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一緒にお昼ご飯を食べました

二日前に友達になった彩ちゃんに昨日、一緒に生徒会室でお昼ご飯を食べようと誘われた。


そして今、葵と彩ちゃんと一緒に生徒会室までの道のりを歩いている。



「でも、良いの?あたしまで一緒に行っても」


「はい、良いですよ。食事は大勢で食べた方がおいしいですから」



葵が彩ちゃんと話をしている。私を挟んで……。


昨日の食堂に行くときにも思ったけど、話をするなら隣同士の方が良くないかな?と疑問に思ったのだが、本人達が気にしていないので別にいいかな、と思うことにする。



昨日、葵は一緒に付いてきて来れないと言っていたが、今日のお昼ご飯代と来週のご飯代も出すからお願いします。と頼んだら一緒に付いてきてくれた。


おかげで財布の中が軽くなったよ。



途中で売店により、惣菜パンやおにぎりを買って生徒会室の前に着いた。



「薫さん、いつきさんと葵さんを連れて来ましたよ!」



彩ちゃんはノックもせずに扉を開き、中に入っていく。


私と葵も中に入ると生徒会のメンバーが勢ぞろいだった。



「いらっしゃい。いつきちゃんと葵ちゃん」


「早く席に着いてご飯を食べようぜ!」



副会長の一ノ瀬沙織さんがにこやかに言い、会計の片岡七海さんがいきいきしながら言う。


書記の佐々木夕夏さんはどこか不機嫌そうな態度で黙って座っている。一昨日はいなかった庶務の龍川空さんはにへら、と笑いながら私達の方を見ている。


この前は生徒会のメンバーの名前が出てこなかったけど、今度はちゃんと出てきた。

昨日、葵に教えて貰ったおかげだ。


しかし、葵に聞いた時は驚かれたなあ。

生徒会の人達はみんな結構有名らしく、名前を知らない人がいるとは思わなかった、と葵に言われた。


いや、有名なのは知っていたけど名前をど忘れしただけだよ。うん。




「いつき、青柳さん、いらっしゃい。好きな席に座って」



そう薫さんが言う。



生徒会室に入るのは今回で二度目だけど、とても広い。扉を開くとまず、でっかい机に座り心地が良さそうなこれまた大きな椅子がある。多分、この席と机は会長の薫さんが座るのだろう。


そして、その大きくて立派な席の斜め横の前にそこで会議をやるためのなのか、大きなテーブルとソファが置いてある。このソファも座り心地が良さそうだ。


このテーブルとソファは十人くらいの人が座れる大きさで私と葵も座れるみたいで安心した。座れなかったらどうしようとか思っていたけど、杞憂だった。


ついでに言うと床はカーペットだ。なんかここにある物は高そうだな。



私が初めて生徒会室に入った時は緊張しすぎて周りの様子を全然見れなかった。


まだちゃんと冷静とは言えないけど、今は生徒会室がどんな間取りをしているか、という事はわかるみたいで少し安心した。



薫さんは私達に好きな席に座ってもいいと言ってくれたが、薫さん達はもうテーブルに座っているので座る場所が決まっているようなものだと思う。


そんな事を考えていたら彩ちゃんが私の腕を引っ張って薫さんの座っている隣に座らされて、彩ちゃんは私の隣に座った。


ソファの座り心地がとっても良かった。



「葵はうちの隣でいいよな」


「はい。良いですよ」



葵は片岡さんに言われて片岡さんの隣に座る。


私の左隣に彩ちゃんが、右隣に薫さんがいて、私の目の前に葵がいる。



「じゃあ、みんな揃った事ですし、ご飯を食べましょうか」


「そうだな、沙織。んじゃ、皆様ご一緒に、手を合わせて」


『いただきます!』



片岡さんがいきなり言い、みんなもちゃんと手を合わせていたのでつられて私も手を合わせ、言った。



「いつきちゃん、それだけで足りるの?」



私が先程買ったおにぎりを出すと一ノ瀬さんが聞いてきた。


私の前にはおにぎりが一つとお茶が入っている湯呑みだけだから聞いてきたのだろう。

お茶は生徒会室に置いてあると彩ちゃんが言っていたのでお茶は買わず、生徒会室のお茶を貰っている。



「……たぶん、足りるんじゃないかな?と思います。今日は体育もないし」

来週のお昼ご飯も葵に奢らなくちゃいけないから節約の為におにぎり一個だけしか買っていない。

葵は焼きそばパンやおにぎりとかを買っていたけどね。



「ダメだぞー。沢山食べなくちゃ」


「そうそう。成長期何だから」



片岡さんが言い、続けて葵が言うけど、葵が言うなと言いたい。節約は葵のおかげでもあるんだから。


それにしても、葵と片岡さんは仲が良さそうで何でだろうと思っていたら、顔にその疑問が出ていたのか葵が教えてくれた。



「七海先輩はあたしと同じ剣道部なんだ」


「まぁ、でもうちは余り部活の方には顔を出していないけどな」


私はへぇ~と思いながらおにぎりのビニールを剥がして食べる。

海苔が破れずに上手く剥がせてラッキーだなと思いながら、みんなの様子を見る。



葵は片岡さんと部活の事を話し、薫さんの方は薫さんの目の前に座っている一ノ瀬さんと話していて、時々葵の話の方にも入っていく。

彩ちゃんは隣に座っている龍川さんと一緒のクラスみたいで授業の事を話しているようだった。


もう一人の生徒会メンバーの佐々木さんは不機嫌そうな感じで黙々と弁当を食べている。

やっぱり部外者がいると嫌なのかなと思った。


それにしても気になる事がある。


さっきから一ノ瀬さんと話している薫さんがちらちらと私の方を見てくる。

目が合うと逸らされて、何だろう?


ちょうどおにぎりを食べ終わったので聞いてみるけど、何でもないと言われた。




「いつきさん。よかったらわたしのお弁当食べませんか?少し多く作りすぎたので余りそうなんですよ」


「いいの?」


「はい!」



やっぱりおにぎり一つじゃ足りないなと思っていたら彩ちゃんがお弁当を差し出してくれた。


私はその言葉に甘えようと思ったが箸がない事に気がつく。どうしようと思っていたら、



「はい、あ~ん」



彩ちゃんが自分の箸で玉子焼きを私の目の前に差し出してくれたので、私はその玉子焼きを食べた。


その玉子焼きは甘い味付けでふんわりしていて美味しかった。

私は甘い玉子焼き派なのだ。塩味のも好きだけどね。


私はもぐもぐと玉子焼きを食べていると何か変に思った。


周りの人が固まっている?


何でだろう思ったが、とりあえず口の中の玉子焼きを飲み込み、彩ちゃんに言う。



「ありがとう、彩ちゃん。おいしかったよ」


「……いえ、どういたしまして。他に食べたいものがあったら言ってくださいね」



彩ちゃんは頬を赤く染めながら私に言ってくれ、私はありがとうと返す。


まだ周りの人が固まっているので、どうして固まっているのかを葵に聞こうとしたら、



「いつき!私も弁当を作りすぎたからどうぞ!!」



薫さんが急に大声で顔を真っ赤にしながらミートボールを私の目の前に差し出してくれた。

私はびっくりして少しだけ固まっていたら薫さんの顔が不安そうになっているのに気がついて、慌てて私は差し出されたミートボールを食べる。


ミートボールも美味しかった。

タレも美味しくて肉の美味しさもちゃんと残っていて、とても美味しかった。


二人とも作ったと言っていたから手作りなのか。

すごいなあと思っていたら、顔をまだ赤く染めている薫さんが不安そうに味の感想を聞いてくる。



「うん。おいしいよ」


「……よかった。ミートボールも沢山あるからまだ食べてもいいぞ。たしか、いつきはきんぴらごぼうも大好きだったよね」


私は微笑みながら素直な味の感想を言うと、薫さんはぱあっと笑顔になり、他のおかずも勧めてくる。


なんで私の好きなものを知っているんだろうと思って聞こうとしたら、彩ちゃんがアスパラベーコンを差し出してきたので、それを食べる。


その後にまた薫さんが先程勧めてきたきんぴらごぼうを差し出してきたので、急いでアスパラベーコンを飲み込み、きんぴらを食べる。



美味しいけど、何か忙しいなと思ったと同時に、雛鳥になったような気分がした。



「薫ちゃん、彩ちゃん。いつきちゃんがお茶を飲みたそうにしているからお茶を飲ましてあげたら?」


「……そうなのか?」



私が少しの間、雛鳥のような感じになっていると、一ノ瀬さんがそう言ってきて、薫さんが私に聞いてくる。


確かにお茶が欲しかったので私は口の中の食べ物を咬みながらコクコクと首を縦に振る。


すると薫さんと彩ちゃんはなぜか謝りながら慌てて、二人同時にお茶を差し出してきた。


私は少し困ったけど、とりあえず差し出されたお茶二つを両手で一つずつ持ち、お茶を交互に飲む。



「ありがとう。……でも、二人とも自分のお弁当何だからちゃんと食べなくちゃいけないよ?」


「すみません、迷惑でしたか?」


「いや、迷惑じゃないよ?美味しかったし。ただ二人ともちゃんとご飯を食べていないみたいだったから。二人のお弁当何だからちゃんと二人が食べないと」



私は二人にお礼を言い、二人が私に食べ差してばっかりなので、その事を言うと 二人とも顔を曇らせて彩ちゃんがそう言ってくるので、私は慌てて迷惑じゃないことを二人に言った。



「……そうそう、薫と彩ちゃんは自分の弁当をちゃんと食べないと。ねぇ、いつきちゃん」


「それに薫、次の授業は体育だったよな。ご飯を食べずにいて、後でお腹が空いて動けない~って言っても知らないぞ?」


「なっ、私はそんな事は言わない!」


「確かにそうかも知れないけれど、そんな風に後でお腹を空かせたら、いつきちゃんがいらない罪悪感を持つかも知れないでしょう?」


「……わかった。ちゃんと私もご飯を食べる。……いつき、すまなかったな」



私が少し困っていたら一ノ瀬さんが話しかけてくれ、片岡さんが茶化すように薫さんに言い、それに対して薫さんが顔を少し赤らめ否定し、一ノ瀬さんが諭すように言うと、薫さんが納得をしたのか私に申し訳なさそうに謝ってきた。


私は慌てて言う。



「いえ、謝らなくても良いですよ。それにおかずを分けて貰ったんですから、私の方が感謝とかしなくちゃいけない立場ですし。早く食べなくちゃ休み時間が終わりますよ?私は結構、お腹がいっぱいになったので私はいいから二人が食べてください」



私がそう言うと二人は素直に自分の弁当を食べ始めた。


すると、何故か彩ちゃんが箸を口元に当てて顔を赤く染めていた。


私はどうしたの?と聞いてみたら彩ちゃんは可愛らしく、ふふっと笑い、言う。



「間接キス、だなぁって」



私はそれを聞いて、あぁ、確かにそうだなあと思うと同時に恥ずかしい気持ちになった。


家族や友達とかにもよくしたり、されたりとしていたから気にしたことがなかったけど、改めて言われるとなんか恥ずかしい感じがした。


私がそんな事を考えていたら、右隣からぽんっと音がしたような気がして見てみると、顔を真っ赤にして固まっている薫さんがいた。



「どうしたの?薫さん」


「あの、いや。……何でも、ないです」


「大丈夫?物凄く顔が赤いけど……。熱でもでたんじゃあ。ちょっとすみません」


私はそう言って薫さんのおでこを触るけどよく分からなかったので、自分のおでこを薫さんのと合わせてみたけど、やっぱりよくわからない。


これで母さんはよく体温を当てたりするけど私には分からなくて、母さんはすごいなあと思っていたら、ボン!っと音が聞こえたような気がして、我に帰ると薫さんの頭から湯気が出ていて、顔も凄い赤くなっており、薫さんは気を失っていた。



「えっ!どうしたの!?病気?!」



私は慌てて周りに向かって言うけど、ほとんどの人が呆れたようにこっちを見ている。

佐々木さんは少し顔を赤くしながら私を睨んでいて、彩ちゃんは羨ましそうに私にもたれている薫さんを見ている。



「まさか、いつきがここまで天然だったとは思わなかったなぁー」


「薫は初すぎるだろう」


「大丈夫よ、いつきちゃん。ただ薫は少し疲れて眠っただけだから」



葵、片岡さんは言い、一ノ瀬さんが微笑みながら私に言ってくれたけど、まだ不安だったから彩ちゃんを見てみる。



「本当に大丈夫ですよ。薫さんは持病とかも持っていませんし」



私が聞きたい事がわかったのか彩ちゃんがそう言ってくれて安心したけど、どうしよう。


薫さんは私の肩に薫さんの頭があり、私が抱き締めるように薫さんの上半身を支えているので、ほとんど身動きが出来ない状態でかろうじて首が少し動く程度だ。


さて、どうしようと考えていたら、いつの間にかお弁当を食べ終わった片岡さんと葵の二人が薫さんをソファに寝かせてくれた。



「あ、ありがとう、ございます?」



なぜかハテナになった。



「どういたしまして。薫はこのまま寝かしておくから静かにしようか」



私は片岡さんの言葉に頷く。


ふと、彩ちゃんの方を見てみたら顔を赤らめて笑っていたので、どうしたのと聞いてみたけど反応がない。彩ちゃんの目の前で手を振っても何も反応がないので、熱でも出たんじゃと思い、今度は彩ちゃんとおでこを合わせようとしたら、彩ちゃんがかわいらしい声をあげて私から離れて行った。



「なっ、何ですか?」


「声をかけても何も反応がないし、顔も赤かったから熱でもあるんじゃないかなと思ったから熱でも計ろうかと……」


「大丈夫です!熱はありませんから!!」


「そう?それならいいけど……」



私はそう言って自分のお茶を飲もうと湯飲みを持ってお茶を飲む。


彩ちゃんがすごい早く離れて行って、なんかすごく地味に傷ついたな、と思っていたら予鈴がなる。



「あら、もう時間みたいね。いつきちゃん、葵ちゃん今日は来てくれてありがとう」


「いえいえ、中々面白いものも見れたので、こちらこそありがとうございました」


「そうか、それはよかった。また今度も遊びに来いよな」



一ノ瀬さんが言うと、葵がニヤニヤとしながら私の方を見て言い、片岡さんがニカッと笑いながら言ってくれた。



「薫さんはまだ眠っていますけど、どうしますか?」


「その辺は気にしないで良いぞ。こっちでどうにかするから」


「……そうですか。なら、すみませんでしたと伝えて貰えませんか?」



私がまだソファで寝ている薫さんを見ながら聞いてみると片岡さんがそう言ってくれたので任せて、ついでに伝言をお願いする。



「どうして薫に謝るの?」


「……疲れさせたのは私の所為かなと思って」


「あぁー、まぁ確かにいつきのおかげで薫は寝てるけど、大半は自業自得だから気にしなくてもいいと思うぞ」



一ノ瀬さんが聞いてきたので、私が申し訳なさそうに言うと、片岡さんが苦笑いをしなが言い、一ノ瀬さんも余り気にしないでと言ってくれたが、やっぱり私の所為でもあるんだなあと思った。



とりあえず、私は分かりましたと答えて、葵と一緒に自分達のの教室に戻る事にした。



※※※


夕飯を食べ終わり、寮の自分の部屋で宿題を片付けていたら、葵が話しかけてきた。



「いつき、本当はどっちともと付き合っているんじゃないの?」

「はい?……何でそんな風に思ったの?二人は友達として付き合ってはいるけど……」


「だってさぁ、普通にあ~ん、とかしてたし」


「それくらい友達でもしているでしょう。それに家族でもよくやるし」


「……まぁ、そうかもしれないけどさぁ。意識しちゃうものでしょうが、好きな人なら尚更だよ」


「そういう、ものなの?」



唐突に葵が変な事を聞いてくるから、私は呆れながら答えると、更に葵はよく分からない事を言うので、私はきょとんとしながら聞くと葵は溜め息を吐く。



「そうそう、そういうものなの」



葵はそう言ってトイレに行った。



はっきり言って私は恋とかそういうものが、よく分からない。


漫画やアニメ、ドラマではよく恋愛物が多くあるから楽しんで見る事もあるけど、それを自分に当てはめる事がどうしても出来ないでいる。


それに、告白された事もどこか別の世界の事のように感じるし、やっぱりよく分からないや。



いろいろと考えていたら宿題が手につかないので、明日にしようか。


明日は学校が休みだし。


明日、兄さんの家にでも行って宿題をやるのも良いかもしれない。

義姉さんにも迷惑をかけたしね。



さてと今日もいろいろと疲れたからお風呂に入ってゆっくりしようかな。



おかしい部分がありましたら教えて下さい。


ありがとうございました。

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