第十二話 忠告・そして実情
誰もいない生徒会室。
当たり前だ。自分が犠牲にしたことがそのまま返ってきているだけだから……
乙葉も佐藤も由香も、確かに自分が一瞬の隙を見せたからこそ持っていかれた。幸せとかそういう感情さえ、何もかもが消え失せるあの瞬間。
自分が責任を感じたとか、そういう安っぽい言葉では終わらせたくないものだった。だから今まで何を言われようと耐えられたのだ。だけど、もうそれが自分の中で儚く燃え尽きていた。これ以上どうしろというんだ。俺があいつを殺したら良いって? そうすれば全てが終わるんだろう。だけど、俺はそうはいかない。どうしてだよ。どうして乙葉が死ななきゃならなかったんだよ。
「遅いな」
「誰だ?」
達也が顔を向けると、そこにはぞっとするような冷たい笑みを浮かべた長身の青年が立っていた。
「おまえじゃ海藤成実には届かないさ。まあすぐにわかることだけど」
「どういうことだ……?」
青年は何も言わず、ただじっと達也を見据える。思わず達也は目をそらした。
「海藤成実は、俺の妹だ」
達也は背筋が冷たくなるのを感じた。外見は全く似ていないのに、持っている雰囲気がどことなく同じ物のように感じたからだ。
「……だから何だ」
「俺はあいつを援護する気はさらさらないし、あいつを捕まえようとも思ってない。ただな、あいつが余計な事をしてくれた場合は即座に殺す。はは、あんたは殺さないよ、楽しそうだしね。とにかく俺は事態を収拾するためだけにここにいる。あんたがどうにかしてくれたらそれでいい」
一気に喋り終えた後、青年は達也に一言告げた。
「あんたはどうやら運が悪いようだ。これからあいつがおまえに屈服する事はまずありえないからな」
最近更新していなかったのは気まぐれではなく、私の存在が薄くなる事を待っていたのです。そう、だからけっして気まぐれではなく……
更新ペースもまちまちですが頑張ります。