表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/74

第65話 決着! 新旧騎士団

 そして一日が過ぎ、俺は今、舞台の上で対戦相手を目の前にしている。

 対戦相手はヨーデルという青髪の優男、もちろん新騎士団所属だ。


「ふふふっ。私の引き立て役になる為にわざわざ勝ち上がってくるなんて、ご苦労なことですね」


 顔を合わせるなりの第一声がこれなのだから、よほど新騎士団には性格の良い人たちが集まっているらしい。

 ただ、逆にその方がやり易くもある。

 相手の騎士団が良い人だったら逆に気が引ける。

 まあ、闇討ちをする集団だからそれは無いと思うが……。


「あなたの剣は以前見させて頂きました。良い所まではいっていると思いますが、まだまだ私には勝てませんよ。無駄なことはせず棄権なさってはどうです? 私も無駄な運動はしたくありませんし――」


 こちらが黙っているので言いたい放題だ。

 とりあえず俺は無視を継続する。


「――だんまりですか。いいでしょう。勝敗の決まっている試合は時間の無駄だとは思いますが、新騎士団のエースたる私がお相手をしてあげましょう。今日この場で無くなる古臭い騎士団への手向けと思ってください」


 俺は黙って剣を構える。

 ヨーデルも剣を抜き、正眼に構えた。

 そして合図を待つ――


「準々決勝! 始めっ!!」


 審判の合図とともに、俺から仕掛ける。

 相手の懐に飛び込み、下から上へと剣でかち上げる。



ギィィンッ!!



 剣と剣がぶつかり合う音が響く。

 ヨーデルは剣の反発した勢いを殺さず後ろへと飛び退く。


「――へぇ。やるじゃないですか。どうやら前見た時より強くなっているみたいですね」


 俺は特に返答をせず、再びヨーデルに剣の切っ先を向ける。

 対するヨーデルは、まだ余裕の笑みを浮かべていた。


 先ずはその笑みを消してやる!


 後で思えば、言われたい放題言われて多少なりとも腹を立てていたのだと思う。

 俺は全力ダッシュで相手に接近する。



シュパッ!!



 ヨーデルの目の前で居合のように放った斬撃は、彼の鎧を大きく傷つける。

 まだ浅いか!

 ヨーデルは驚愕の表情で俺を見ている。


「ヨーデル! 何を遊んでいる! さっさと片付けないか!」


 野太い声が舞台上に届く。

 客席を見ると、成金趣味の貴族風の男が仕切りに怒声を浴びせていた。


「――お遊びはお終いです。スポンサーに嫌われてしまってはいけませんしね」


 ヨーデルの俺を見る目つきが変わる。

 俺は油断なく相手の出方を窺う。


 相手に動きは無い。

 ならば……


 俺は踏み込み、袈裟掛けに剣を振り下ろす。



シュパッ!!


 

 しかし、手応えが無い。

 ヨーデルの姿が、幻のように薄れ、消えていく。



ガキィン!!



 突如、横からの衝撃を受け弾き飛ばされる。

 嫌な予感に反応して咄嗟に剣を防御に向けたが、ダメージは殺しきれない。

 俺は左腕のダメージに耐えつつ、再び剣を構える。


「ほう、あれを初見で躱しますか」


 ヨーデルは底意地の悪い笑みを浮かべる。


 何があった?

 俺は頭の中で情報を整理する。


「くくくっ。次は本気で行きますよ。この剣にかかって無事でいた人はいません。そういえば、貴方の仲間もそうでしたねぇ」


 彼の頭の中では勝利が確定しているのだろう。

 再び余裕の表情で俺を見下す。


「これで古臭い騎士団は終わりです。思えば短い付き合いでしたが、諦めて次の就職先でも探してくださいね」


 負ける訳にはいかない。

 カリスの為にも――


 俺はその場で目を瞑る。


「くくくっ。諦めたのですか。良いでしょう、引導を渡してあげますよ」


 ヨーデルの気配が次第に薄くなる。

 そして一つ、二つとその薄い気配が広がりを見せる。

 俺はさらに精神を集中させる。



ブワッ!!



 その気配の一つが大きく膨らんだ。

 そして俺の背後から迫る。



シュッ!


グワシャッ!!



 

 客席から大きな歓声が上がる。

 目を開けると、場外で伸びているヨーデルの姿があった。



「ふぅ……」


 俺は大きく息を吐き、緊張を解く。


「勝者! 王国騎士団カリス!!」



 今だにヨーデルのあの剣のからくりは分からないが、一つだけ言えることがあった。

 特訓時のダグラスさんの言葉を思い出す。


「余程の達人でない限り、完全に気配は断てないものだ。特に攻撃に転じるときはな。そこに必ず隙が出来る」


 そう、こちらがじっとしていれば、相手が必ず仕掛けてくる。

 その気配を追撃すればよい。 

 実戦では初めてやってみたのだが、上手くいって良かった。

 結構ぎりぎりだったけどね。


 ぎりぎりでも結果は俺の勝ち。

 とりあえず、これでカリスの件は解決だ。

 俺はほっと胸を撫で下ろす。


 さあ、残りあと二つ!

 ミウとの約束通り狙うは優勝。

 どんな相手が来ても、全力でやるだけだ。


 そう誓いつつ、俺は鳴り止まない観客席の歓声に応えるべく手を上げた。 






ご意見・ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ