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第43話 病気の正体

お待たせしました。ようやく更新です。

 俺たちはマリーさんの話を聞く為、居間へと戻る。

 幸いマリーさんの母親は、今は落ち着きを取り戻し眠っている。

 但し、毒にかかる前の状態に戻っただけなので、予断は許さない。


「調べてみましたが、あの竜の鱗から出来たものは毒物でした」


 俺は、得られた事実をマリーさんに伝える。


「そんな……。だって……」


 マリーさんはショックを隠せないようだ。


「いつもの薬師さんに教えてもらったのよ、この薬で治るって……。それが毒だなんて……」


 消え入るような声で呟く。信じられないといった所だろう。


「……その薬師が怪しい」


 ミサキの言う通り、調べてみる必要がありそうだ。


「マリーさん。その薬師は今どこにいますか?」


 俺が、その薬師に会いに行きたいことを伝えると――


「……バザムさんは、この街に昔から居る薬師の人よ。私も行くわ」


 先ほどとは打って変わった決意の宿った力強さを目に宿し、俺たちとの同行を宣言する。

 断る理由はない。俺たちはマリーさんと供に、その薬師の家に向かうことにした。





 マリーさん宅から歩くこと約10分、例の薬師の家の前に着いた。

 しかし、玄関の扉は固く閉ざされ、呼べど叩けど一向に反応する気配はない。

 

「……壊す?」


 痺れを切らせたミサキが、詠唱により扉を破壊しようとしたその時、知らないおばさんが俺たちに声をかけてきた。


「あなたたち、バザムさんに用かい? バザムさんならしばらく帰ってないよ」


 ご近所の人らしい。俺たちが一生懸命扉を叩いているのを見かねて、声をかけてくれたようだ。


「どこに行ったかご存知ですか?」


「いや、わからないねぇ。ただ、うちの父ちゃんが一緒に飲んだ時に聞いた話なんだけど、何かすごい大金が入ったって言ってたらしいよ。旅行にでも出かけたのかねぇ」


 他にもいろいろ聞いてみたが、それ以上の情報は得られなかった。

 俺たちはとりあえず、マリーさん宅に戻ることにする。



「カナタくんたちありがとう。改めてお礼を言わせてもらうわ。一応母も少し落ち着いたみたいだから……。そうそう、レシピだったわね。受け取ってちょうだい」


 家の戻ってすぐに、マリーさんは例のスープのレシピを渡してくる。

 俺が遠慮しようとすると――


「あなたたちは竜の鱗を取ってきてくれたのだから依頼は完了。しかも母の毒まで治してくれたわ。これは正当な報酬よ」


 そういう事ならと俺はレシピを受け取る。

 この場にいても今のところ何も出来ることがないので、俺たちは帰ることにした。

 解決できなかったのは残念ではあるが――。


 




 別荘へと戻り、ベッドの上で考える。

 あれで依頼完了と言われてもすっきりしない。


「カナタ、悩んでるの?」


 同じく横で寝ているミウが聞いてくる。


「ああ、どうにかならないかと思ってね」


 ミウの頭を手櫛で撫でる。


「カナタは頑張ったよ!」


 ミウが励ましてくれる。


「うん、ありがとう。でも頑張っただけで解決できなかったからね」


 そう言うと自然にため息が漏れた。


「ミウも手伝うよ! いっしょに頑張ろう!」


 そう言ってくれるミウが心強い。

 だが、これからどうしたものか……。


「カナタ、アリシアに聞いてみよう!」


 ミウが提案する。

 そうだな、アリシアさんにでも相談してみるか。

 俺は明日にでもバレン村を訪れることにした。




 



「――それは、おそらく呪いね」


 症状を詳しく聞いたアリシアさんが答える。


「誰かに恨みを持った人が、何かを代償に様々な異常状態を起こすの。代償が大きければ大きいほど呪いの効果も大きくなるわ」


「それで、治るんですか?」


 一番気になる所を聞いてみる。


「もちろん治せるわ。ただし、その呪いがどういったものか分析は必要ね。ただ闇雲に呪いよ治れと念じても効き目はないわ」


 アリシアさんは続ける。


「普通それほど酷い症状は出ないはずなのだけれど――、その人はかなり恨まれているようね。おそらく呪いの重ねがけ、いえ、今でも継続してかけられているのかもしれないわ」


「俺なら呪いなど気合で跳ね返してやるがな!」


 俺たちと一緒になって聞いていたダグラスさんが吠える。


「それはそうよ。一定のレベル以上になると呪いなんてほとんど効かないのだもの。何万人の命を代償にって言うならあなたにも効くでしょうけどね。それでも大した呪いはかけられないわ、せいぜい1週間程お腹を下す程度ね」


 なるほど、それほど使えるものでもないようだ。

 普通はせいぜい嫌がらせ程度に使用されるものらしい。

 だが、マリーさんの母親の症状はひどかった。

 アリシアさんが言うには、よほどの代償を用意しているのだろうとのことだ。もしかしたら人の命とか――。

 それほどの恨みならば、失礼は承知でマリーさんの母親の人間関係を洗えば何かわかるはず。

 今後の方針が見えた気がした。


「ありがとうございます、アリシアさん!」


 俺は感謝を込めて頭を下げる。


「いいのよ、カナタくんの為だもの。さあ、夕食にしましょう♪ ミサキちゃん、花嫁修業の時間よ」


「……はい、師匠」


 アリシアさんはミサキを連れ立って夕食の支度へと向かう。

 ダグラスさんはと言うと、俺の背中をバシッと叩きつつ、俺に死刑宣告をする。


「おう、坊主。今日は泊まってけ。明日は特訓だ! 忙しいだろうから午前中だけで終わりにしといてやる。ただし、内容は濃いがな」


 果たして生きて帰れるのだろうか……。




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