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機械と私は鬼のいない世界へと向かう。7

「――ずれがあったのです。何度行っても。盗んだ物が他の物として認識されていたり、盗みに入った時間がずれていたり。つまり、我々の他にも過去へと飛んで実験をした我々がいるのです!同じ様な行動でも結果が。工程が違うのです!」


「それでは私たちの世界と平行して過去の様な世界、その過去の未来の様な世界が幾つも連続して存在するという事なのか……」


「それは解りかねます。我々の実験では一度として同じ世界には繋がらなかったのです。我々が世界を特定し観測する瞬間までどこの世界に繋がるのか不明なのです」


「それで、私たちに何をさせる気なのかね。まさかパラドックスがないから過去の様な世界から資源を盗んで来いなどと言う話では……」


「はい、違います。もし我々がそのような事をしたならばそのワープによる侵略を体験した過去の世界の派生として、ワープを経験した現在のような世界が生まれてしまう可能性を考えたのです。それはいけません。我々より一歩先を行った世界など存在してはいけないのです。それが敵にでもなったら。十中八九敵になるでしょうが。我々と同じ資源の危機に瀕していればこちらに侵攻してくる可能性が排除できません」


「それでは意味がないではないか。過去へと行っても敵を増やすだけであるなら私たちに何が出来ると」


「ですから、ずれを利用するのです。」


 チャーチルの瞳に一瞬陰りが見えた。


「過去へ飛ぶのではなく、我々より一歩遅れた現在の様な世界に飛ぶのです。これなら大丈夫でしょう。我々は幸運なことに未来からの侵略を受けていません。これはつまりこの侵攻により世界が安定し、未来には。と言っても未来の様な別の世界ですが。そこでは過去や現在への侵略は行われていないということになりませんか?」


「だが、我々だけで何をしてこいと」


「ヴィンセント博士にはこの現象の解明を。ケビン博士には行った先の世界の地質が資源として利用できる物であるかどうかを。ハインリヒ博士にはそこの文化の発展の調査や我々の歴史との差異を調べていただきたいと。それによりこのワープが何であるのかを明らかにしたいということです」


「そこまで違いが出ると。確認したのか?」


「ええ、もちろん。今までの実験では幾つかワープの影響を受けた世界にも飛ばされました。人の生死や国際情勢、大きくなると国家の転覆、戦争の勝敗の変化など様々でした。これから調査に向かってもらう所が、現在と同じ時間軸のような世界でも、どのような時の流れを経験した世界なのか、全くの不明なのです。十分に時間を取らせてもらいますので、こちらに帰ってきてから解析をしてもらえれば。そのための資料を判別して持って帰ってくるのが博士たちの役割です。それからです。パラレルワールドへの侵略が実現出来る物なのかを判断するのは」


「私たちが行くと決まったわけではないだろう」


「博士たちがこの機会をむざむざ逃すなんてことはないでしょう。この旅で博士たちの名声は世に勝る者無しとなるのですよ?知識欲から抜け出せるような人間でもないでしょうしね。意地を張る事はないのです。ただ欲求のままに異世界へ行ってみてはどうでしょうか?身の安全も保証できます。ここに集めた兵士たちはどれも並はずれた人間たちです」


 私たちが何か特別なのか。私は自分自身が常人より優れているなどとは思ってもいない。


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