二度目の告白でした
私に告白してきた人達。
生徒会長の神宮寺 薫さんと学校の理事長の娘の姫宮 彩さんが私の目の前に立っている。
相変わらず綺麗な人達だなあと思う。
生徒会長さんは髪の毛が黒く、短く切った髪型で、目付きは少しだけきつく感じるがとても綺麗でかっこいい人だ。
理事長の娘の姫宮さんの髪型は腰まであるストレートの髪型で髪の色は彼女の母親、つまり理事長さんがハーフで理事長さんと同じ、少し赤が入っている色だ。日にあたるとキラキラと光って金色に見えてとても綺麗なんだ。
会長さんと姫宮さんは従姉妹同士でよく一緒にいるのを見かける。
会長さんは雰囲気的に男装の麗人っぽくて、姫宮さんはまさにお姫様っぽいから、二人が一緒にいると騎士とお姫様って感じだ。
その為、二人にはファンクラブがあり、その上、二人で一緒のファンクラブもあるらしい。
それはそれで凄いと思う。
私はいつも二人を遠目で見かけるときがあるけど、その時は眼福だなと思ってた。
その二人がまさに目の前に立っている。
しかも、周囲の視線が昨日よりも私に突き刺さっているように感じる。
周囲の視線のせいか私は逃げ出したいと思ってるけど、また逃げないようにと考えているからその場で固まっている。
話す余裕もないから黙ったままで……。
しかも、会長さんと姫宮さんも何故か固まっていて、誰も話さないので、その間何とも言えない空気になっていたけど、その空気を壊してくれる人がいた。
一緒に私と登校していた寮でも同室の青柳 葵だ。
「すみませんが、通らしてもらいませんか?もうすぐチャイムが鳴りそうなので……」
「あぁ、そうだな。引き止めて悪かった。児山いつきさん、貴女に用事があるので放課後、生徒会室に来てくれ」
「あっ、はい。わかりました。……昨日は逃げたりしてすみませんでした」
「いや、私も一昨日逃げ出したから、おあいこだ。では、また放課後」
会長さんが頬を少し赤く染めながら苦笑して言うと、姫宮さんと一緒に校内の方に向かって行った。
とりあえず、二人が立ち去ると他の人達も校内の方に向かって行き、視線がほとんど私に向かってこないので、ほっとする。
「ありがとう、葵。助かったよ」
「別に大したことないよ。それにしても本当なの?あの二人に告白されたのって」
「あぁ、うん。だけどこの話はまた後にしない?もうすぐホームルームが始まるし」
「それもそうだね」
葵は私の言葉に頷いてくれて、私達も校内に入って行く。
※※※
教室に入ってからもいろいろとあったけど、ついに放課後になった。
会長さんに言われた通りに生徒会室に向かって歩いて行くが、その足取りは重かった。
葵は心配そうに一緒に付いて行こうかと聞いてきてくれたけれど、葵が部活に遅れるのはダメだと思い、断った。私は部活を入ってないからいいけど。
正直、本当は付いてきて欲しかったけど、葵にまた迷惑かけるのは嫌だしね。
気分が重いまま生徒会室の扉の前に立つ。
すんごい緊張して、少し胃が痛くなっているような気がした。
5分くらいの間、私は生徒会室の扉の前にまだ立っている。
踏ん切りがつかないのも理由の一つだけど、何か話し合いをしているのか、中から数人の声がしてくるので、ノックして中に入っても良いのか迷っている。
「扉の前でじっと何をしているんですか?」
「うぇあ!?」
人が横に来ている事にも気づかないくらいに迷っていたのか、私は急に声をかけられて、思わず変な声を出してしまった。
私は声をかけてきた人を見て驚き、また変な声を出さないように口を手で押さえた。
声をかけてきた人は姫宮さんだった。
「どうして中に入らずに扉の前にいるんですか?」
「えっと、中から話し声が聞こえるから会議でもしているのかな、と思いまして」
姫宮さんが可愛らしく首を傾げながら聞いてきたので、私は入れない訳を話すと、姫宮さんはふ~んと呟き、扉に向かいノックをして、失礼します。と言い、私の手を繋いで生徒会室に入って行く。
えぇ!と思いながら、私は姫宮さんと手を繋いでいる為、自然に私も生徒会室に入って行く。
中に入ると何人かが書類らしき紙を持って話し合っていた。
やっぱり会議でもしていたのかな?
私は困惑していると会長さんが時計を見ながら話し出した。
「もう時間か。この件は明日にしようか。……悪いがこの部屋は三人だけにして貰えないか?」
「ええ、良いわよ。じゃあ、お邪魔虫は退散しますか」
「それもそうだな。薫と彩、頑張れよ!」
会長さんの言葉にふふっと笑いながら返す副会長さんと、にかっと笑いながら返す、確か会計の人だったかな。多分、書記の人は無言で片付けをしている。
名前はまだ思い出せなくて本当にごめんなさい。
私は名前を覚えるのが苦手なんです。
会長さんと姫宮さんの名前は一日に聞かない事がないくらいに有名人なので覚えてただけです。それにクラスの子が結構、会長さん達のファンクラブに入っているし……。
そんな事を考えていると副会長さん達の片付けが終わったのか生徒会室を出ていく。
出て行く時に副会長さんは私に微笑みかけてくれて、会計さんは頭を少しだけ強く撫でてくれた。
私はなんで撫でたんだろうな、少しだけ髪の毛がぐしゃぐしゃになったかも、と思ってたら、書記の人に思いっきり睨まれ、そのまま三人は生徒会室から出て行った。
私は睨まれた事にビクッとして、困惑した。
「児山さん。ここに呼び出してすまなかった。……彩、何時まで手を繋いでいるんだ?」
「あっ、ごめんなさい」
私は会長さんの言葉で姫宮さんと手を繋いでいた事を思い出し、私は謝りながら手を離す。
姫宮さんは手を離して寂しそうにしていたが、会長さんは少し、むっとしていた。
私はどうしたんだろうと思っていたら、姫宮さんが話し出した。
「いつきさん。わたし、あなたの事が好きです。恋人にしてください」
急に姫宮さんが告白してきて、びっくりしていると、今度は会長さんが言う。
「私も君の事が好きです。付き合って下さい」