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序章 3

「誰か、良き方案はないか?……」

 まだ幼き刻神に代わり、龍炎国の国政を掌【つかさど】っている、腰の曲がった

白髪の老師・老霍【ろうかく】は龍炎国の都・焔迦【えんか】の宮殿の大広間の

真ん中で整然と立ち並ぶ諸侯達に各地で起こっている争い事の解決策を

大声で問いかけた。

 だが、誰一人として老霍の問いかけに答える者はいなかった。

 宮殿の大広間はシーンと静まり返り、重い空気が立ち並ぶ諸侯達を包み込んだ

その時……

「老霍。そう言う、お前はどうなのだ!」

大広間を包んでいた重苦しい静寂を打ち破るかのように大広間に煌びやかな服を

身に纏った幼き刻神がゆっくりと諸侯達の前に現れた。

 諸侯達を束ねる力を失われたとは言え、偉大なる龍の力を受け継いだ刻神の

オーラに大広間にいた老霍を含め、諸侯達は圧倒され、平伏し、押し黙った。

 刻神は大広間の一番、奥にある玉座にゆっくりと腰掛け、

「で・・・どうなっているんだ?」

「あの・・・。その・・・。」

 老霍はすっかり、刻神のオーラに圧倒され、答えに困っていると

「ハハハァ・・・。我が、龍炎国の知恵袋の老師も我が君(刻神)の前では

何も答えられぬか?……」

 高笑いをしながら、蒼碧の鎧を身に纏った男・劉儀りゅうぎ

大広間の中にゆっくりと入ってきた。

 劉儀は刻神の兄で幼き刻神の右腕として、幼き刻神をサポートしながら、

各地の諸侯達を束ねる将軍として各地の争い事を収めていた。

 本当は劉儀が今の刻神に代わって、刻神になるはずだったのだが……。

 今の刻神が刻神になる前に龍炎国の北方の白雲庄はくうんしょうと言う地に深き闇に侵食され、乗っ取られた凍刹山とうせつざんと言う山脈を越え、黒孤国こくここくの兵が襲ってきた時……。

 劉儀は先代の刻神の命(令)で白雲庄の争いを鎮めるべく、

龍炎国の兵を率いて、黒孤国の兵を討伐に出向き、激しい戦いの末に

白雲庄の争いを鎮めた。

 それで誰もが劉儀が次の刻神になる者だと想っていたが……。

 劉儀は戦場で剣を交えた黒孤国の軍を率いて、白雲庄に攻めてきた

敵将の関逢かんほうの命を助ける為に自ら、刻神の座から身を退き、

弟に刻神の座を譲り、自分は刻神の臣下の大将軍の座に就いたのだった。


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