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第2話 バレン村到着

「〜〜〜♪」


 ミウが俺の頭の上で鼻歌を歌っている。

 初めにあった緊張感もなんのその、すっかりリラックスモードだ。

 女神様からもらった袋の中には、いくらかの食料と水が入っていた。

 見通しのよい場所でそれらを2人?で平らげ、現在食事休憩中といったところだ。

 ただし、入っている食料にも限りがある。まだ余裕がある内に何とかしなければなるまい。


「う〜ん。かなり歩いたと思うんだけど、そろそろ人家でも見えてきてもいいのになぁ」


 俺の嘆きを聞き、ミウが答える。


「ミウはだいじょうぶ。まだ疲れてないよ!!」


 そりゃあ頭の上に乗ってるだけだから疲れないでしょ! しかも移動中に寝てたし。

 そう思ったが、それを口に出すほど大人気無くはない。


「じゃあ出発しようか」


「しゅっぱ〜つ!!」


 とりあえず西に向かうことにした。










 出発から約1時間、わだちらしきものを発見した。


「こいつを辿たどっていけば、人里がありそうだね」


 しかし返事はない、ただの屍のようだ。では無く、また睡眠中らしい。

 寝る子は育つというが、寝過ぎではないだろうか。









 しばらくすると、人里を発見。周りを木で出来た柵で覆われていて、その中には木造の住宅がまばらに立ち並ぶ。見るからに田舎の村という印象だ。

 入口らしきところに、門番らしき人が立っているのが見える。

 どうもこちらに気がついた様で、ゆっくりと近づいてくる。


「坊主、この村になにか用か?」


 西洋風の鎧を着た、見た目の歳は40歳ぐらい、よく見るとその鎧は所々くたびれている。

 だが、体格は筋骨隆々、街で絡まれたら逃げ出したくなるレベルである。

 しかし、ここで逃げ出すわかにはいかない。


「実は道に迷ってしまいまして、現在位置を教えて頂きたいのですが。あと出来れば食料も譲って頂けないでしょうか?」


 門番はゆっくりと目線を上下させ、俺を観察をした後、


「おう、そいつは災難だったな。しかしここは弱いといっても魔獣が出ないわけではない。坊主みたいなのが一人で、よくここまでたどり着いたな」


「運が良かったんですよ。たぶん……」


「キュ〜♪」


 いつの間にか起きていたミウも肯定する。


「ん? なんだそのちっこいのは。見たこと無い生き物だな。坊主のペットか?」


「まあそんなところです」


「キュ〜♪」


「まあとりあえず何もない村だが休んでいけ。食料も多少は融通してやろう。宿は無いから俺の家に泊めてやる。坊主は悪い人間には見えんしな」


 そう言うと、俺の背中をバシバシと2・3度叩いてきた。


「はい! ありがとうございます!」


 馬鹿力に倒れそうになりながらも、俺はこの豪快な門番にお礼を言った。







 このバレン村に一番近いベラーシの街への定期馬車は、7日に1回しか来ないらしい。それが先程出発してしまったとのこと。近い街といっても徒歩だと10日はかかるので、少なくとも7日はこの村に滞在することになる。

 流石にそれまでタダで泊めてもらうわけにはいかないので、その事をダグラスさんに言うと、


「坊主みたいな若いもんがそんなこと気にするな!家のカミさんも息子が帰ってきたようで喜ぶ!!」と、取り合ってもらえず、また背中を叩かれた。


 ちなみにダグラスさんの息子さんは別に亡くなったわけではなく、王都で騎士をやっているらしい。村の出世頭だそうだ。

 実はダグラスさんも、今はもう引退しているが騎士だったとのこと。

 確かに、この迫力は普通の村人には出せないと思う。

 結局、俺たちはダグラスさんの言葉に甘えることにした。


 こうして俺とミウはバレン村にしばらく滞在することになった。




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