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番外編。妙にリアルな夢

朝、寒さで意識がハッキリではないものの覚めてしまい、携帯の時計を見ると、いつも起きる時間にはまだ早い時刻だった。


私はまだ寝れるとうれしく思い、寝返りを打ち、目を瞑りながら暖かいお布団の中で少し動くと、温かくて柔らかい何かを発見する。


私は抱き枕だと思い、抱きつくと、とても肌触りも良くて、思った通りちょうどいい柔らかさで抱き心地が良かった。


少しだけぎゅっと抱き締めると、耳元らへんから「う~ん」と言う声が聞こえてきて、何だろうと思いながら薄く目を開けると、私の意識はハッキリと覚醒した。


何故なら、抱き枕だと思っていたのが薫さんだったからだ。


……しかも、裸で。


な、何で薫さんが私の部屋にいるのさ!?


確か、薫さんは寮じゃなくて実家から学校に通ってなかったっけ!?


しかもなんか私も裸だし!!?




「おはようございます。いつきさん」


「おはよう」



私は頭の中がパニックになっていると声が聞こえてきて、声の方を見てみるとそこには彩ちゃんがいて、反射的に私は挨拶を返していた。



「もう朝御飯が出来ているので早く行きませんか?」


「……あ、うん」


「先に行くので早く来て下さいね」



漸く私は少しだけ落ち着いたのか、ここが寮の部屋ではない事に気付き、思い出して来た。


そう。私は高校を卒業して、大学生になったのだ。そして、私は何故だか一戸建ての家で薫さんや彩ちゃん、他の人達と一緒に住んでいる。


と言うかいつの間にか住む事になっていた。


私は大学の寮に入ろうとしたけど、何故だか知らないうちに彩ちゃんの親が買った家に住んでいる。


ついでに言うと、ちゃんとみんなで家賃を払っているから別にヒモって言う訳ではない。



とりあえず私はベッドから降りて、服を着てから薫さんを起こした。


起きた薫さんは少し頬を赤くしながら服を着てるのを、私は恥ずかしいやら照れ臭い様な、微妙な感じでチラチラと見ながら薫さんに声をかける。



「薫さん。私、先に行くね」


「ちょっと待って。少しこっちに来てくれないか?」



薫さんはシャツを着て恥ずかしげに言い、私が近くに行くと、薫さんの顔が近づいて来て、私のほっぺたに何か柔らかいものが触れたかと思うとすぐに離れた。



「……お、おはようのキ、キス」



薫さんは顔を俯かせて耳まで真っ赤にし、とても恥ずかしそうに小さく言った。


私はそれを見て、とっても可愛いと思うと同時に初々しいなあ、と少し笑ってしまう。


薫さんとは口とのキスやそれ以上よりもっと恥ずかしい事もしたはずなのに、未だに頬にキスをするのにも薫さんはこんなに恥ずかしがる。


本当に可愛い。普段はキリッとして何でも任せれるような風なのに。……これがギャップ萌えだね。



私は俯いている薫さんの顔に背伸びをしながら近づき、薫さんの口と私のそれを合わせる。


私は目を閉じていたけど、薫さんは驚いているように感じた。


暫くしてから離れ、薫さんの耳元で、



「おはよう、薫」



と、言うと、薫さんはさっきよりも顔を赤くし、頭から湯気が出そうで、その上うるうると涙目で泣きそうなのに恥ずかしいけど、嬉しそうな顔で私を見てきた。


しかも私よりも背が高いのに上目遣いという高度な技を薫さんはしてきて、私は薫さんの可愛さで死ねるかも知れないと本気で思いながら、思わず薫さんを抱き締める。



「じゃあ、先に行ってるね」


私はそう言って、少し名残惜しかったけど、薫さんはまだ着替えの途中なのを思い出して離れ、部屋を出て行く。



私は朝っぱらからいいものを見たなあ、て思いながら機嫌よく洗面所に向かうと、そこには顔をタオルで拭いている葵がいた。



「葵、おはよう」


「あ、おはよう。いつき。今から顔を洗うんだ」



私は「そうだよ」と返しながら水を出して顔を洗う。


顔を洗い終わって蛇口を締めると、葵がほいっと言いながらタオルを渡してくれて、私はありがとう、と言いながら受け取り、拭く。


拭き終わり、タオルから顔を上げると、間近に葵がいて、びっくりする暇もなく葵にキスをされた。



「改めて、おはよう。いつき」


「……おはよう」


「ん、んっ!?」



葵は少し勝ち誇ったように笑いながら挨拶をしてきたから、私は何故だか悔しくなり、挨拶を返した後、葵に深い方のキスをした。



暫くして顔を少し離すと、葵は蕩けたような顔をして、ぼーっと私の方を見ていたので、私がぺろりと葵の唇を嘗めるとビクッとして、力が抜けたのかへたり込んだ。



「だ、大丈夫?」


「……だい、じょうぶ、じゃ、ないかも」



葵は息を切らせながら言うので、少しやり過ぎたかな?と思った。



「立てる?」


「無理。……おんぶして」


「わかった」



私が激しくしたせいだから、葵の言うとおりに背負いながらリビングに行く。



それにしても葵、軽いな、沢山ご飯を食べている筈なのに……。ちょっと羨ましく思った。



※※※

リビングに入る前に葵は「もう大丈夫だから」と私の背中から下りてリビングに入ると、そこには薫さん以外の住人がそろっていた。


テーブルを見ると、とても美味しそうな朝食があり、テンションが上がる。



「今日は洋風なんだね」


「えぇ、そうですよ。それとも和風が良かったですか?」



私は椅子に座り、思わず呟いたら、彩ちゃんが少し不安そうに聞いてきたので、首を横に振って言う。



「ううん。洋風がよかったから気にしなくてもいいよ。今日は彩ちゃんが作ったんだね」


「はい。今日はわたしの当番でしたから」



この家のご飯を作る人は私以外の人の当番制になっている。一部例外がいるけど。


一応、初めらへんに私も作ってみたけど、ほとんどの人にダメ出しを出され、キッチンに立つときは洗い物をする時にしか無理になった。……何がいけなかったのか未だに分からない。




「もう、みんな揃ってるんだ」


「そうですよ。薫先輩、早く食べましょうよ」



薫さんが支度が終わったのかリビングに入ってきて、空が薫さんに急かし、薫さんは頷きながら席に座り、みんなで手を合わせると、



「いただきます!」



と、みんなで言った。



うん、やっぱり美味しいなと思いながら今までの事を振り返る。



結局、私は決められなかった。


みんなには悪いとは思っているけど、誰か一人だけ選ぶのは無理だった。優柔不断で、とても情けなく思うけど、でも、みんなはこんな私を受け入れてくれて、私は世界一の幸福者だ。



「いつきさん、今日は誰と一緒に夜を共にしますか?」


「っ!!?」



幸せに浸っていたら彩ちゃんがものすごい発言をして、私は驚いた。……よかった。口の中の物を飲み込んでからで。下手したら飛んでたよ。



「そうだね、いつき。今日は誰にするのさ?昨日は会長だったんだから……。それとも一緒に寝る人はこれから当番制にする?」


「……それ、朝に聞く事?」


「今聞いた方がいつきの負担が減ると思ってさ」



……私は何も言えなかったので、そのままご飯を食べる作業に戻る。



みんなは食事が終わるまでその話をしていて、結局、今まで通りになった。……今まで通りってどんなのかって?想像にお任せします。




色々とみんなで意見を言い合っていた時に薫さんはあんまり話し合いに参加していなかったな。と思い、薫さんを見てみると、目が合い、顔を赤くしながら少し困った様になり、その後微笑みながら口を動かしていた。



「今日も待ってる」


声には出していなかったけど、そう言っているのがわかった瞬間、顔を赤くなったのを気付かれないように俯かせた。



「あ、もうこんな時間か。今日は早めに行かなきゃいけなかったんだっけ。……じゃあ、あたしは先に行くわ」



葵がそう言うと他のみんなもそれぞれ行動し始める。



「後片付けは私がやるよ。今日は午後からだから」


「わたしも二限目からなので少しだけ手伝いますね」



私は彩ちゃんの言葉にありがとう、と返して一緒にみんなを見送った後、片付け始める。




片付けも終わると、彩ちゃんがふふふ、と可愛らしく笑うので私は「どうしたの?」と聞くと、「何でもありません」、と悪戯を思い付いたように笑みを浮かべ、私はドキッと心臓がはねた。



「いつきさん、今日の夜の事ですけど」



そう言いながら彩ちゃんが私の顔に近づいてきて、何か甘いようないい香りがするな、と思うと同時に耳元で、甘く囁いてくる。



「今日、薫さんと一緒にわたしも愛して下さいね」



その言葉の後、私の口に彩ちゃんの唇が触れ、少し舐められた感触がした後、



「ジャムが少しだけ付いていましたよ」



と目を少し細めて、妖艶に微笑みながら言った。



彩ちゃんは私が顔を真っ赤に染まり固まっているのを見ると、「それでは、わたしも行きますね」と言い、その場を離れた。



私は心臓の動悸がすごい事になっているのをどうにかしようと思ったが無理で、とりあえず、しゃがんで体育座りの様にし、膝に額を付け、丸まっていると、玄関から彩ちゃんが出ていく音を聞いて思った。


彩ちゃんが一番ずるい、と。



※※※

誰かが私を呼んでいる声がしてきて意識がだんだんはっきりしてきた様な気がする。


すると突然、耳元で大きな音がして、思わず起き上がった。



「やっと起きたか、いつき」



声の方を見ると、兄さんがフライパンとお玉を持っているのを見て、先程の大きな音はそれか、と分かる。



「何ゆえフライパンとお玉?」


「一回やってみたかったからな。まぁ、それよりも早めに準備しろ。今日が入学式だろう」


兄さんはそう言うとさっさと私がいた部屋から出ていった。



それをまだはっきりしない頭で見ていると、先程の夢を思い出そうとして……無理だった。確か妙にリアルだった事は覚えてるけど、それだけだった。



「いつきちゃん、まだかな?」



夢の中の出来事を思い出そうとしていたら、義姉さんがドアから顔を覗かせていた。



「あれ?まだ着替えてないの?」


「あ、今から速攻で着替えますから先に行ってて下さい」


「ん、わかった」



私は義姉さんがドアを閉めるのを見た後、布団からでて、さっさと着替えた。



もう私は先程見た夢の事は忘れ、これから通う事になる学校で上手く出来るか、とても不安になるのだった。





何か考えていたのと違うけど、せっかく書いたので投稿しました。


おかしい部分などがありましたら教えて下さい。


ありがとうございました。



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