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第46話 デーモン

「ククククッ。どうやらお困りのようではないか」


 赤褐色の筋肉質の肌を披露しつつ、デーモンは皮肉な笑みを浮かべる。


「これもあなたとの契約に入っているはずよ。前置きはいいからやってしまいなさい!」


 夫人は面白くなさそうな顔をしながらも命令を出す。


「仕方がない。面倒だが働くとしようか」


 まるで準備運動でもするかのような気軽さで、俺たちの方に振り向くデーモン。


「――と、いうことだ。お前たちには特に恨みはないが……、運が悪かったな」


 俺たちの方にかざした右手から、球のようなエネルギーの塊が発現する。

 一瞬の後、その塊が俺たちに向かって放たれる。


ドゴォォォォン!!


 目の前で爆風が巻き起こる。

 俺は足を踏ん張ってそれに耐える。

 しばらくして、砂塵ではっきりしなかった視界がクリアになる。

 そこには不満げなデーモンの顔が――。


「ふん。そこそこは出来るようだな――」


 そのセリフの終わりを待たずに、デーモンに抗議の声が飛ぶ。


「あなた、ここが何処だか分かってらっしゃるの。私を生き埋めにするつもり!」


 これだけのパワーを見せつけられても物怖じしない夫人は、ある意味賞賛に値する。

 さすが、こんなのと契約までするだけはあるな。


 いや、感心している場合じゃない。

 こちらも体制を立て直さないと……。


「ミウ、ミサキ、助かった。引き続き援護を頼む」


 先ほどの光球は、見事に2人に相殺してもらった。

 今後も魔法の処理は任せて、俺は物理攻撃に専念しよう。


 そういえば金ピカとメイドは?

 ふと思い出した俺は2人を確認する。

 メイドは金ピカを庇うように短剣を構えている。

 金ピカは――、以前と同じ、意識が別世界へと旅立っているようだ。

 相変わらず弱っ!


 俺はゆっくりと剣に魔力を通した。

 刀身が眩いばかりにキラキラと輝き出す。聖属性剣の完成だ。


 どうやら公爵夫人は奥の部屋に引っ込んだらしい。

 俺はメイドに金ピカを連れて外に出るように促す。


「逃がしはせん!」


 デーモンが再び右手をかざす。

 しかし、その腕めがけ俺が剣を振るう。


シュパッ!


 俺の剣が空を斬る。

 だが、空振りはしたものの、デーモンの攻撃は潰せた。

 メイドと金ピカは無事脱出できたようだ。


「むう。ではこれはどうかな?」


 デーモンは背の黒い翼を大きく広げる。


「………………」


 聞いたこともない言語を発するデーモン。

 俺はとっさに横に飛び退く。


ズガァン!!


 後ろの壁が不可視の攻撃により破壊される。

 何が起こった!?


「………………」

 

 再び翼を広げるデーモン。不味い!


「……ウィンドシールド」


 俺の目の前に風の壁が現れる。

 デーモンは翼を広げたまま悔しそうにしている。


「……振動による攻撃。空気の流れを変えれば良い」


 なるほど。先ほどの攻撃は超音波みたいなものか。

 見事にミサキが防いでくれたようだ。

 このチャンスを逃す手はない!


「キュー!」


 ミウの聖属性の矢がデーモンを襲う。

 その対処に追われ、俺の攻撃への反応が一歩遅れる。


ズシャッ!


 体制を低くし、ミウの後方からの攻撃を避けつつ懐に入り、左下から右上へと一気に剣を跳ね上げる。

 デーモンの胸板が裂け、緑色の液体が吹き出す。


「ぐおおおおぉぉぉぉ!!」


 地の底から這い出るような重低音の雄叫びが辺りに響く。

 デーモンはその場で片膝をつく。


「くくくくっ……、ここまで傷つけられたのは何百年ぶりだろうか。その顔、しっかりと記憶したぞ!」


 デーモンの体が次第に薄くなっていく――。


「カナタ! 下!!」


 ミウの叫びを聞き、俺は下を見る。

 デーモンが片膝をついた位置には魔法陣が――。


「しまった!!」

 

 その事に気付き、思わず叫ぶ。

 しかし、時は既に遅く、デーモンは空間へと跡形もなく消えていった。

 


 


 戦闘が終わり、静寂が辺りを包む。

 俺は大きく息を吐き、剣を鞘へとしまう。


ガリガリッ!


 何かの音のした方を見ると、ミサキが先ほどの魔法陣を引っ掻いていた。


「……こうすればもう使えない。とりあえずは安心」


 さすがミサキ。こういう時は頼りになる。

 やっぱり俺たちはいいチームだと思う。

 口には出して言わないけどね。



 

 さて、障害は無くなった。

 とりあえずやることを済ませましょうかね。

 俺たちは夫人がいるであろう奥の部屋へと向かっていった。




 

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