表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

序章 7

 刻神の配下をほとんど、自分の配下にした老霍の姿をした杜闑は

劉儀に刻神に対する謀反の疑いをかけ、自分の配下にした者らを引き連れ、

劉儀の居城【燦漸群】に刻神の正規軍の精鋭部隊を向けた。

 杜闑の目を盗んで、関邦は配下の柳白を使い、劉儀に居城が窮地なのとを

知らせた。

 そのことを知った劉儀は急ぎ、自分の居城に戻り、守りを固めたが

杜闑が率いる、刻神の正規部隊の侵攻は速く、劉儀は居城に立て篭もるのが

精一杯だった。

 数日後に劉儀の居城の周りは刻神の正規軍の旗を掲げた杜闑の配下の者らの

兵でアリの這い出る隙もないほどに埋め尽くされていた。

「これではこちらから攻撃を仕掛ける訳にもいかぬなぁ~……

さあ。どうしたものか?」

 劉儀が自分の居城の中から自分の居城を整然と取り囲んでいる

杜闑の率いる軍勢を見詰めた。

「諦めなさるな!必ずや、我が主〔関邦〕がどうにかなされますから……

それまでの辛抱です!」

 劉儀の後ろに控えていた関邦の配下の柳白が劉儀にそう言った。

 だが、杜闑に家族を人質に捕られ、杜闑の監視下にある関邦も

劉儀を助け出す手立てを立てることができず、自分の陣中に

引き篭もるしかなかった。

 劉儀の居城の周りに兵を布陣させたまま、杜闑は

何故か、全く動こうとしなかった。

 そのまま、こう着状態のまま、1ヶ月の時が過ぎた。

 その間、劉儀は柳白を使い、一旦、城下の民達を杜闑に悟られないように

夜陰に紛れさせ、逃がし続けた。

「ほとんど、城下には誰も居らぬかと……」

 いつものように自分の居城を取り囲んでいる杜闑らの兵を見詰める

劉儀に柳白はそう報告すると

「・・・・そうか。すまないなぁ。お主にこのようなことを頼んで・・・。」

 劉儀はコクリと頷くと柳白に謝った。

「いや…… 我が主(関邦)も劉儀殿をお助けするように言われていますから。

お気遣いなされぬように……」

「そうか…… 大変、ついでにもう一つだけわしの頼みを訊いてくれるか?」

 劉儀は神妙な面持ちで柳白にそう言ってきた。

 いつもと様子が違う劉儀に柳白は少し戸惑いながらも

「なんなりと……」

 と劉儀に言うと劉儀は神妙な面持ちのまま、

「悪いがいつものように杜闑に気付かれないように夜陰に紛れ、

わしの妻と子らを城内から逃がしてくれぬか?……」

 劉儀は柳白に自分の妻と子供らを逃がすように頼んだ。

 柳白は劉儀が言ったことに驚きながら

「それは宜しいのです?…… 奥方がご納得されますか?……」

 劉儀に聞き返した。

 少し哀しげな顔をし、劉儀は俯き、

「ああぁ……どうせ、話しても納得はせず、妻のことだからわしと

共にここに残ると言うだろう…… だが、直に城外から

この我が城に総攻撃を仕掛けてくるだろう…… 到底、この城にいる

兵だけでは持ち堪えられずに全滅をするであろう……

わしはしょうがなくても妻と子らでも生き延びて欲しいのだ!

我が、最後の頼みを訊いてくれるか?……」

 柳白に真剣に頼み込んだ。

「わかりました……」

柳白も居城と共に死を覚悟の劉儀の決意を知り、劉儀の最後の頼みを

訊くことを承諾した。

 そんな二人の話を物陰からまだ幼き子供を抱き、そっと聴いている

まだ若い女性の姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ