機械と私は鬼のいない世界へと向かう。30 出会い(二人の自分)
俺は出会ってはいけない者に出会ってしまったらしい。
土と車輪の痕跡の後にあったのは小さなコンテナのある一室だった。
そのコンテナの中には鉱石やら資源が入っていた。
その倉庫のようなコンテナ部屋を抜けた先には箱庭があった。
一体どれくらいの人間を収容する事が出来るだろう。
家や庭、まるで都市の様であった。だが、人の気配がない。
俺たちはその不気味な箱庭を通り過ぎまた別のフロアへと進んだ。
そこで出会ってしまったのだ。
俺は俺に。
幾つものカプセルの中に何人もの人間が入れられていた。
誰もが眠っているようであった。
俺はその中から俺への何か信号のようなものを捉えた。
その先に眠っていたのだ。俺が。
チャーチルの言っていた通りだ。
近くに来ると自ずと分かってしまう。
近くに自分が。自分と同じ存在がもう一人いることに。
そいつは俺に対して何かを伝えようとはしていなかった。
俺はそのカプセルの扉をこじ開けた。
「おい。起きろ。何がここで起きているのか説明しろ」
一頻りもう一人の俺はむせながらカプセル内に充満していた液体を吐きだすと、俺を睨みつけた。この顔だ。俺の顔。
「聞いているのか?」
チャーチルの様にはいかないらしい。俺はこいつから何もテレパスなど受け取れない。
「お前こそ何だ。俺がどうしてもう一人いる?逃げ出してきた俺のクローンか?」
その時、俺には分かった。こいつは分かっていたのだ。
「そうかお前は、別の世界から来た俺か。間抜けが」
俺の意思からこいつへと俺の情報が流れたのだ。テレパスが通じなかったのではない。
この俺はテレパスで情報が漏れる事を知っていて、俺に情報を隠したのだ。
意図的に。
「どうやらお前は色々知ってるみたいだな。話せ。俺に。同じ俺になら話すはずだ。そうだろう?」
銃口を向ける。異世界の俺はさほど驚きもしない。
「いいだろう……」




