表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

序章 4

「劉儀。ただいま、戻りました・・・」

 劉儀は刻神の前まで歩み出ると深々と平伏した。

「鳴呼!戻ったか。兄・・・いや、劉儀殿。」

 刻神は再び、動き出した黒孤国の兵を討伐すべく、北方に遠征に

行っていた劉儀が帰って来た事に喜び、玉座から身を乗り出した。

「で・・・どうであった。白雲庄は?」

「そ、それが・・・・」

 劉儀は怒涛の侵略により、白雲庄を黒孤国の兵らに占拠され、

白雲庄の者らは黒孤国の兵らに惨殺された地獄のような光景を

刻神を含め、立ち並ぶ諸侯達になんて言って良いのかわからず、

老霍同様、困り果て、俯いた。

 すると、よろめきながら、大広間にボロボロな漆黒の鎧を

身に纏った豪傑な男・獅幻【しげん】が大広間の中に入ってきた。

「劉儀よ!何を遠慮しておる。白雲庄の地獄のありさまを

そこにいる者達に話せよ!」

 獅幻は鬼のような形相で今にも大広間にいる刻神を含め、

諸侯達に食って掛かる勢いだった。

「ど、どう言う事だ?獅幻……」

 何が何だか事態が飲み込めない刻神は劉儀と共に黒孤国の

討伐軍に加わっていた獅幻に白雲庄のことを尋ねた。

 獅幻は白雲庄での地獄のようなありさまをありのまま、

大広間にいる刻神を含めた諸侯達に話して聴かせた。

 獅幻は劉儀同じ、刻神に仕える七将軍【しちしょうぐん】の

一人で劉儀の義兄。女と酒にとても弱いが剣を持たせれば、

龍炎国一の武勇に優れた豪の者だった。

 劉儀と共に北方での黒孤国との争いで数々の武功をあげ、

今は白雲庄の少し南にある華胡群【かごぐん】の統治を

任されていたが……。

 白雲庄から突如、華胡群に襲ってきた黒孤国の軍勢に獅幻は

戦うものの敵の罠に嵌り、黒孤国の軍の前に敗れ去ったが

近くにいた劉儀に辛うじて助けられ、劉儀と共に一先ず、

刻神のいる龍炎国に戻ってきたのだった。

 獅幻からの北方でのありさまを聴いた大広間の者らは凍りついた。

 はじめは刻神を含め、大広間に立ち並ぶ諸侯達は誰一人として

獅幻の言ったことを信じなかったが俯いたままで

険しい表情をしている劉儀を見た大広間の者らは

獅幻の言った北方での状況が事実であることを感じ取り、落胆した。

 再び、重い空気が大広間を覆い、北方のこれからのあり方の結論が

出ないまま、立ち並ぶ諸侯達は押し黙り、ただ時間だけが

空しく過ぎ去っていった。

 結局、刻神は再び、黒孤国の兵を討伐するために劉儀らを

白雲庄に向かわせることにした。

 だが、今回は何としてでも白雲庄を取り戻すべく、

劉儀達の相談役として老霍も彼らに同行させることにした。

 黒孤国の兵の討伐に意欲的な獅幻に比べ、劉儀は

今回の黒孤国の兵の討伐には気乗りじゃなかった。

 今までの黒孤国と違い、得体の知れない強さの黒孤国に

疑問を持っていたからのだった……

 劉儀はそんな事を考えるうちにいつの間にか今では

大親友となっている関邦の家の前に立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ