機械と私は鬼のいない世界へと向かう。22
私がまだ監視者に飼育されていた時の事だ。
私は誇らしかった。
自分が他人より素晴らしい成績を残す事が。
自分がどの人間よりも優れた体力を持っていた事が。
そんな私に張り合ってくる女がいた。名前は知らない。
ただ体力の維持と効率の良い老廃物の排出のための集まりの際に、私の走りについてこようとする者がいたのだ。
息切れをしながら、足元が縺れながら。
醜いと思った。
私のように走れず。
私のように素晴らしい肉体を持っていない彼女が。
彼女に対して言い様のない嫌悪感は日に日に募り、遂に彼女にあることをしてしまった。
彼女が息も絶え絶えにしているのを私は眺めるしか出来なかった。
監視者は直ぐに来たが彼女を救おうとはしなかった。
私だ。
私が意思の元に行動したのだから、それに対して彼女の監視者は意思で対処しなければならない。
私の悪意は実ってしまった。
彼女は次第に息をしなくなった。それでも監視者は動かない。
彼女は動かなくなった。
それで監視者はやっと動き出した。
彼女を抱えると監視塔の方へと向かい出す。私はそれがとても気に入らなかった。
それからだ。
私が屑鉄に嫌悪感を抱くようになったのは。
それはシドに遺伝子の調査をしてもらった後には私の体自身にも及んだ。
これは私の物ではない。機械が作った身体だ。
その感情は全く拭えない。
自分が自分でない様な感覚、まるで意識でさえも弄られているような不信感。
これを私が克服するには何が必要か。何をすればこの気持ちが少しでも晴れるのか。それだけを考えて生きている。




