗闇の場所だったのが一筋の光の道ができた。

「もしかして、これの事か?」

華鈴は後ろに居る未来に聞いた。

「そうです」

未来はそう言うと再び一礼する。

「分かったわ・・・それじゃあ、短い付き合いやったけどありがとな」

「いいえ礼には及びません」

「そっか・・・そんじゃ、またどこかでな」

華鈴はそう言うと未来から視線を逸らし未知の道へと歩みを始める。

未来はそんな華鈴を見つめながら小さい声で呟く。

「はい、次はあちら側でお会いしましょう!」

その言葉は華鈴に聞こえることは無く未来は微笑むのであった。


・・・・・・・・・。


「この道をまっすぐって言われたけど長いな・・・」

華鈴はそう呟くと歩みを止め、後ろを振り向く。

歩き始めてから随分と経ったようで、未来と話した場所はもう見えない。

むしろ、歩いてきた道順がもう既に無くなっており真っ暗な状態であった。

これでは、戻るに戻れなかった。

「もう少し、あの子と話してもよかったかな・・・」

華鈴は少ししおらしい気持ちになるが直ぐに戻す。

「それより、早く向こう側に行ってアイツらの安否を確認しないとな・・・」

直ぐに気持ちを切り替えて再び道を進む華鈴。

そして、暫く歩き続けた華鈴は終着点が見えたのか走り出す。

「アレか・・・そうと分かれば急ぐか」

走り始めて五分も経たずに歩いた。

「女子ってこんなことに耐えていたのか・・・」

華鈴は少し青い顔をしながら胸元を押さえる。

そう、今の華鈴は女子用下着をせずに上からシャツとワイシャツを着ている状態である。

「これじゃあ、痛くて走れへんやん」

華鈴は己についている2つの胸を見て肩を落とす。

走れないと悟った華鈴は歩いて目的地に向かった。

「そういえば、皆はどんな能力を手にしてるんやろう・・・」

華鈴は飛ばされているであろうほかのメンバーのスキルの心配をしていた。

「まあ、ウチみたいなスキルがなかったらええんやけど・・・特に邪神の魂とか」

華鈴は自分のスキルに少し呆れた声を出しながら歩く。

そう、華鈴のスキルには特殊なスキルがあるのだ。

だが、そのスキルの詳細は分かっていない。

「どうやって、調べたもんやろう」

華鈴はそう言うと両手を頭の後ろに回しながら考える。

「まあ、そのうち分かるか」

考えるのを諦めて道を進む、華鈴。

そして、そのうちに目的地である終着点に着く。

「確か、ここに着いたら自動的に転移されるはずだったっけ」

華鈴はそう呟くと当たりを見渡す。

だが周りには一切目立つものは見当たらず、いや、見当たらないと言うより、何も見えない。

「どのタイミングで飛ばされるんやろう?」

華鈴は終着点の中心で立ち止まると独りでにそう呟いた。

着いてそんなに時間は経っていないが転移のことを考えていた。

華鈴の心構えはもう出来ているとしか思えない状態であった。

「そう言えば、未来には言ってなかったけどうちが女子になっていることは分かっていたんやろか?」

華鈴はそう言うと未来のことを考えた。

もう一人の自分とはいえ本当は男子であることは知っていたのかという疑問が今になって感じてしまっていた。

だけど、今の華鈴は女子であることを深く考えないようにしていた。

そんなくだらないことを考えているうちに時間が来たようだった。

『解、只今を持って、立花華鈴及び他四名の転移を行います』

未来と違った甲高いだけの声が終着点に響く。

そして、言い終わると同時に足元に転移の魔法陣が展開された。

華鈴は自分のスキルに魔法反射があることに気が付く。

「ねえ。聞こえるかわからんけどこれって魔法になると思うんやけどスキルは関係ないんか?」

華鈴は自分のスキルを知っていてのことを聞いた。

『皆さんの質問、スキルは関係はあるのかの問。解・・・今の時点では関係はありません。ここではスキルの確認だけですので常時発動するスキルでもここでは無意味と言って過言んではありません。ですのでご心配なく転移を実施されてください。そして、転移先には各々が呼び出された召喚者がいると思いますので指示には従うようにしてください。それでは、皆様のご活躍をお祈り申し上げます』

誰か分からぬ甲高い声のものはそう言い放つと華鈴に転移をかける。

「ちょっと待て、ほかのメンバーって、あいつらもウチと同じようなスキルを持っているって事か?」

『解。かの者達も立花華鈴と同様に魔法反射を持っております。なお、この言葉は各位に伝わっています。ですが立花華鈴の言葉を伝えることは出来ません』

声は言い切るように言う。

「そっか、アイツらも持っているのか・・・・・・敵に回したくないな・・・」

華鈴は尤もなことを言葉に出すと苦笑いを浮かべる。

そしてそう呟いて直ぐに再び光に包まれるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ