第29話 森の祠
シュッ!
俺の剣が、木の上から襲いかかるバトルモンキーを真っ二つにする。
見ると、ミサキとミウの方も無事に倒したようだ。
「……楽勝」
ミサキがつぶやく。
ミウが駆け寄り、こちらに飛びついてくる。
俺はそれをしっかり受け止め、頭を撫ででやる。
「くぅ〜」
ミウは気持ち良さそうに喉を鳴らす。
一通り撫で回した所で、ミウを頭に乗せ、倒した魔物の素材を剥ぎ取る。
討伐の証拠となるバトルモンキーの牙も忘れずに回収した。
「よし、帰ろう!」
討伐依頼が完了した俺たちは、森の出口へと歩き始めた。
「ん!?」
何やら気配を感じた。すぐさま2人に合図をする。
俺たちは戦闘態勢のまま、じっと気配を探る。
すると、現れたのはどこかで見たような金ピカ鎧とメイドだ。
またこのパターンか。
「おや? どこかで見たような貧乏人がいるぞ。ひょっとしてどこにでも湧いて出るのかな?」
「はい、ミューラー様。それもあり得るかと」
ある訳ないだろ! こいつら好き放題言いやがって。
でも我慢だ。関わると、ろくでもないことが起きそうな気がする。
俺たちが特に反応を示さないと、メイドが怒りの形相でこちらを睨んできた。
「ふん、貧乏人は挨拶もできんのか。学が知れるというものよ。いくぞ、サツキ」
金ピカの言葉により、メイドの殺気が霧散する。
「はい、ミューラー様」
そう言うと、彼らは森の出口の方へ去っていった。
向かう方角が一緒か、やだなぁ。
「……我慢した。えらい?」
ミサキがアピールしてきたので、
「ああ。えらいえらい」と、適当に返しておいた。
「……扱いがおざなり。改善を要求する」
「ミサキ、えらいよ〜♪」
代わりにミウがミサキを褒める。
ミサキは、ミウの一言に一応は満足したようだ、よかった。
「……ラブラブ作戦失敗。アリシア先生に教えを請わなければ…」
きこえない、きこえない。
しばらく歩くと、先ほどの金ピカが見えてきた。金ピカだけあってよく目立つ。
どうやら追いついてしまったらしい。
まいったなぁ、ゆっくり歩いていたつもりだったのだが――。
よく見ると、何やらしゃがみこんで、何かと話している。
ウザさより興味の方が勝った俺は、ゆっくり金ピカに近づいていく。
足元に小さい何かがいる。妖精だ!!
「そうです! その宝玉が無いと私たちの村が滅びてしまうのです」
何やら物騒な会話が聞こえてくる。
「ここから東に進んだ先の祠の中にそれはあります。私だと結界に阻まれ、中まで進めません。是非貴方のような素晴らしい勇者様に、それを取ってきて頂きたいのです」
「ほう、この私が勇者だとわかるか。よかろう、私が取ってきてやろう」
「さすがミューラー様です。かっこいい!」
随分盛り上がっているなぁ。
しかし、金ピカたちだけで大丈夫か?
そんなことを考えているうちに、金ピカ御一行は妖精を連れ、西へと進んでいった。
「カナタ、行くの?」
ミウが聞いてくる。
「ああ、彼らとは関わりたくないけど、妖精の話が気になるしね」
俺たちは金ピカたちの後を付けて行く事にした。
小一時間くらい経っただろうか。
大きな岩場に横穴があるのが見える。おそらくあれが祠なのだろう。
金ピカと妖精が何やら話している。
「勇者様、ここから先は私は入れません。中に宝玉が飾られているはずですので、よろしくお願いします」
「うむ、任せておけ」
金ピカはメイドを連れ、中へと入っていく。
そのとき、妖精がふと笑ったような気がした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
地面が大きく揺れる。
何だ? 地震か? 地震だとしたらこの音はどこから?
すると、金ピカとメイドが慌てて横穴から飛び出してくる。
金ピカは、手に何か丸いものを持っている。
おそらくあれが宝玉なのだろう。
ボカァァァァァン!!!!!
祠が突如砕け、そこには巨大な怪物が現れる。
全体的に丸い胴体の半分が大きな口、全身は毛むくじゃら。
腕は太く長く、鋭い爪を持つが、足は短い。
身長はおよそ4mほど、目は毛に覆われているのか確認できない。
祠の番人 LV45
HP :4000
MP :500
力 :1000
体力 :800
かしこさ:200
運 :100
スキル:?????
?????
強い!
今まで出会ったどの魔物よりも強い!
「ミウ、ミサキ! 気をつけろ!!」
俺たちは離れた場所で臨戦態勢を取る。
その時、俺の視界には金ピカから宝玉をかっさらう妖精の姿が見て取れた。
「えっ!? なっ! こら、お前! どういうつもりだ!」
金ピカが妖精を怒鳴りつける。
「アハハハッ! これは頂いていくね、馬鹿なお兄さん」
「あなた、騙しましたね」
メイドから殺気が溢れる。
「アハハハッ! 僕なんか気にしてていいの? ほら、すぐそこに♪」
番人が大きく円を描くように腕を振るう。
メイドはそれを何とか屈んで避ける。
「じゃあ、後はよろしくね〜♪」
そう言うと妖精は何処かへ飛び立っていった。
残された2人は、唖然とする暇もなく、番人の対処に追われる。
「ミューラー様、ここは私が囮になります。逃げてください」
「馬鹿者! お前を置いて逃げられるものか!」
「……どうする?」
ミサキが俺に聞いてくる。
その顔には、「分かっているが一応聞いておく」と書いてあった。
「助けよう。ミサキ、ミウ! 魔法で牽制してくれ。目的はあの二人の救出だ。無理に倒そうと思うな!」
ミサキ、ミウが呪文の詠唱に入る。
番人もこちらに気づいたようで、俺たちに向かって大きな咆哮を上げる。
さあ、戦闘だ!
俺は番人に向かって駆け出していった。
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