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プロローグ 独りの生徒会室
第一部、楽しんでいただけたでしょうか。
第二部も、また更新を続けていきたいと思います。なにとぞよろしくお願いいたします。
私立清和学園生徒会室。
かつてこの中央にある椅子には、リラックスした乙葉が座っていた。そして、達也と由香がそれに合わせて談笑していた。
もう戻ってこない、幸せだった時間。
「……」
たった1人の後輩に、全てを潰され、そして壊された。
昨日、乙葉の家族と面会した。責められても良かったけれど、誰も何も言わず、ただ一言、呟いていた。
「もう……戻ってこないんですね」
その一言には、達也の感情を溢れ出させるものがあった。けれど、本当だ。もう戻ってはこない。
「はい」
だからこそ、達也は乙葉を忘れない。海藤成実を追い、乙葉の遺志を果たす。それだけを今は考えておくしかないのだ。
生徒会室には、達也の複雑な思いがあふれている。