第35話 村の破壊者
最近仕事が忙しく、更新が遅れ気味です。
申し訳ありません。
ゴツゴツとした岩場に燦々と太陽が照りつける。
馬車移動の時には心地よく吹いていた風が今は無く、その事がさらに体感温度を上昇させていた。
時折岩の隙間から生えている植物を見て、「強いなぁ」と思ってしまうのは疲れてきた証拠だろうか。
額から流れる汗を拭い、俺たちは辺りを探索する。
「カナタ〜。暑いよ〜」
岩場を飛び跳ねながらついてくるミウが、バテ気味に言う。
やはりもふもふ生物には暑さは天敵のようだ。
俺は小袋から取り出したボトルの水をミウにかけてあげる。
「わわっ! きもちいい〜♪」
目をつむり、気持ちよさそうに水を受け入れる。
俺はさらに2本のボトルを取り出し、片方をミサキに渡す。
「……感謝」
俺たちは座るのに適当な岩を選び腰をかけ、乾いた喉を潤す。
水浴びが終わったミウにも、同じように水を飲ませてあげる。
「しかし、暑いな〜」
暑さに耐え切れず愚痴が出る。
フォセットの街までは快適な気候だったのだが、スクレ村周辺がここまで暑い場所だったとは……。
たまらずフードを脱いでしまっている俺を誰が責められようか。
「……大丈夫?」
ミサキが心配そうに聞いてくる。
そういえば、ミサキはあまり暑そうに見えないな? フードも普通に着ているし。
「……風の魔法」
フードの中で風を循環させているらしい。
なるほど、そういった使い方もあるのか。
ならば俺も――、物は試しだ。
「水の膜よ、自身を覆え。ウォータースキン」
俺の皮膚の上に、薄い水の膜が出来上がる。結構涼しい、成功だ。
それを見たミウも同じように真似をする。
どうやらあちらも成功したようだ。
「……私も」
もちろんミサキにもかけてあげました。
あれからかなりの時間、探索を続けている。
村の情報によると、大きな足跡を確認しただけで、直接目撃はしていないらしい。
だが、その魔物は一向に見当たらない。
あれだけ照りつけていた日差しも、今では陰りを見せている。
俺たちは今日の探索は諦め、一度村に戻ることにした。
「そうですか…。ご苦労様です。今日はゆっくり休んでください」
白い口ひげを生やした老人がねぎらいの言葉をかけてくれる。
この人がスクレ村の村長さんだ。
泊まる場所を用意してくれているとのことなので、お言葉に甘えさせてもらう。
若い村人(といっても30代だが)に案内され、俺たちは今日の宿へとたどり着く。
部屋に入ったところで、フードを脱ぎ一息を入れた。
「見つからなかったね」
ミウが残念そうに言う。
「まあ地道にやるさ」
明日は朝から探索しよう。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
真夜中。
虫の声を子守唄がわりに寝静まる村人たち。
村の外周には松明を灯した見張りが数人、警戒のため巡回している。
それを空から見下ろすように存在する何かが言葉を発した。
「キャハハハッ! アビルだけに手柄は立てさせないよ。見てなよ、僕の力を」
言い終わると、それは何やら唱え始める。
すると、ひときわ高い岩山から、岩の塊がくり抜かれたように剥がされた。
その塊はみるみるうちに、手足を持った岩の巨人へと変貌する。
巨人は、その巨大な足でしっかりと地面を踏みしめ、ゆっくりと村へ向かって前進していく。
ズゥゥン!!
「なっ!? なんだありゃあ!」
暇そうにあくびをしながら見回りをしていた村人は、その音に驚き、その後巨人を見てさらに驚いた。
「大変だ。皆に知らせろ!」
1人の見張りが、慌てて村の中へ伝令に走る。
残った数人は、巨人と対峙するがどうして良いかわからない。
ブォン!!!
巨岩の塊がそのまま飛んできたようなパンチに、見張りたちは腰を抜かす。
「た、たたっ、助けてくれ〜!」
地面を這いながら巨人から離れようと懸命だ。
「キャハハハハッ! やっちゃえ〜♪」
巨人の頭の上から声がする。
巨人は、糸でもついているかのように、その命令に忠実に従う。
ズガァァァン!!
巨人の拳が村の柵を破壊する。
その巨人の進路を塞ぐ者はなく、ゆっくりと王者のように村へと侵入していった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ズガァァァン!!
何だ!?
何かすごい音がして、俺は堪らず目を覚ました。
「カナタ、いまのなに?」
ミウも目を覚ましたようだ。
俺は確認をするべく、ミウを頭に乗せ表へ出る。
「何があったんですか?」
慌てふためく村人を一人捕まえて聞いてみる。
「きょ、巨人が出たんだ。あんたも早く逃げたほうがいい。じゃあな」
これ以上引き止められたくないとばかりに話を中断され、その男は一目散に逃げ出していく。
「……カナタ、どうする?」
いつの間にか俺の横に立っていたミサキが聞いてくる。
「もちろん、行くさ!」
俺の返事は決まっている。
俺たちは、音のした方向に向かって駆け出していった。
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