第67話 四人パーティー
久々の更新です m(__)m
体調をかなり崩してしまっていました。
皆様も健康管理には十分気を付けてください
「ハァ……、ハァ……、ハァ……」
男は荒い息を整えつつ、大きな木の幹にもたれかかる。
「ここまで来れば――」
「キャハハハッ、み〜つけた」
「くっ! しまった!!」
男の焦りの表情をみて、追手は満足そうな笑みを漏らす。
「甘い、甘いよ〜♪ この僕を出し抜こうなんて百万年早いね〜♪」
「わかった! 戻る! 戻るから命だけは――」
「キャハハハッ! 一度逆らった者の末路は決まってま〜す。残念」
プシュッ!
男の首筋から血が噴き出し、そのまま崩れ落ちる。
「一丁上がり〜♪」
その小さな追手は、空中で嬉しそうに旋回する。
「さて、あと一人だね。早く見つけないと、――様に怒られちゃうよ」
そう言い残し、小さな影は飛び去って行った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「えいっ!」
ヒュン!
スカァン!!
勢いよく放たれた矢が的に刺さる。
「よしっ! なの」
満足いく結果にアリアは控えめに喜ぶ。
アリアの身長からすると大きめの弓ではあるが、問題なく使いこなしている。
マーテリアさんの所でこの弓を選んだ時には、大丈夫か? と思っていたが、いらぬ心配だったようだ。
「弓、得意なの。後方支援はバッチリなの」
さらには、弓に魔法を乗せて射ることも出来るのには驚かされた。
目を輝かせながら、俺から目線を逸らさない。
アリアは俺たちについて来る気満々だ。
「ミウもついているから心配ないよ!」
ミウがアリアの同行に援護射撃をする。
この間の事件の居残りが切っ掛けで、ずいぶん仲が良くなったようだ。
アリアはじっと俺の答えを待っている。
「――わかったよ。俺たちのパーティーにようこそ、アリア」
俺はアリアが望んでいるであろう回答をする。
後方支援なら問題ないだろう。
それだけの実力は見せてもらった。
いざとなればミウとミサキがいる。
ただ、前衛は変わらず俺一人か。
出来ればもう一人くらい欲しいところだが……。
「やったね、アリア♪」
「ありがとう。ミウちゃんのおかげなの」
ミウとアリアはお互いに手を取り合い喜びを分かち合っている。
こうして、俺たちのパーティーにに新たなメンバーが加わった。
「ここら辺でいいのかな?」
「……ええ、バッチリ」
周りには何も無い、辺り一面は砂一色。
ベラーシの街の東に位置するブラビ砂漠、それが俺たちの今いる場所だ。
「……カナタ、来る!」
ミサキの合図から数秒後、俺の足元がうごめく。
俺は手筈通りに飛び退いて、追撃態勢を取る。
ザパァァッ!
飛び退いたその場所には巨大な口が現れ、天にも昇る勢いで上昇する。
胴体は云わば巨大ミミズ、砂漠の魔物、サンドワームだ。
シュパパパッ!!
ミウとミサキより放たれた風の刃がサンドワームを切り刻み、加えて胴体にはアリアの放つ矢が突き刺さる。
サンドワームはうごめきながら地中への脱出を図る。
「させるかっ!」
すかさず俺が、潜ろうとするその頭に向かって剣を振り下ろす。
サンドワームはその切り口から緑色の体液を振り撒き、その巨体をのた打ち回らせる。
地中からの奇襲を得意とするサンドワームもこうなってしまったら成すすべが無い。
その後何度かの攻撃を加え、俺たちは無事にサンドワームを倒すことに成功した。
「やった……なの」
「うん、やったね♪」
ミウとアリアがお互い健闘をたたえ合う。
ミサキはというと、どこかほっとした表情だ。
アリアとの初共闘という事で、気を張っていてくれたのだろう。
俺は依頼の品であるサンドワームの舌を切り取り、小袋に仕舞い込む。
大きな舌がすんなり入ってしまうこの小袋はやはり便利だ。
「しかし、こんなもの何に使うんだろう?」
「……薬の調合に使う。熱に耐性があり、火傷にも聞く」
「へえ。俺たちも買っておいた方が良いかな?」
「……治癒魔法があれば特には……」
必要ならば報酬の一部を薬で現物支給とも思ったが、やめておこう。
何かの買い物のついでに一つくらい用意しておくのも良いかもしれないが――。
「カナタ、早く帰ろう! ここに長くいると危ないよ」
そうだった。
ミウに言われて、俺たちは砂漠から急ぎ脱出を図る。
またサンドワームが出て来たら厄介だ。
ブラビ砂漠と隣り合う草原地帯へは、およそ五分ほどでたどり着く。
依頼はサンドワームの舌一匹分、わざわざ危険を冒して砂漠の中心部に足を踏み入れる必要が無かったのが早く脱出できた理由だ。
安全第一、基本だよね。
しばらく草原を歩くと、何本かの木が視界に入る。
俺はその木陰に止めてある馬車に近づいた。
「おお、カナタ! 遅かったではないか。我は待ちくたびれたぞ!」
開口一番、ユニ助がいつもの調子で愚痴を言う。
「ああ、ごめんな。中々サンドワームが出てこなくってね」
確かに待たせてしまったと思い、素直に謝っておく。
「…………ふん、まあよい。出発するから早く乗れ」
ユニ助はぷいっとそっぽを向き、乗車を促す。
尻尾が嬉しそうにパタパタと振られている所を見ると、機嫌は損ねていないようだ。
ひょっとして、ツンデレか?
しかし、ここで突っ込んだら面倒くさくなりそうなので、あえてスルーする。
俺たちは言われた通り、大人しく馬車に乗車する。
「行くぞ! 振り落とされたく無くば、しっかり掴っているが良い」
振り落とすって……
久々の出番で張り切るのはいいが、どこまで飛ばすつもりなのだろう。
危険を察知した俺はユニ助に声をかけようとするが、それよりも先にユニ助が動き出す。
「うわっ、わわわわっ!」
声をかけるために御者台に向かっていたため、中腰になっていた俺は危うく馬車内で転がりそうになる。
ボフンッ!
「カナタ、痛いよ〜」
「ご、ごめん、ミウ」
ガクンッ!
「うわっ!」
むにゅっ
「……カナタ、大胆。ぽっ」
「いや、違うって!」
がたんっ!
「うわわわっ!」
ゴチンッ!
「おでこ、いたいの……」
「ご、ごめんね、アリア」
そうしている間にも、ユニ助は猛スピードで馬車を走らせる。
物には限度ってものがあるだろうに……
その後、俺の声がようやくユニ助に届き、馬車は緩やかなスピードへと戻ってくれた。
ユニ助、後で説教だな。
「……ユニ助、止まって」
馬車を走らせてから数時間後、ミサキが停止の合図をする。
「ん!? どうしたの、ミサキ?」
「……人がいる」
ミサキが指を指した方向に目をやると、確かに人らしきものが地面に横たわっている。
「ユニ助!」
「ふん! わかっておる」
しばらくして、馬車は倒れている男の元へとたどり着いた。
「大丈夫ですか!?」
俺は男の状態を起こし、声をかける。
しかし、反応は無い。
「息は――しているみたいだな」
念のため、治癒魔法をかけて馬車へと運び込む。
大きな怪我はしていない様なので、あとは意識が戻るのを待つのが良いだろう。
「しかし……酷いな」
男の服は所々破けており、着替えを持っていないのか泥だらけ、更にはかなり痩せこけており、まともな生活を送っていたのか疑問である。
「とりあえず、街に向かうしかないな」
俺はそう独りごちると、再び馬車を街に向かって走らせた。
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