機械と私は鬼のいない世界へと向かう。18
私たちはゲートを背に扉から侵入してこようとする機械の人形たちを相手に銃撃戦を繰り広げていた。
あの犯罪者の発砲を皮切りに次々と通路の奥からは機械の人形や様々な形の機械たちがこの部屋への侵入をしようと次々と、まさに次々と湧いて出てきた。
私たちはその湧きでる機械が敵なのか味方なのかも分からずにただ侵入を拒むために弾丸を撃ち続けている。
私の放った銃弾が機械人形の腹部に着弾する。
この程度では怯まないようだ。
私の隣をプラズマが通り過ぎる。機械人形にエネルギーを発散し、機械を跡形もなく溶かす。
「実弾は無駄だ。プラズマ弾を撃て!出力は三十パーセントで十分だ。エネルギーを無駄にするなよ!」
叫び声が聞こえる。
その声に応えるように次々と兵士たちが実弾からプラズマ弾に切り替える。
通路は狭い。
実弾で機械を機能停止にし、機械の死体でバリケードは築くことよりも確実に一体ずつ倒す方に私たちの戦いは切り替わった。
プラズマ弾では機械をほとんど溶かしてしまうが、残骸で少しでも通路の足場を不安定にさせれば籠城をするこちらには有利になる。
そんな私たちの考えを嘲笑うように機械たちの足取りは軽い。
プラズマの流れ弾で足場を溶かし、通路に凹凸が出来ていても着実に足を着地させ、こちらへ跳躍してくる。
「何だこれはチャーチル!博士!」
「私たちにも分かりません!」
私たちの監視として来ている。武装したチャーチルたちも必死で襲い来る機械たちを迎え撃っている。
私の前にいた兵士が機械の拳の一撃で後ろへ吹っ飛ぶ。
私の銃口が火を噴く。それは機械人形の頭から胴を溶かした。
「このままでは乗り込まれる!一旦引くべきだ!」
声が聞こえる。後ろの方で。前衛の私たちはその声を聞いてじりじりと徐々に後退しながら機械の相手をし続ける。
「ゲートの向こう側の我々に後退をゲートの切断を指示しなければ!私は一足先に戻ります!」
一人のチャーチルがそう言うと後ろに駆けだし、ゲートに飛び込もうとする。
ゲートの先では他のチャーチルたちがこちらを迎えるために陣形を整えていた。ゲートを通りこちらに来る機械たちを迎え撃つためだ。
「私が戻るまで、ここを死守してください!」
そう言い残し飛びこんで行った。
ゲートを右足が通過する。あちら側にその足はなく、右足が消えていることに驚いたチャーチルが叫ぶ暇もなく頭までゲートを通過しチャーチルが一人姿を消した。
あちら側のチャーチルたちが驚いているのがヘルメット越しでも見えるようであった。
その時、何もない空間から先ほど消えたチャーチルが顔を出した。
私たちは宙に浮かぶ生首に一瞬意表を突かれたが、他のチャーチルたちはテレパスで情報を受け取ったようで冷静に私たちに説明をする。
「大丈夫、ゲートは通れます。しかし、どこか違うゲートの世界に侵入先が上書きされているようなのです。今は元の世界に戻れません。ですので一度ゲートを潜り、身を潜めましょう!皆様、急いで!」
次々とチャーチルがゲートを通り姿を消す、ここから見えるゲートの先の世界のチャーチルたちには情報が全く伝わっていないようで未だに銃口を構えたままこちらの様子を窺っている。
私たち戦闘組は殿となってしまったようだ。
襲い来る機械の群れにプラズマ弾をお見舞いする。後ろでは一人のチャーチルが我々を先導し、兵士たちをどこか別の世界へと逃がしている。
「デビットさん!あなたも早く!」
遂にこの場に残るのは先頭の数人だけとなった。
チャーチルがゲートを通りすぎる際に再び我々を急かした。
そんな事を言われてもこちらは侵攻を食い止めるだけで精いっぱいであるのだ。
人数が減った事でかなり押されている。
「フルエネルギーのプラズマ弾で一瞬時間を作るぞ。お前ら準備だ」
なぜか殿に残っているカルロスが叫ぶ。
私たちは彼の指示に従い、迫りくる機械の群れに対してプラズマ弾を照射した。
一瞬で溶ける鉄、蒸発する金属。私たちはその隙を突いてゲートに飛び込んだ。




