第53話 帰還 そして……
仕事が忙しく、書く時間が最近なかなか取れません。
でも、更新だけは続けますので、これからもよろしくお願いします。
「いやぁ。えらい目にあいましたね」
瓦礫の中から魔族の男が這い出てくる。
その全身はひどい火傷を負っており、見るからに痛々しい。
「ミウ!」
魔力がほとんど残っていない俺は、ミウに声をかける。
「わかったよ!」
ミウが詠唱を開始、魔族の男の火傷が治っていく。
「これはこれは……。でも良いんですか? 私はこれからあなたの敵になるかもしれませんよ?」
「協力していた時に出来た傷だからね。それ位は治すさ」
「ククククッ……甘いですね。今私に襲われたらどうするつもりですか?」
そういって身構える魔族の男。
「……大丈夫、私が守る」
「ミウもいるよ!」
即座に反応して臨戦態勢を取るミウとミサキ。
もちろん俺も守られてばかりではない。
ゆっくり剣を正面に構える。
「………………」
「………………」
しばらくの沈黙が続く。
その緊迫した空気を先に壊したのは魔族の男だ。
「ククククッ……冗談ですよ。ここで事を構える気はありません。私も外傷は治ったといってもまだダメージを負っていますからね。負ける戦はしない主義ですので――」
バサアッ!
男は大きく翼を広げる。
「私の名はヴニーレ。機会があればまた会いましょう。その時は――敵かもしれませんね」
そう言い残し、ヴニーレは遺跡の出口へと飛んでいった。
辺りにはもう俺たちしかいない。
俺は大きく息を吐いて一言――
「よし、俺達も戻ろう!」
俺たちは出口へと向かっていった。
地下遺跡からようやく脱出すると、そこにはタリオンさんたち調査隊の一団が待機していた。
「カナタさん、無事でしたか!」
タリオンさんが駆け寄ってくる。
「はい、何とか」
「それで、あの竜はどうなりましたか?」
「何か自滅してくれたんで助かりました。そんなに頭は良くなかったみたいです」
「……頭脳の勝利」
ミサキが捕捉でフォローしてくれる。
「そうですか、それは何よりです。それで、例のオーブは――」
タリオンさんの目の奥に期待の光が見て取れる。
「実は――逃げているときに壊されてしまいまして……申し訳ありません」
なるべく残念そうな表情をつくり、俺は答えた。
もちろん本当はそんな事は無く、オーブは小袋の中に入っている。
ついでに炎竜が落としたアイテムも入っていたが、これについてはあとでゆっくり鑑定しようと思っている。
「……それは残念です」
タリオンさんは心底がっかりしたようで、肩を落としてため息をつく。
申し訳ない気持ちにはなったが、これが例のオーブならば(ほぼ確定だが)、狙われる危険がある。
このまま俺が持っていた方が良いだろう。
「おう! カナタ。何やら大変だったらしいな」
ゴルドさんが声をかけてきた。
「ええ。運よく助かりましたけどね」
「……大丈夫。私たちは無敵」
「キュ〜!」
俺とは違い、ミサキとミウから強気の発言が返される。
「無敵とは威勢がいいな。まあとにかく命があってよかったな」
俺たちの無事を心底喜んでくれている。
顔はゴリ……少々迫力があるが、やはり良い人のようだ。
他のソネットのメンバーとも再会を喜ぶ。
「ん!?」
何か視線を感じたので振り返ってみると、ブラックソウルの面々がこちらを見ている。
所々怪我をしながらも全員無事に帰還できたようだ。
俺と視線がぶつかると慌てて目をそらした。
「ふん! 馬鹿にしていた者たちが、実は自分たちより実力が上だとわかってどうしたらいいか――ってとこだ。軟弱な奴らめ!」
ミレイさんが辛辣に批判する。
イメージ通り、ナヨナヨした奴は嫌いらしい。
気を付けよう……。
「皆さん、今回の調査はここで打ち切りたいと思います。また体制を整えてから再度調査をしたいと思いますので、その時はまた依頼を出しますのでよろしくお願いします」
タリオンさんの引き揚げ方針が伝わるとともに、引き揚げ準備を開始する調査隊と護衛の冒険者。
唯一、俺達フレンズは特に準備もない為、皆の準備を眺めながらひと時のまったりを堪能している。
「カナタ、いろいろあったね」
「ああ、まだまだ修行が必要だな」
思えば、最近はぎりぎりの勝利が多い気がする。
女神様にもらったステータスにかまけず、もっと努力をしなければと感じた。
「……私も手伝う。チームは供に強くあるべき」
「ミウもやるよ!」
そんな話をしているうちに皆の準備も終わり、馬車へと乗り込む。
今回もソネットのメンバーと同じ馬車だ。
ブラックソウルではなくて良かった。
何となく気まずいからね。
行きと同じ隊列で馬車を走らせコルソの街へと向かう。
「今回俺たちは何もしてねえからな。これ位はやらせてくれや」
ゴルドさんは、警戒は俺たちがするので休んでていて良いと言ってくれた。
まだ多少疲れが残っていた俺は、お言葉に甘えさせてもらうことにする。
馬車に揺られながら、俺は深い眠りに落ちて行った。
「カナタ、起きろ! 襲撃だ!」
ゴルドさんの声に目が覚める。
外を見ると三体のゴーレムが馬車の行く手をふさいでいた。
ギュッ!
拳を強めに握りしめる俺、大丈夫だ、疲れもだいぶ回復している。
ミウ、ミサキと供に馬車を飛び下り、改めて敵の姿を瞳に移す。
土の巨人 LV-
HP :4000
MP :0
力 :700
体力 :-
かしこさ:7
運 :-
スキル:再生
前に戦ったゴーレムは岩だったが、今度は土か!?
能力はほとんど変わらない。
ただ、三体なのが厄介だ。
「カナタ、休んでるところすまなかったが、戦れるか?」
ゴルドさんの問いに俺は答える。
「ええ、大丈夫です!」
「……無問題」
「ミウもやるよ!」
こうして、いきなりの本日の第二戦が開始された。
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