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第一話 過去・そして今

こんにちは。『うやむや』ここまで読んで頂いてありがとうございます。これからも末永く続けていきたいです。では。

 不意に肩をたたかれて、達也はびくりとして後ろを向く。

「会長。僕ですってば」

 まさかそこまで驚くとは予測していなかったと言うように、新しく副会長に任命された佐藤伸彦がくすくす笑っていた。

「佐藤……ああ、すまん」

 今日付けで、もう乙葉の名前は生徒会と生徒名簿から消え、そして達也が生徒会長になり、佐藤が副会長になるのだった。それに関してはいろいろと教師の間で論議されたらしいが、結局そういうことで落ち着いたのだった。

「会長、まだ新藤先輩のこと気にしてるんですか?」

 図星ではあったけれど、今は何もいえない。本当の事など、言った所で終わらない。

「……まあ、それよりおまえも彼女の一人くらいいないのか? もう5時過ぎだぞ?」

「そういえばそうですね……彼女なんて、いませんしいりません。生徒会に入るってだけで結構大変だし。それに、それは僕も彼女もきっと疲れちゃいますし」

 佐藤の言葉は、達也の記憶の一部分を蘇らせた。

 新藤乙葉。前生徒会長で、達也と由香の親友だった男……そして、海藤成実という一人の後輩によって、悲劇の死を遂げた。乙葉にも、そういえば彼女がいた。今どうしているのだろうか?

 きっと、あのまま乙葉が生きていたとしても、あまり楽しい日々が続くとは限らなかったろう。生徒会は、いろいろと仕事が多い上に、仮に彼女だとしても、一緒に帰ろうと思ったら、相当待たなければいけない。先生達の手前もある。

「あいつ、すごいよな……」

 思わず呟く。佐藤は不思議そうに首を傾げて達也を見ていた。

「そういえば会長、進藤先輩、まだ帰ってこないんですか?」

 由香の失踪は、一応実家への帰省としてある。先生達も、普段の行いがあまり良いとはいえない由香がそういう休み方をしても何の疑問も持たなかったようだった。

「ああ、まだなんじゃねえの」


 もう外は暗闇に包まれていた。

 

 達也の瞳には、全てが蘇り、そして焼きついている。

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