第25話 オークの集落
森の中の道なき道を俺たちは進んでいく。
見上げれば大きな針葉樹が、天にも登るような高さで生い茂っている。
地表近くでは草が生い茂り、俺たちの行く手を阻む。
地球だったら蚊に大量に刺される所だが、幸いなことにこの世界に蚊はいないらしい。
草を掻き分けながら、俺たちはひたすらオークの後について行く。
およそ1時間ほど経っただろうか。
先導していたオークたちの足並みが止まる。
立ち止まったオークの先に、何やら集落らしきものが見えた。
「言っておくが、おかしな真似はするなよ」
オークの族長が俺たちに警告を発する。
元々そんな気は無いので、俺は黙って頷き返す。
族長はそれを確認して、俺たちを集落へと招き入れた。
集落にはオークが3〜40匹ほど住んでいるようだ。
移動して間も無いのだろう、集落といっても雨露が凌げる程度のものだが……。
そんな中でも、割とましと思われる小屋の中に案内される。
そこには1体の小柄なオークが横たわっていた。
人間と比べて分かりづらいが、見るからに顔色が悪く、土気色をしている。
ときどき唸り声を上げるのが、見ているこっちも辛くなる。
ここに連れてこられたということは……。
何となく次に言われる事が分かってしまった。
「お前らにはこの子を治してもらう」
族長が決定事項のように俺たちに告げる。やはり、予想通りだ。
「近づいてもいいか?」
俺は族長に問いかける。
「ああ。だが下手な真似はするなよ」
了解を得た所で、俺はその子に近づく。
近づいた所で、早速ステータスを確認する。
オーク LV5
HP :10
MP :0
力 :70
体力 :100
かしこさ:60
運 :50
状態:猛毒
麻痺
どうやら猛毒と麻痺毒にやられているようだ。
よく見ると腕に裂傷がある。
「痛そう……」
傷を見てミウが呟く。
「ここに来る前に人間に弓矢でやられてな。必要なものが有るなら取り揃えて貰って構わない。ただし、人質は置いていって貰うがな」
族長が俺をひと睨みする。
「いや、とりあえずは大丈夫だ。魔法で治すが良いか?」
「ああ、治れば何でも良い」
族長の了解を取り、俺は呪文を唱え出す。
周りにいたオークが、俺の不穏な動きに警戒するが、族長がそれを制した。
「すべての毒を浄化せよ…… キュアポイズン!」
「麻痺を消し去れ! キュアパラライズ!」
「癒しの光よ…… ヒール!」
ゲームの知識全開で呪文を唱える。
淡い光がオークの子を包む。
上手くいったかな?
ついでにヒールで腕の傷も直しておいた。
あからさまに顔色が回復した子オークを見て、族長が駆け寄る。
「大丈夫か、グラン」
「……あれ? 痛みが消えた?」
初めは何が起こったか分からない様だったオークの子だが、治ったことが分かって元気にはしゃぎだした。
念のため、再度ステータスの確認はしておく。
グラン(オーク) LV5
HP :400
MP :0
力 :70
体力 :100
かしこさ:60
運 :50
しっかりと異常状態は消えていた。これでもう大丈夫だろう。
するとオークの子(グランというらしい)がこちらに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃんが直してくれたの?ありがとう」
しっかりと頭を下げてお礼を言う。良くできた子供だ。
「どういたしまして。治ってよかったね」
「よかったね~♪」
ミウも嬉しそうだ。
「グランを治してもらって礼を言う。儂らは退こう。森を通るがいい」
族長が俺に言った。
「待ってくれ。貴方達は森で、また人を襲うつもりか?」
一番気になっていることを聞いてみる。
「ふん、知るか。と言いたいところだが、息子のグランに免じてこちらからは襲わないと約束しよう。相手が攻めてきたらその限りではないがな」
その言葉を聞いて、俺は深く頭を下げる。
族長(ゴランというらしい)から案内をつけて貰い、俺たちは馬車へとたどり着く。
そこにはユニ助が退屈そうにしながら待っていた。
「我をこんなに長く待たせおって…。用事は無事に終わったのか?」
「ああ、バッチリだ。遅くなってしまったが出発しよう!」
勢いよく出発の合図を告げたところでミサキが一言。
「……ゲートを使わないの?」
「あっ!?」
そう、俺は忘れていたのだ。
この前のダンジョン攻略時にダンジョンの近くにゲート登録していたことに――。
それを使えば、ペタの村からそのまま一瞬でダンジョンにたどり着いたことに――。
「ミウも忘れてた……」
俺たちは随分回り道をしたことになる。
でもそのおかげで、少しではあるがオークと友好を築け、子供も助けられたので良しとしよう。
俺たちはゲートでダンジョンへ移動。
時間も遅いので特に無理はせず、低階層で狩りを行った。
帰り?
もちろんゲートを使って王都まで帰りましたよ。
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