機械と私は鬼のいない世界へと向かう。19 新たな転送地点
「どうやらこちらには来ませんね」
ゲートに銃を向け、今にもこちらに来そうな程に近くにいる機械たちを尻目にチャーチルの一人がこの新たなゲートの存在場所を調べ始めていた。
「やはりこちらからは見えますが、あちらからは元の世界の研究所が見えているのでしょうか?」
独り言なのか、誰かに問うのかそれさえ私には分からない。
この状況を説明できるのは、このチャーチルたちだけであろうに。
「一発銃弾を撃ち込みますね」
そう言うや否や、ゲートに銃口を向けていたチャーチルが弾丸をゲートの向こうの機械に向けて撃つ。
弾丸はゲートを通り、あちらの機械の化け物に着弾する。
機械人形たちがこちらを一瞥するが、どうもこちらに来る様子は無い。
「元の世界の我々が見えているはずなのに変ですね。ゲートに触れようともしません」
「機械たちはゲートを潜れないようにプログラムされているのではないかね?」
ヴィンセント博士が答える。どうやらひ独り言ではなく、会話をしていたつもりらしい。
「あっちの機械人形の世界にもゲートはあった。つまり開発者が護衛に機械を配置したのではないかね?それなら合致する」
それもそうだ。
「ですが、あちらでは我々以外にチャーチル。つまり私たちチャーチルと同一の存在は付近にはないはずです。我々が何人も同じ世界に集まればそれだけテレパスが強まるのですよ。ヴィンセント博士」
「四人でどれだけの範囲がカバー出来るのだ?研究所から数十キロ離れても通じるのか」
「それは――」
「それにこのゲート。この世界にも博士たちと同じ存在は感じられないのかね?ここだって平行世界の一つなのだろう?」
「――ええ。ここにも私は他に感じませんね。……何だって!」
「博士一旦その話は置いておきましょう」
チャーチルたちが騒ぎ始めている。
「これは凄い。これが我々のクロノス‐1なのか?どこがだ?全く知らない機器ばかりだ!」
あちらではチャーチルの一人とケビン博士が騒ぎ始めていた。
「凄い。この数字何だ?」
「何ですか?これは地表の座標ではないです!何でしょう?」
「ケビン博士!そうか座標です。これは宇宙の座標!」
「ではここは何処なのですか?」
「数字だけでは判別が付きませんね。詳しく調べなければ。それにしても同じ条件の別世界の同じ場所でしか我々もゲートを繋げられないのにこれは」
私たちには今の状況に関係がない事で騒いでいるこの博士たちの精神構造が理解できなかった。兵士たちは今もゲートの先を警戒している。




