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第1章 2

 数日後。 劉・小狼が砦の見張り台で日向ぼっこをかねて、

砦の城壁の上で昼寝をしていると

「若ぁ~…… どこですか!……」

 大声で劉・小狼のことを探し回る、かつて関邦の配下で

今は孔游の配下として陰ながら、劉・小狼のことを守っている

柳白がいた。

「うるさいなぁ~…… 俺なら、ここだが何か、用か?」

 劉・小狼は鬱陶【うっとう】しそうに城壁から起き上がると

見張り台の下を走り回り、自分のことを探し回っている

柳白のことを覗き込んだ。

「若ぁ。そこにいましたか…… お父上がお呼びです。

直ぐにお父上のもとに……」

「父上が?…… 俺に何の用だ? どうせ、また説教だろう!

俺は行かんぞ!」

 劉・小狼は面倒くさそうにまた、砦の城壁の上に寝転んだ。

 見張り台の上に上がってきた柳白は

「さあ。私は何も聴いておりませんが……

何か、お急ぎのようですから直ぐにお父上のもとに

お行きになった方が宜しいかと……」

 劉・小狼のことを起こそうとした。

「うるさいなぁ~……わかったよ。直ぐに行く!」

劉・小狼は面倒くさそうに起きると砦の城壁の上から飛ぶように

孔游のもとに向かった。

 関邦は劉儀の最後を刻神に何とかして伝えると色々な手を

尽くした。

 関邦によって、全てのことを知った刻神は関邦の力を得て、

杜闑を排除しようとしたが老霍から取って代わった杜闑は

そのことに気付き、生き残りの劉儀の子供らと関邦を

消し去ろうと劉儀の子供らを連れて、北に向かっている

柳白と関邦の家に追っ手を差し向けた。

 関邦も杜闑の動きを知り、杜闑が差し向けた追っ手を倒したが

柳白は途中で杜闑の追っ手に捕まり、幼い劉・小狼は何とか、

追っ手の手から守ったが兄の劉瞬とは逸れてしまった。

 柳白は散々、劉瞬のことを探し回ったが見付けることが

出来ず、仕方がなく、まだ幼い劉・小狼と共に孔游のもとに

向かった。

 孔游は柳白が持ってきた関邦の手紙で全てのことを理解し、

幼い劉・小狼を杜闑の目から隠すために幼い劉・小狼の名前を

孔閣こうかくと変えさせ、自分の子供として

育てることにした。

 その頃。杜闑の怒りを買った関邦は劉儀と同じように

謀反の疑いをかけ、家族は皆殺したがいち早く、危険を

察知した関邦によって、息子の関遼【かんりょう】だけは

難を逃れた。

 劉・小狼が孔游のもとにやって来ると孔游は商人らしき男と

楽しく会話をしていた。

「なんだよ! 親父!」

 劉・小狼が孔游に声を掛けると孔游と話している商人らしき男の横には

”魔の森”で助けた水蓮が一緒に座っていた。

『あっ!……』

 水蓮の姿を見つけ、驚いている劉・小狼に向かって、

「そこに座りなさい。孔閣こうかく。」

 孔游は冷静な口調で劉・小狼に自分の横に座るように言った。

 劉・小狼は孔游にまた何か、怒られるかと想いながらも

恐る恐る、孔游のもとに座ると

「孔閣。数日前、お前、何処にいた?……魔の森ではないか?」

 孔游は劉・小狼に数日前のことを聴いてきた。

『えっ?……』

 劉・小狼は前から孔游に”魔の森”に近付いていけないと

言われて、それを破り、”魔の森”に近付いたことを

怒られるのだと想い、俯いた。

 孔游の真向かいに座っていた商人らしき男は俯いている

劉・小狼を見かねて、

「まあ。宜しいではないですか?…… ご子息のお陰で

私の娘の水蓮が助かったのですから……」

 孔游に話しかけた。

 その商人の男の言葉で劉・小狼はやっと、少し事態が

少し飲み込めた。

 自分が”魔の森”で助けた少女【水蓮】の親がお礼を言うために

わざわざ、凍炎の砦の孔游のもとにやって来たのだった。

 すっかり、意気投合し、話し込む孔游の目を盗み、水蓮と共に

そっと部屋から抜け出た劉・小狼は水蓮と話しながら、砦内を

歩き回った。

 水蓮と話せば話すほど、私(劉・小狼)は屈託のない水蓮に

惹かれていった。

 だが、それを引き裂くかのように劉・小狼の頭上から一通の

手紙が降ってきた。

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