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第二話 決意・そして悟り

「なあ佐藤、おまえは……耐えられるか?」

 唐突に聞いてみる。佐藤にはきっと、何のことかはわかっているはずだから。

「そんなことは、やってみないとわからない……まあ、やってみたくて引き受けたんです。だから、悔いとかそういう空っぽなものだけ残したくない。せめて、何かできることをしたい……」

 きっと、それが佐藤の本音だったのだろう。副会長の件についても、あまり立候補する後輩はいなかったので、佐藤が立候補して良かったと内心達也はほっとしていた。

「諦めるものは、たくさんあったよな……」


 なんだかとても穏やかになっている。そういう時ではないけれど、とても、全てを直視できるような気分でもなかった。それは、誰もかれも同じだろう。

「そりゃあ、そうですよ。反対だって好意だって、全てを裏切らなければいけない時はきっといつかくる……僕と先輩はただそれを、待っているだけなんですから。後悔とか絶望とか、全て捨てなければいけない」

 正論。

 でも、だからこそ達也は悔しかった。そんなに、自分は覚悟を決めていなかった事に気づいたからだ。

 だから、いつまでも自分は一歩を踏み出せず、ここでしかたなく日々を過ごして、思い出に浸って――……それは、果たして正しいことなのか? 由香を、助ける事につながるのか。乙葉との約束を果たす事につながるのか、そして……


 海藤成実に、再び巡り会えるのか。


 わからない。だからこそ、やってみたい。佐藤が悟った全てが、達也をこれまで以上に追い詰めていた。自分は、こんなに無力だったのかと。

 自信なんていらないかもしれない。そんなもの、人にはもともといらないものだったのかもしれない。少なくとも、今の自分には……いらない。


 達也は、そうして全てを悟った。


 後には引かない。

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