第14話 ゴブリンの巣へ
ミサキとの運命的?な出会いから半時、俺たちはゴブリンの巣であろう洞窟を岩山の上から観察している。
「……見て。ゴブリンが2匹入っていった。やはりあそこが巣で間違いない、言ったとおり」
ミサキが自分の情報の正しさをアピールする。
「キュ〜♪(すごいね♪)」
「……えっへん」
なにげに会話が通じている、そちらの方がすごいな。
そんな事に感心している時、何やら後ろから物音が聞こえた。
ザッ!
「何か来るぞ!」
俺は小声で注意を促す。
暫くしてその物音は正体を現した。
ゴブリンだ!
俺が追撃体制を取ろうとしたところ、ミサキから静止が入る。
「……あれは私に任せて。イッツ、アピールタイム」
「グギャアッ!」 「グギェェッ!」
そうこうしているうちに、2匹のゴブリンは涎を垂らしながら迫ってくる。
「……彼の者を撃て、ダークアロー」
ミサキの周りに数十本の黒い矢型の影が浮かび上がり、それが一斉にゴブリンに向かって解き放たれる。
哀れゴブリンは悲鳴を上げる暇もなく穴だらけになった。
「キュ〜、キュ〜♪(すごい、すごい♪)」
ミウが歓声を上げる。
敵陣近くだから、なるべく静かにね。
「……アピール成功。やったね」
ミサキはパッと見わからないが、よく見ると満足げな表情を浮かべている。
結果のとおり、戦力としては十分だと思う。
後は、後々パーティを組むほど信用できるかどうかだが、その事はゴブリン退治が終わってからでも良いだろう。
「よし、じゃあ巣に向かうぞ」
「キュ〜!(了解!)」
「……あらほらさっさ〜」
――そのセリフってこの世界にもあるの?
洞窟の入り口がここから見える。
現在3人とも岩陰に伏せの状態である。
見張りらしきゴブリンが2匹、どうやら見張りを置くくらいの知能はある様だ。
「まずミウとミサキが1匹ずつ魔法で攻撃、その間に俺が接近して仕留めきれなかったゴブリンに止めを刺す。音に気づかれて他のゴブリンが出てきてしまったら、一旦距離を置いて戦闘しよう。数が多いようだったら魔法をぶっぱなして撤退だ。――準備はいい?」
「キュ〜(いつでもいいよ)」
「……了解。私にかかれば無問題」
準備万端を確認して、俺はカウントに入る。
5、……
4、……
3、……
2、……
1、……
「今だ!」
俺は2人に丁度聞こえるくらいの声で合図を出す。
「キュ〜!」
「……ダークアロー」
その合図と同時に2人の魔法詠唱が始まる。
ミウの周りに淡い光が収束していき、3本の矢になる。聖属性初級魔法、ホーリーアローが完成する。
ミサキは先程も使用した闇属性、ダークアローである。こちらも今回は3本発現している。
それを横目で見ながら俺はダッシュを開始する。
俺の横を合計6本の矢が通りすぎる。
ミサキの矢は1匹のゴブリンの頭と腹に命中。確認しなくても分かる、即死である。
ミウが放った矢は、腹・腕・足にそれぞれ命中、致命傷とはいかないがダメージとしては十分である。
そこへ俺が飛びかかる。
「グギェッ!」
反撃することも出来ずゴブリンの首が飛ぶ。
俺は油断すること無く、辺りを見回す。
……大丈夫、気づかれていないようだ。
遅れてミウとミサキが近づいてくる。
ミウのしっぽが「褒めて♪」とばかりに振られていたので、「良くやった」とばかりに頭を撫でてあげる。
ミサキも「…褒めて」というような顔をしている。
いや、撫でないよ。
俺たちは洞窟の入口から中を窺う。
中は真っ暗で何も見えない。
話に聞いた限りでは、それほど中は深くは無いということなのだが、そもそも浅い、深いのこの世界の判断基準が分からない。
すっかり失念していた。
この世界の人間であるミサキに聞いてみる。
「……おそらくここは深くて2階層、それがゴブリンの巣」
どうやらゴブリンの特性上、深い洞窟には巣を作らないらしい。
2階層か……。
殲滅は考えなくて良いとしても、ある程度は潜らないといけないな。
まあ考えていても仕方がない。
「よし、行こう!」
「キュ〜!(お〜っ!)」
「……ふふっ。私の腕の見せどころ」
ミサキさん、少し怖いんですけど…。




