実験実行を繰り返すうちに馬車に乗る薬剤師 商人
リアルが忙しすぎてつらみ
でも、私自身の世界がある限り書き続けます!遅れてしまいすいません…
道を教えてもらった後、兵士と別れたその数時間後。一人道を歩く薬剤師薬芽 実は、自分自身のステータスを見直していた。やはり自分の職業は《万能型 薬剤師》であり、勇者ではなかった。これはおかしいとか、あいつらだけなんでとか、そんなことは思わなかった。だって、それでも万能型というのは万能ということ。これならば異世界でもなんとかなるのではないかと、そう思い気軽に道を歩いていた。そんな時…
ピコンッ
音が鳴った。ステータス画面からだ。なぜ鳴ったのだろうか? 原因はすぐに見つかった。
[素材 薬草 全種適性]
はて、これは一体なんだろうか? 薬草、ゲームでいう回復アイテムなのはわかる。けれども全種適性? そのままの意味で解釈すると、全ての種、つまり種類だろうか。それらの相性が良いというべきか。これは、薬剤師だからこそのスキル? でわかったようだ。そのスキル名は〔鑑定〕 鑑定というと調べれば調べたものがなんなのかがわかるっていうやつだろうか。試しにその項目を押してみる。するとステータス画面から複数の光の線が出てきた。その先には草が生い茂っていた。なるほど、これらが薬草なのだろう。薬剤師としては回収しておいたほうがいいのだろう。とりあえずは袋に入るだけ入れておこう。ぶちっぶちっと採っていき、総数は15個ほど採れた。
喉が乾いたな皮袋水筒を傾け水を飲む。が、とうとう水が無くなってしまった。見た目より水が入っていなかったのだろうか? 仕方がないので水筒をしまおうとすると。
ピコンッ
また音が鳴った。薬草だろうか? ステータス画面には〔水筒 皮袋水筒 容量が持ち主の気持ち次第で変わる〕と書かれていた。気持ち次第で変わる? 一体どういうことだろうか。試したいが水を汲める場所がない。溜息を吐き出し歩き出す。五分ほどだろうか。ステータス画面の〔皮袋水筒〕の横に〔水汲み場〕と出ていた。まさか…もしかしたら…と期待を膨らませ画面を押す。予想は的中したようだ、画面からまた線が出てく。どうやら道から外れている場所にあるようだ。が、水が欲しいので、そちらの方へと歩いてく。
外れた先は森のようになっていた。奥に見えるは大きな岩に亀裂があり、その中から水が勢いよく出ている。さながら岩の中からの滝出しショーのよう。
ピコンッ
音が鳴ったということはここでも何かあるのだろう。画面を見る。そこには〔素材兼消耗物 水 新鮮な水。なんでもお腹は壊さない。全ての源〕とあった。随分と多いいな、説明的な感じだろうか? それはともかく水だ! 喉の渇きはなんとかなりそうだ。さて、皮袋水筒の性能をやっと見れそうだ。説明文には気持ち次第で容量が変わると書かれていた。ならば、当分は水に困らないくらい欲しいところだ。業務用でよくみるようなダンボールに詰められている水を思い出す。12リットルほどはあるらしい、それをイメージしながら水を汲んでみる。
ギュボボボボッ!
「うわっ!?」
思わず声が出てしまった。恐ろしい勢いで水が皮袋水筒の中に入っていく。何十秒かたった後、汲むのが止まった。すかさずステータス画面を見る。〔素材兼消耗物 水 説明文 〕は変わらずにあった。が、横に〔水容量12リットル〕と書かれている。やった! おそらく俺が12リットル欲しいと思ったからだろう。これは予想ではあるが、明確なイメージがなければできないのかもしれない。ダンボールと業務用の水に感謝…
ちなみにステータス画面的には。
《万能型 薬剤師》
持ち物 干し肉×5 薬草×15 皮袋水筒×1(12リットル)
スキル 鑑定 調合 薬効果倍増(気持ちで変化)
と、かなりコンパクトである。そして気になる事が、薬効果倍増という項目。試しに押してみる。〔薬による効果が倍増する。気持ちが上がるほど倍増値は2倍、3倍に増える〕
なかなか強そうな…ふと、その隣にある調合も押してみる。そこには〔調合可能〕と書かれている項目があった。その下に〔回復薬〕というものがある。どのように使えばいいのか、まるでわからないので適当に押す。
ビビビビッ
音が鳴る。体が光る。ん? 体が…光る…?
「な、なになになになに!?」
慌てて自分の体を触る。光るというより淡く輝いているという方が正しいか?
「冷たっ! …え?」
冷たい感触が左手を襲う、驚いて声をあげるがすぐに困惑へと変わる。なんと皮袋水筒から水が出てきたのだ。さらには薬草が自前のバックから出てきた。目の前でその2つが交互に回っていく。そして、1つの瓶ができた。驚きのあまり尻餅をついていた俺は起き上がりその瓶を手に取る。ステータス画面が現れる。持ち物の欄に〔素材兼消耗物 回復薬 回復効果50パーセント〕と書かれている。これはつまり…
「これを飲めば体力が50パーセント分回復するのか? でも100パーセントじゃないのがなんか悔しい感あるな」
「ーーッ! き、きみ! その薬は回復薬か!?」
「え、まぁ、はい。」
「た、頼む! 譲ってはくれないだろうか?」
声に出してしまっていたのか、いやそれ以前に誰だこの「人」いや、人じゃないな。ファンタジー好きなら一度はお目にかかりたい、獣耳のそれだ。けれど、どうせだったらおっさんよりも美人さんが良かったな。目の前にいるのは犬耳とふさふさの尻尾を付けているおっさん。なんか、元の世界の神さま…恵比寿さまみたいだな。それより用件があったんだった。
回復薬が欲しいと言っていたが、なにに使うのだろうか。別にまだまだ作れるのであげてもいいのだが…
「構わない。けど、今日泊まれそうな場所が欲しいんだ。」
「泊まれる場所ですか? わかりました。まず道に戻った後に、この近くの村まで案内させていただきます。」
「村なんてあるんだ。」
「はい、ソフィリ村と言って勇者と共に村から出て行ったソフィリ様の名前が付けられているんです。」
「ソフィリ様?」
「ご存知ないのですか? その昔、村に治癒師が生まれました。その才能は切断された腕すら直すというそうです。それを見込んだ勇者様は治癒師であるソフィリ様に仲間になって欲しいと言われました。ソフィリ様はそれを承諾し、魔王が勇者様に攻撃したその回復量で世界を救ったのです。」
「本当にゲームみたいだな。」
「ゲーム? はて、何でしょうかそれは?」
「いや、ただの独り言だ。それと、何で回復薬がいるんだ? どこも怪我をしていないようだが。」
村の名前はわかったし、後は回復薬を何に使うのかが気になる。転売とかだったらそのぶんのお金が欲しいな。
そんな軽々しく聞いたつもりが、おっさんの声は、言葉はとても重々しかった。
「実は、そのソフィリ村なのですが。ここ最近で毒蛇が急増したそうなんです。そのせいで道外れにある村の畑に行こうとすると毒蛇に会い、噛まれ毒にうなされるのです。毒蛇の毒は新種のようで、普段からある解毒草を食べても治らないのです。」
毒、回復薬ではなく解毒薬が必要なのではないだろうか? それに新種で解毒“草”がダメなら“薬”がいいだろう。それに、毒っていうとゲームでは持続というのが当たり前に近い。致死は別だが。回復薬一個は足りないだろう。なら俺にできるのは…
「そうか、だったらちょっと待ってくれ。」
「は、はい。一体何をするおつもりで?」
俺はステータス画面を開く。その時に職業が見えたのかおっさんは「薬剤師…?」となんともよくわからないとでも思っているのだろう。俺は調合を押し、回復薬を14個。薬草を全て使い回復薬を作る。初めて調合した時と同様に、皮袋水筒から水が出る。薬草がバックから出てくる。そんな幻想的と言える光景が見えたからかおっさんの声から「おぉ…!」と、関心に近い声が聞こえた。
回復薬をとりあえずバックにしまい込む。
「それじゃ、村に急ごう」
「…今のは?」
「回復薬ができる上限まで作った。これが助けになるのなら協力する。」
「本当ですか!? ありがとうございます。以前からあの村にはお世話になっておりますので、とても助かります。道に戻りましょう。馬車を止めております。」
「馬車を?」
「えぇ、申し遅れました。私は商人のラベリード レトリバーといいます。…見た目通り獣人です。」
獣人と言った瞬間、顔が暗くなった気がした。何故だろうか、獣人は嫌われてるのか? まぁ、それよりこっちの自己紹介をしなくては。
「そうか、俺は薬芽 実だ。よろしく」
「…! なんとも、思わないのですか?」
「なにが? もしかして獣人って嫌われ者?」
思ったことをそのまま言ってしまった。ストレートすぎただろうか。おもわずおっさん、もといラベリードの方を見る。が、驚いた表情のまま話し始めた。
「人間の方にはとても嫌われている。というより奴隷に近いのでしょう。なので上から目線の方が多く頼みごとをしても承諾されることが少ないんです。」
「…俺、人間やめるわ……」
「えぇ!? し、失礼いたしました! 少し言いすぎたようですね…」
「いや、聞いた限り。ただの人間の欲に振り回されてるだけってことだし、俺でよければ手伝わせてくれ。」
「人間の方にも、薬芽様のような方がいるのですね。」
「様付けじゃなくていいよ。そのかわりラベリードさんって呼ばせてくれ」
「わかりました、薬芽さん。それでは、馬車で向かいましょう。」
歩いていたら馬車についたようだ。それにしても、口調の割にさん付けしちゃうのは癖になってるな。直したほうがいいのだろうか?
そんなどうでもいいことを考えつつ、ラベリードさんと共に村へと向かう。俺の作った回復薬…効くといいのだけれど……
戦闘摂理解析システム コンパス
私の一番好きなゲームでっす。ま、どうでもいいですかね〔笑)