ギャルとオタク、ショッピングに行く 弐
「ギャルは昼飯なに食べたい?」
ギャルは少し考えて、
「カフェでも行こうぜ」
「カフェって、スタバとか?」
「そうそう、他にもあるけど、近くにあるしスタバ行こうぜ」
ギャルは指を指して歩み進む、
「ちょっと待ちなはれ!!」
オタクは勢いよく言葉を放つ。
「待ちなはれって、何だよ」
「スタバってオタク入っていいの?」
オタクは、しんみりと聞く。
「入場規制はないはずだけど……」
「嘘をつくな!! 俺の友達のオタクAは、入店禁止されたと言っていたぞ」
「それはないよ、嘘だよ、A君の」
「他にも、オタクを隠して忍び込んだら、ドレスコードに引っ掛かったらしい」
「まず、忍び込んだらダメ、あと、ドレスコードは、ない」
「他にも、オタクBは、真ん中の大きさ頼んだら、結構大きめのサイズ出て来て、お腹を壊したらしい」
「トールサイズのこと? 結構量多いよね確かに」
「何と、おぞましい」
「おぞましくは、ねーよ」
「他にも、Tの謎記号を頼もうとして、恥をかいた、オタクCもいる」
「それもトールの話だぞ」
「さらには、タルって書いてあったから、頼んだら、定員に笑われた、オタクDもいる」
「オタク連中は、トールが読めない病気なの?」
「こんだけ俺がごねてるんだから、行くのやめようよ」
「えー、私スタバのお腹になったから、それ以外受け付けたくないって、私のお腹がいってるもん。だから行きたい!!」
「スタイルも、お腹も、わがままボディと言いたい訳ですか、なんて、恐ろしい子!!」
「良いじゃんスタバで、私がいるから大丈夫だって」
「わかった、行くわ」
*********************
「桜フラペチーノ二つください、ショートで」
ギャルが注文をした。
「承りました」
店員が返事をする。
「俺思ったんだけどさ」
「どうしたんだよ」
「ここの人間は、もしかしたら中二病なんじゃないか?」
「中二病は、オタクだろ」
「そう、だからわかるんだよ、感じる、濃厚な中二病の匂いだ」
オタクは瞳を閉じて、両腕を肩の高さまで上げ、指で丸を作った。
「変なもの感じるな、あと、ヨガのポーズとるな。恥ずかしいから」
「俺とスタバの住人の共通点は二つある」
「ほう、言ってみろよ」
「一つ目は、ちょっと他と違う横文字(カタカナ文字)、使いたがりなところ。中二病は、横文字大好きだからな」
「他には?」
「二つ目……一人で座っているやつら、あいつらは明らかにおかしい」
「何でよ、別におかしくないじゃん」
「だって、よく考えてみろよ、この人混みの中で、心が安らぐはずないだろ」
「まあ、間違ってはないな」
「なのに、スタバで休憩している、おかしくないか?」
「雰囲気が好きだから、いるだけじゃないの?」
「雰囲気が好きなだけで、こんな人混み来るわけないだろ、バカめ」
「バカっていうな」
「つまり、あの一人でパソコンいじってたり、本読んでたり、勉強しているやつら、あれは、そんな作業しちゃいないんだ」
「じゃあ、何してるんだよ」
「あれはな、酔ってるんだよ自分に、オシャレな所で勉強、本、パソコン、やってます。私オシャレで、シャレオツでしょってな」
「中には、真面目にやっている人もいるだろうよ」
「本当に真面目ならば、図書館や、もっと人が少ないカフェに行けばいいだろう」
「確かにそうかもしれない」
「そして、自分に酔っているっていうのは、中二病の才能そのものなんだ。中二は常に自分に酔っているからな」
「んー納得はしたくないけど、まあそうなのかね」
「ちなみに、ナルシストと中二病も紙一重の存在だぞ」
「自分に酔ってるからか?」
「そうだ」
「じゃあ、酔っぱらいは」
「あれは、自分でなく酒に酔ってるから違う」
ギャルは、少し遠くを見つめて、オタクに未来の話をする。
「私達、年を重ても、お酒を飲めるような関係でいような」
オタクは照れ笑いを浮かべながら、
「俺たちなら、きっと……続けられるさ」
そう言って、
拳を体の前に出した。
ギャルは、笑いながら、拳を合わせて、
声を出した。
「オタクは、本当に中二病だな」
ギャルにとって、
拳の感触は、悪くないものだった。
*************
ブックマーク、評価、ありがとうございます。