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相談をしました

兄さんの家に着いたのでインターホンを鳴らすと義姉さんが出てきた。



「いらっしゃい。いつきちゃん」


「お邪魔します」



ぽわん、とした笑顔にお出迎えされて私は癒された。



私が家の中に入ると義姉さんが困った様子だったので聞いてみると、兄さんは急に仕事の用事ができたので遅くなるそうだ。


何時ぐらいに兄さんは帰ってくるのか聞いてみると、夜の八時くらいで、その時間になると寮の門限に間に合わない。


仕方なく薫さんの事を聞くのはまた今度にする。


でも、新たにできた悩みはどうしようか。



「また悩みでもできたの?いつきちゃん」


「えっと、そんなに分かりやすい?」

「うん。とっても。それに何かある事にかしわ君に相談してるしね」


「いや、まぁ。そうだけど……」


「わたしに相談は出来ないかな?」



義姉さんは可愛らしく首をことんと傾げて聞いてきたので、言おうかどうか迷う。


何しろ同性同士の恋愛と言う若干マイノリティな相談だ。


……いや、そいやぁ義姉さんは兄さんのお嫁さん。つまり、兄さんの趣味も知っているのだから大丈夫か。


そう考え、私は義姉さんに今日あった事を話す。ついでに今まであった事も。



「つまり、いつきちゃんは女の子にモテモテで困っているんだね」


「…………」


簡単に言えばそう、なの、かな……?



義姉さんはうんうんと頷き、納得をしている。



「で、いつきちゃんはその子達とどうなりたいの?」


「どうって、恋愛とかそんなのよく分からないから困っているんだよ」


「じゃあ、恋愛抜きにしてどうなりたいの?」


「……それは、友達何だから仲良くしていけたらなあって思うけど」


「じゃあ、それでいいんじゃないかな?」



義姉さんはあっけなくそう言い、



「まだ答えが分からないのなら、それでいいとわたしは思うな。ちゃんと悩んで考えて、やっと見つけた答えがきっと良いと思う」


「うん、ありがとう、芹さん。よく考えて見るよ。……でもやっぱり、その事は伝えといた方が良いよね」


「ふふっ、久しぶりに名前で呼んでくれたね。……まぁ、そこはいつきちゃんが決めないとね」


「うん、わかった。……そう言えばそうだね。兄さんと結婚してからは義姉さんって呼んでたから。……名前で呼んだ方が良い?」


「んー、どっちでもいかな。呼びやすい方で良いよ」


「了解」



私がそう言うと、その後は義姉さんの愚痴と言うなの惚気を聞かされた。

新婚だから仕方がないけど。



「あっ、そう言えば今日はご飯を食べていくの?」


暫くの間話していると、義姉さんは時計を見ながら聞いてきて、時計はもうそろそろ夕飯の時間に近かった。



「今日はいいや。寮母さんにも言ってないし」


「そっかぁ。でもかしわ君、明日から出張で土曜日までいないよ」


「えっ、そうなの?」



兄さんが明日から出張なのは初耳だったので驚いた。


でもどうしようか。

兄さんに薫さんの事を早めに聞きたかったけど、それは土曜日までお預けだ。


流石にこれは義姉さんには無理そうだし……。



「ねぇ、義姉さん。金曜の夜にお泊まりしても良いかな?兄さんに聞きたい事もあるし」


「良いよ。……でも、その日は響も来るけど良いかな?」

「別に良いけど、響さんもなんだ。何か久しぶりかも」


「そう言えばそうね。二ヶ月半ぶりかも。いつきちゃんと響が一緒になるのは」



確かに、と私は頷く。



響さんは義姉さんの親友で義姉さんの家。つまり、私の兄さんの家によく泊まりに来ている人だ。


大体金曜日の夜や土日に来る人で、義姉さんと兄さんはひびきと呼んでいる。


本当は違う名前らしいけど、私も響さんと呼んでいる。

本人がこっちで呼んで欲しいと言っていたので。



まぁ、土日に兄さんの家に私はほとんどいかなかったから響さんには会わなかったのは当たり前だろう。


漫画や本とかは平日に借りたり返したりしていたからね。



響さんの人柄は一言で言うと、ぐうたらだ。


いっつもごろごろしているような気がする。



とりあえず、義姉さんに泊まる事を伝えて、私は寮に戻る事にした。


今日の夕飯は何だろうと思いながら……。




※※※

寮に戻ってきて、自分の部屋に入ると、シャワーを浴び終わって水を飲んでいるバスタオル一枚の葵がいた。



「ただいま。葵はもうご飯を食べたの?」


「おっお帰り、いつき。あたしはこれから行こうかと思っていたところ」



何故だか葵は少しどもっていて、何だか恥ずかしそうだった。



「じゃあ、一緒に行こう」


「うん、ちょっと待っててね」



そう葵は言うと洗面所に向かって行く。


私はまだ制服だったので着替えようと制服を脱ぐと、ついさっき洗面所に行った葵が裸で部屋に入ってきて、葵は下着姿の私と目が合うと固まって、顔を少し赤くしていた。



「どうかした?」


「いや、着替えを忘れて……」



私はそっか、と呟くと着替えをタンスから出してTシャツとズボンを出してそれを着ていく。

そして最後にトレーナーを着て、葵の方を見るとまだ裸だった。



「葵。早く着替えないと風邪引くよ」


「えっ、あ、そうだね」



葵は慌てて着替え始め、私は葵が着替えている間、葵の方をぼーっと眺めていた。



葵の身体は剣道をやっているおかげか、良い感じに筋肉が引き締まっていて、少し羨ましく思う。

しかも肌も綺麗だし、胸は私よりも少しばかり大きい。


良い身体してるなあ、とオヤジみたいな事を考えていると、漸く下着を着けた葵が照れたように顔を紅潮させながら言う。



「あのさ、いつき。ちょっと見られていると恥ずかしいんだけど……」



私はえっ、と思わず呟いき、何で?と首を傾げる。


いつも着替えを眺めていても何も言われなかったし、一緒に大浴場に入ったりもしていて、今更恥ずかしがるような仲じゃないと思ったからだ。

でも本人が嫌だと言っているのだから、と私は後ろを向く。


何で今までと違う反応なのかな?と思って漸く気づいた。


今日、葵に告白されたじゃないか、と。

でも、恋愛で好きになると、いつものような事でも恥ずかしくなるものなのかな?




「もう良いよ、いつき。じゃあご飯を食べに行こうか!」



私がまだ疑問に思っていると、葵が着替えを終えたのか、いつものような元気な声でそう言って、私が振り向くと、まだ少し顔が赤く染まっている葵がいる。


葵はいつも部屋着はジャージだけど、今日は珍しく可愛らしい服でミニスカートだから私は驚く。



「……やっぱり、おかしいかな?」


「いや。かわいいと思うけど」


「そっか。……じゃあ、行こう。確か今日の夕飯はさんまだって」




葵は少し落ち込んだ様子だったけど、私が可愛いと伝えれば、顔を綻ばせて嬉しそうにすると、今日の献立を言う。


……何だか今日の葵はものすごく可愛い。何かふとした表情とかにドキッとする。



「ねぇ葵。今日、私に告白したよね?」


「えっ。う、うん。したけど……」



葵は急な話題で戸惑っていたけれど、義姉さんに相談をして、葵に伝えなくちゃいけない事を私は葵に話す。



「私、前にも言ったけど、恋愛感情の好きとかがよく分からないんだ」


「うん、あたしが告白した時も、彩や会長に告白されてた時も言ってたし」


「三人から好きだって言われて、戸惑ったけど、嬉しかったんだ。だって好かれて嫌な気持ちに何てならないでしょ?」


「まぁ、そうかもね」


「うん、だから逃げない事にする」



葵は私のいきなりの言葉にびっくりしているけれど、私はそれに構わずに葵の目を見ながら続ける。



「葵、私に恋愛を教えて下さい」


「へっ?どう言う、事?」


「えーと、上手く伝えられないけど、うんと、とにかく、私が恋愛について分かるまで待っていて下さいって言う事で……」



しどろもどろな私の言葉に葵は呆気に取られた後、不機嫌そうな様子になったので、私はやっぱりダメなのかな?と思った。



「あのね、いつき。あたしは言ったよね?絶っ対にあたしを選んで貰うって」


「は、はい」


「つまり、いつきにあたしの事を好きにさせるって言う意味。そうなったらいつきは恋愛を分かった事になるの!だからそれは当たり前!!」


「はっはい、そうですね」



何故か私は敬語で頷くと、葵は私に背中を向けて歩き出した。



「いつき。早く行かないと夕飯なくなるよー」



私は呆然と立っていると、葵はドアごしで言ってきたので、慌てて私も部屋を出る。


……うん、とりあえず夕飯を食べようか。




後日、薫さんや彩ちゃんにも伝えました。


そしたら、薫さんは「分かった。頑張っていつきに教える」と赤く染まりながらも真剣な顔で言われ、彩ちゃんはにこにこと嬉しそうに「わかりました」と一言だけ私に告げた。



少しだけ何か間違えたかな?と思ったけど、「もうなるようにしかならないよ」と脳内の義姉さんが言い、それに兄さんは頷いていた。



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