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懐かしい親友に悩み事を話しました

クリスマス。それは家族や恋人達が一緒に楽しく過ごす日らしい。


私はどちらかと言うと、大掃除の息抜きだと感じるのだが、多分それは私だけだろう。



この時期になるとイルミネーションが沢山飾ってあって、見ていて楽しいのだけど、とても大変だと思う。だってクリスマスが終われば、すぐにお正月の準備だからね。



そしてクリスマスの今日、私は実家の大掃除をやります。


何しろ両親は旅行で年が明けてからこっちに帰って来るらしい。何かアメリカかどっかでカウントダウンするんだって。今日はカナダでまったりするんだとか。


兄さんも今日は帰って来れないらしい。仕事だから仕方がないけど。

義姉さんは自分の実家に顔を出してから、こっちを手伝ってくれるそうだ。


ほんとに兄さんは良いお嫁さんを貰ったよね。




拭き掃除も終わり、私は一息吐いた。



「なんか何時もより簡単で、楽だったなあ」



誰も住んでいなかったからか、部屋にはほとんど埃しかなくて、適当に掃除機をかけた後に拭き掃除するだけだった。


後は外に干してある布団を取り込んで……あ、食器はどうしようか、やっぱり洗った方が良いよねぇ。



そんな事を考えていたらお腹が空いてきた。


今の時間は丁度お昼時なのでご飯を食べに行く事にする。



何を食べようかな、と思いながら玄関の扉を開けると目の前には懐かしい顔がそこにあった。



「うわっ! びっくりした。いつき、久しぶりだねぇ」


「こっちもびっくりしたよ。真依」



私の家の扉の前にいたのは中学の時の親友の朝倉真依だった。時々メールをしたりするけど、会うのは久しぶりだ。



「真依はどうしたのさ? 私の家の前で」


「ちょっと通りかかったら家に誰かがいるっぽいみたいだったから、いつきかなって思って」


「そうなんだ。私はこれからご飯を食べに行くんだけど、真依は?」


「へぇ、丁度良いや。うちもご飯を食べに行く予定だったんだ」


「そうなんだ、久しぶりに一緒にご飯を食べれるね」



真依は私の言葉に嬉しそうに頷くと、私の手を繋ぎながら歩き出そうとしていたけど、少し待って貰い、私は家の鍵をかけると、もう一度真依は私と手を繋いで歩き始めた。




※※※

新しくできたファミリーレストランでお昼ご飯を食べ終えても、私達はまだレストランで駄弁っている。



「えっ!? 彼氏できたの!!?」



驚きすぎて大きな声で言ってしまい、私は慌てて周りを見渡しても、周りも騒がしくて特に気にした様子でもなかったのでほっとした後にまた真依に聞く。



「いつの間にできたのさ?」


「文化祭の時に告白されて、その数日後にOK出した」



それを聞いた私ははぁー、と感心していて、そういえば最近はこっちにメールきてなかったのは彼氏の方とやっていたからか、と納得していた。


最近は私もいろいろと忙しかったからメールできなかったけど……。



「でも、良いの? 今日は一応、クリスマスなのに……」


「うん。彼氏はバイトがあるみたいだし、それに夜は会いにきてくれるって言ってくれたし」



そう言って照れたように笑う真依は幸せそうで、それを見た私も嬉しく感じていた。



「そっかぁ、なら良かった。……そう言えば美由ちゃんも知ってるの? 真依が彼氏がいること」


「ん? 知ってるけど、なんで?」


「それを言う時、真依は大変だったんじゃない? 美由ちゃんはシスコンみたいだったし」



ジュースを飲もうとしたのかストローをくわえながら真依は呆れたように私を見る。


私はなんで真依がそんな表情をするのかわからなくて、真依に聞くけど、何でもないように話し出す。



「美由は素っ気なかったわよ。今は受験勉強で忙しいみたいだし」


「そっか、それもそうだね、受験生だし。美由ちゃんはどこに行くか決めてるの?」


「いつきと同じ所に行くんだって」


「そうなんだ。美由ちゃんはまた私の後輩になるんだ。楽しみだなあ」


私は親友の妹がまた後輩になるのを想像して、うきうきする。でも、真依に彼氏が出来たのに素っ気なかったらしいけど、何でだろうと思う。


よく真依と美由ちゃんで遊ぶ時に、真依がふざけて抱きついてきたり、ほっぺにキスしてきたりした時には美由ちゃんは真依に軽々しくするなって怒っていたのに……。



「はぁ。相変わらずみたいだね、いつきは」


「どういう事?」



私は首を傾げながら聞くと、真依はもう一度溜め息を吐いて、にんまりと笑った後に「何でもない」と言った。


ズーッと音をたてながらジュースを飲み、また新しい飲み物を持ってきた真依は私に話しかける。



「いつきは恋人とかできたの?」


「できてないよ」



何でそんな話しになったのか分からなかったけど、私はすぐに返事をする。


真依はやっぱり、と言うように頷く。


そんな真依を見て私は少しむっとしたけど、彼氏のいる真依に悩みを聞いて貰う事にする。丁度恋の話しだし。



「ねぇ、真依。どうして今の人と付き合う事にしたの?」


「珍しいね。いつきからこういう話しをするの」



私は苦笑して「まあね」と言うと、真依は少し悩んだように話し出す。



「高校に入ってからの男友達だったんだ。別に告白された前は意識とか特にしていなかったんだけど、された後は意識しまくりで、いつの間にかわたしもその子が好きになっていて、それで付き合う事になったの」


「やっぱり、キスとかした?」


「……まだしてない」



顔を赤くしながら、もじもじ言う真依の恥じらう姿を見て、何故だかこっちまで恥ずかしくなってくる。



「今時の子は早いらしいけど、真依達は違うんだ。……私にはよくしてきたのにね。ほっぺにだけど」


「そりゃそうだよ。いつきは友達だし、ただのスキンシップだもん」



頬を少し染めながら口をへの字にして、不満そうに言う真依を見て、私は少し笑う。


少し笑った私に拗ねながらも真依は私に聞く。



「で、無意識にも恋ばなを避けていたいつきは、何を聞きたいの?」


「……気づいてたんだ」


「そりゃあね、他の子からの恋の話しが出てくるといつも逃げていくし、言葉を濁すしさ。それにうちと話していてもその手の話題にならないし」



真依は真面目な顔で言い、私を見て、私は苦笑しながら話し出す。



「私ね、告白されて、どうしたらいいのか分からなくなっちゃってね。友達から始めたんだけど、どうやってその人達と付き合えばいいのか分からなくなって、一応兄さんや義姉さんにも相談もしたりとかして、今は普通に友達として付き合ってはいるんだ。遊びに行ったりとかしたよ。でも恋って何なのかよく分からないし、怖い」



私はずっと溜め込んでいた物を言葉にしていたけど、ちゃんと真依に伝わっているか分からなかった。だって自分でも何を言っているのか分からなかったし。



「つまり、いつきは恋をしたいけど、恋が怖いです。て事?」


「……たぶん」



なるほど、と呟く真依に少し驚く。私でも何を言っているのか分からなかったのによく私の言いたい事が分かったね。



「それはいつきとは六年くらいの長い付き合いだしね」



思っていた事が顔に出ていたのかそう言ってきて、私は思い出すように言う。



「……そうだね。こっちに引っ越してからだからそれくらいか」



小学校は違ったけど、公園で出会って、それからその公園で真依と美由ちゃんと一緒に遊ぶようになって、中学校は同じだと分かるととても嬉しかったっけ。今はその公園はコンビニになってるけど……。



「どうして、恋愛恐怖症になったのかは分かってるの?」



真依達と遊んでいた時を思い出していると、真依の声で現実に戻ってきて、私は少し考えた後に真依の言葉に頷いて苦笑しながら言う。



「小学校の時と中学校の時だと思う」


「中学の時はまだ分かるかな? あの時でしょ、確か二股かけられた女の子がカッターを持って二股野郎に襲った事件。本当は二股じゃなくて五股だったらしいけど」

「そうだったんだ。……小学校の時はね、私の友達が先生に襲われたんだ」


「えっ?」


「未遂だったけどね。先生は私の友達が本当に好きだったらしい。で、友達もその先生が好きだったんだけど、それからその子は男性恐怖症になちゃった」



真依は私の話しを聞いて絶句しているけど、私はそれを見てまた苦笑する。



「中学の事件の女の子は部活の時の先輩で優しくて穏やかそうな先輩だったんだ。小学校はこっちに来る前の学校で、その友達は活発で人見知りしない子で私ともよく遊んでたんだ。先生も優しくていい人だったんだ」



真依は悲しげな表情になっていたけど、私は話しの続きを言う。



「私は漫画やアニメやゲームとか、いろいろな恋愛の物語を見たりして知ってるから、恋は良いものでもある事は知っている。だけど、私は怖い……」


「何で?」


「たぶん、変わってしまうのが怖いんだと思う。小学校の時も中学校の時も、みんな変わっちゃってる。……人が変わるのは恋愛だけじゃないのは知っているけど、怖いんだ」



私は話し終えると大きく溜め息を吐いた。


私に恋をさせてみろって葵に言った後、いろいろなアプローチを仕掛けて来て、それに便乗するように彩ちゃんもいろいろとしてくる。薫さんは奥手なのか大胆な事はしないから、まだ心臓に優しいけど……。


いや、私を好きでいてくれるのは嬉しいけど、心臓が休まらないと言いますか…………三人共、美人で可愛すぎるから困る!!!


……何か考え事がずれているような気がするけど、とりあえず悩みを話したら少しすっきりした。



「ふぅ、ありがとう真依。話したらすっきりしたよ」


「……なら、よかった」



真依はまだ少し心配そうだったけど、私が笑っているのを見て、ほっとしたみたいだった。


自分のドリンクがなくなったので、取りに行って戻ると、真依は何故かにやにやしている。



「いつきは相変わらずモテモテなんだねぇ」

「モテモテって……それに相変わらずってなんでさ?」


「やっぱり気づいてなかったんだ。覚えてる? 廊下で男子に「付き合って下さい!」て言われてたじゃん」


「……あぁ、あったね。確かに買い物に付き合おうとしたけど、何故だかその子がやっぱりいいやって断ったんだよねぇ」


「……それ、愛の告白だったんだけど。あっさりと言うね、いつき」


「うぇ!!?」


「いつきの話しから聞くと二人以上に告白されたみたいだし……ほんとにモテモテだね」



私はあの時の事実を聞き、驚きで変な声がでた。


あぁ、だからあの人は顔が赤かったんだ。更に「どこに付き合えばいい?」と聞いた時の廊下の空気が微妙になったのは気のせいじゃなかったんだ……。



「何で私なんだろう? 自他共に認める地味なのに」


「まぁ、確かにいつきはどこにでもいるような容姿だけど、惹かれるものがあるんじゃない? いつきには」



そう言って穏やかに微笑んだ真依を見て、やっぱり恋は人を変えるんだな、と思った。


だって、真依がそんな風に笑うのは初めて見たし、雰囲気も少し柔らかくなっている。あんなに活発だったのにね。



「それにしても、いつきは少し成長したんだね」


「どこがさ? 全然変わってないと思うけど」


「かしわ兄さん以外の人に相談なんてしなかったし、表情も前以上に分かりやすくなった」


「いや、兄さんにも一応、相談はしたよ? でも今回のは忙しそうだったから話していないだけで、偶然に出会った真依に話しただけだし。表情はこの際置いとくけど」


「確かにそうだけど、自分の事は絶対にかしわ兄さん以外に相談しなかったじゃんいつきは」



そうだったかな? と思いながら昔の記憶をたどるけど、やっぱりそんな事はないと思うんだけどなぁ。



「まぁそれはそうと、いつきのその悩みは原因も分かっていて、それはいつき自身の問題だよね。だったらわたしは何も出来ないと思うし、何もしない。……だけどいつきが辛かったら話しを聞いてあげる事は出来る」



真依はそう言って優しく微笑みながら話しを続ける。



「それに恋なんてものはいつの間にか落ちているものだ。とか言うし……うちも実際そうだったしね」



そう真依は言い終わると、にんまりと笑い「まぁ、楽しんどけ。悩むのも恋でしょ?」と他人事の様に言った。


いや、他人事だろうけどさぁ。と思いながら私は溜め息を吐いた。



それからもいろいろと喋って、真依にどんな人に告白されたのか聞かれ、正直に女性だと言ったら、少しだけ驚かれただけで女同士での恋愛の偏見はないみたいだった。その事を言ったら、真依の妹の美由ちゃんもどうやら女の子を好きになっているらしい。


私にとっても美由ちゃんは妹みたいに可愛いいと思っていたから少々驚いたけど、ちゃんと幸せになってくれるなら嬉しいと思う。そんな事を真依に話したら困った様に笑い、遠い目をしながら頷いていた。




そろそろ日も落ちてきて、真依と別れる事になり、数時間いたファミレスを出た。



「じゃあね、いつき。またいつきの家に行くかも知れないけどその時は美由も連れていくわ」


「うん、分かった。楽しみにしているね。今日はありがとう、相談に乗ってくれて」


「別にどうって事ないよ。今度はうちが相談、というか愚痴を聞いて貰うからその時はよろしくー!」



私は笑顔で頷いて真依と別れた。



あっ、布団、干したまんまだ。


家に帰る途中、その事を思い出した私は慌てて走って家に帰った。



次回もクリスマスの予定で、美由ちゃんが登場します。


何だか無駄にキャラが多いですけど、今のところ考えていた主要キャラは次回で揃います。


……長かった。



何かおかしい部分がありましたら教えて下さい。

ありがとうございました。




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