第1話 生涯のパートナー
さて、どうしようか。先ずは人探しかな。
いつまでも何もない場所にいるわけにはいかないので、とりあえず移動することにする。
ふと、自分の服装を見てみると、旅人の服とでもいうのだろうか? 現代ではあまり馴染みのないファッションだ。
その中でも、ベルトにぶら下がっている小袋が気になった。
探ってみるとそこには一枚の紙切れが。
「これはわたしからのぷれぜんとでちゅ。役立ててほしいでちゅ」
女神様からの手紙が入っていた。大きさに関係なく何でも入り、しかも重さを感じない魔法の袋らしい。
他にもいろいろ書いてあったので試してみることにした。
「ステータス!」
目の前に透明なウィンドウらしきものが現れる。
カナタ LV1
HP :900 (+400)
MP :600 (+400)
力 :500 (+400)
体力 :500 (+400)
かしこさ :3000 (+400)
運 :5000 (+4900)
女神の加護(全ステータス+補正)
ステータス閲覧
運が非常に高いのは、どうも女神さまが気を使ってくれたらしい。まあ前世(になるのかな?)では手違いで死んでしまったしね。
その他の数値は、比較対象がないから高いか低いか分からない。
ただ、女神の加護があるからには普通よりは高いのだろう。そう思いたい。
かしこさが比較的高いのは現代知識の影響なのだろうか。
考えても答えは出ないので、とりあえず移動を開始することにする。
「たすけて〜!!」
女の子の悲鳴が聞こえた。
俺は、考えるよりも先に悲鳴の方向に駆け出す。
たどり着いた先では、2匹の狼が、声の主をとり囲んでいた。
すばやく近くにある小石を拾い、2匹の狼へと投げつける。
グシャッ!
「えっ!?」
狼さんは、ただの小石で倒せてしまったらしい。
気にするのは後にして、声の主の方へ駆け寄る。
すると、そこには小さな生き物が体をふるわせていた。
上目遣いでこちらをみている。どうやら警戒されているようだ。
「だいじょうぶ、何もしないよ」
怪我はしてない様子なので、そっと立ち去ろうと踵をかえそうとしたところ、
「あっ… あのっ。 待ってください。たっ、たた、たすけてくれてありがとうございます」
もふもふ系小動物が話しかけてきた。
発音的には、「キュ〜、キュ〜」としか聞こえないのだが、俺にはその意味が自然と理解できていた。
「どういたしまして。それよりも俺の言葉がわかるのかい」
「は、はいっ!」
この小動物は生まれて間もないらしく、お腹がすいたので食べ物を探していたところ、狼に遭遇してしまったらしい。親の姿は見たことが無いとのこと。このまま放っておいたら、また襲われる確率が高いだろう。
「よし。それなら俺と一緒に来るかい?」
思えば、俺も異世界で一人ぼっち、連れが欲しかった。
「はい。よろしくおねがいします!」
そう返事をして小動物はぴょんと俺の頭の上に飛び乗った。
「そういえば名前はあるのかい?」
「無いです……」
頭の上で少し寂しそうに答えた。
「よし、それならば君の名前はミウだ。もちろん嫌じゃなければだけど……」
「嫌なわけないです。ありがとうございます!」
「俺の名前はカナタ。そのままカナタと呼んでくれ。それから敬語もいらないぞ!」
「はい、カナタ。これからよろしく!!」
こうして俺は、第一の仲間を手に入れた。
カナタ LV3
HP :1000(+400)
MP :650(+400)
力 :510(+400)
体力 :510(+400)
かしこさ:3000(+400)
運 :5000(+4900)
女神の加護(全ステータス+補正)
ステータス閲覧
モンスター言語
ミウ LV1
HP :50
MP :70
力 :10
体力 :10
かしこさ:250
運 :20