第23話 お勉強
「う〜ん、疲れた」
これほど本を読んだのは何年ぶりだろう。全身がとてつもなく気だるい。
そう、俺たちの本日の予定は、「一日中王都の図書館で本を読む」事だ。
アリシアさんの紹介状によりすんなりと入館できた俺たちは、それぞれいろいろな本を漁って読んでいる。とても1日で読みきれる量ではないが……。
「くぅ〜」
ふと横を見ると、ミウが寝息を立てている。おそらく本読みは退屈だったのだろう。
初めのうちは、本の挿絵部分をめくっては、
「カナタ、見て! すごいよ!」
「カナタ、これなあに?」
と、俺に話しかけてきたのだが…。
考えてみれば、いくら成長が早いとは言え、人間で言えばまだ絵本を見ている年齢である。
ミウには、俺から順を追って知識を教えたほうが良さそうだ。
今回俺が読みたいと当たりをつけていたのは、スキルと魔法についての文献だ。
しかし、魔法文献については、異世界の人たちはイメージに苦労をしているらしく、現代知識により物質の原理を知っている俺から見れば、新たな知識を与える物は無かった。
魔法については、中二病全開でいろいろ考えていけば良いだろう。
そういった訳で、俺はもう一つの目的であるスキルの文献について読み漁った。
それによると、スキルは関連する行動、または行動の熟練度により習得し、使えるようになる。
習得したスキルにも熟練度があり、熟練度が上がれば、剣技スキルなら威力が増加などのメリットがある。
また、習得したスキルの熟練度には限度があるが、それにより新たなスキルを覚えることもある。以上が文献で知ったスキルの仕組みだ。
一般的に使用されているスキルの習得の仕方も載っていたので、明日にでも試してみることにしよう。
「さて、帰るか」
もう結構良い時間だ。
俺はミウを抱き上げ、ミサキを探す。
程なくしてミサキを発見。
「……すぅ…すぅ…」
ミサキ、お前もか。
仕方がないので、肩を揺すって起こす。
「……目覚めるにはキスが必要」
どうやら起きたようなので、無視して出口に向かう。
「……残念」
そう呟き、ミサキも後に続いた。
「何か役立つ本はあった?」
ミサキに聞いてみる。
「……駄目。魔法ならカナタの話の方が実践的。授業の継続を所望」
どうやらミサキも俺と同じように感じたらしい。
「それはもちろんいいけど…。ただ探せば魔法職に必要なスキルの文献もあると思うぞ」
「……わかった。今度探してみる」
そんなことを話しているうちに、宿屋に到着した。
値段は一人銀貨1枚、ベラーシの街に比べてかなり割高だ。
本当は、別荘があるので宿屋に止まる必要はないのだが、一応カモフラージュの為だ。資金が苦しくなったら考えるかもしれないが、今のところ潤沢だ。
鍵をもらい部屋へと入る。
部屋は2階のツイン、別荘に移動するのだから問題ない。
俺たちは小休止した後、食事をとるため1階へと降りていった。
「ギルドの受付のマリーさんは絶対俺に気があるはずだ! そろそろ俺から告白しようと思うんだが…」
「あの豪腕の元騎士団長が王都に来ていたらしいぞ! なにやら王から密命を受けたとか…」
「キサラの森にはぐれオークが出るらしい。普通のオークよりかなり強いらしいぞ…」
「ブラビ砂漠に巨大なサンドゴーレムが出たらしい。Cランク冒険者が瀕死の重傷だそうだ…」
宿屋の食堂は一般開放しているらしく、冒険者のたまり場になっている。
耳を澄ますと、いろいろな噂話があたりを飛び交っている。
RPGでも酒場で情報集めは基本、その為、食事は別荘ではなく宿屋で取ることにしている。
白米は恋しいが、そこは我慢のしどころだ。
その噂の中で、有用な情報になりそうな物を探していく。
今回は特に無さそうだ。
俺たちは食事を済ませ、部屋へと戻り、ドアの鍵を閉めてから別荘へと移動、スラ坊の出迎えを受けた後、俺たちは温泉へ入る。
やはり温泉は心身ともに癒してくれる。
ミウも気持ちよさそうに仰向けに浮かんでいる。器用なものである。
風呂から上がり、ドライヤーでミウを乾かし就寝。
明日も無事に過ごせますように…。
「元気してたでちゅか?」
俺の目の前には女神様、もう驚かないぞ。
「それは残念でちゅ…」
いや、そんな残念そうにされても…。
ところで何かあったんですか。
「そうでちゅ。カナタくんはスキルについて学びまちたね」
「ええ、今日図書館で」
「そのスキルレベルについてもステータス閲覧で分かるようにしておいたでちゅ。おまけもつけたので有効に活用するでちゅ」
いつもながらサービス満点で、なんだか悪いなぁ。
「もともとは私のミスでちゅから、気にしたら負けでちゅ」
何が負けだかよくわからないが、ありがとうございます。
「よろしいでちゅ。じゃあ頑張ってくだちゃいね〜〜」
そして俺の意識が遠ざかる……
目が覚めた時にはもう朝になっていた。
横で寝息をたてているミウを起こさないように起き上がる。
「ステータス!」
俺は自分のステータスを確認するべく唱えた。
カナタ LV18
HP :1800 (+400)
MP :1000 (+400)
力 :610 (+400)
体力 :600 (+400)
かしこさ:3200 (+400)
運 :5100 (+4900)
女神の加護(全ステータス+補正)
ステータス閲覧
モンスター言語
属性魔法 火
属性魔法 水
属性魔法 風
属性魔法 地
属性魔法 聖
属性魔法 暗黒
属性魔法 無
スキル:スラッシュ (LV 1/5)
女神様のプレゼントであろう、1つスキルを習得していた。
その右側が熟練度で、意味は、「最高値がLV5で現在LV1」ということらしい。
よし、明日からスキルレベルを上げていくぞ!
他の2人のステータスも後で確認しておこう。
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